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「要らないものを捨てる」という考えを捨てる

 その昔、われわれは情報で扱っていました。書籍、雑誌、新聞、書類等々です。これらについて、「要らないものを捨てる」というのは、整理法の基礎でした。
 モノについてもそうです。いらないものを残しておくと、新しい物を置く場所がなくなるし、必要なものがすぐに見出せなくなるからです。「断捨離」の考えというのは、こうしたものです。
 ただし、「要らないものを捨てよ」と言うだけでは、ノウハウになっていません。「要らないものは何か?」を見出すための方法が必要だからです。
 「超」整理法では、このために、「押し出しファイリング」という方法を提案しました。これは、コンピュータサイエンスにおけるMTFやLRUと同じ考えです(『「超」AI整理法』、第2章の2)。 

 ところが、情報がデジタル情報になって、事態が大きく変化しました(『「超」AI整理法』、第1章、第2章の3)。
    まず、ディジタル情報を捨てるのは、簡単なことではありません。Gmailには毎日大量の情報が押し寄せます。これらをいちいち点検して必要なものと不必要なものを区別して、不必要なものを削除するという作業をやっていたら、それだけで多くの時間をとられてしまいます。
 また、スマートフォンで簡単に写真を撮れるようになったため、メモのために写真に撮ることが増えてきました。さらに、音声入力で文章を簡単に作れるようになったため、文書も増えてきたのです。
 これらについて、「要らないものを捨てる」のは、それほど簡単なことではありません。

 また、「いらないものを捨てなければならない」という必要性も減少してきました。なぜなら、デジタル情報の保存容量が大きく増えたからです。

 そこで、「捨てるという努力をすること」を捨てることにします(もちろん、簡単に捨てられる場合には、直ちに捨てます)。すると、大きな可能性が開けます(『「超」AI整理法』、第1章の3)。

 ここで問題になるのは、「必要な情報をどのようにして引き出すか?」ということです。これは決して簡単なことではありません。
 『「超」AI整理法』では、このための手段として、「超」メモ帳というものを提案しています(第3章)。これは、キーワードによって必要な情報を検索しようとするものです。さらに、文書間にリンクを貼ることによって、必要な書類を直ちに引き出すことができるようになります(特典ページを参照)。


 この方法は、テキスト文章だけでなく、写真にも拡張することができます(『「超」AI整理法』、第3章の2)。

 この方法を実行するにあたって大きな障害になるのは、「要らないものまで保存している」ことに対する心理的な抵抗です。このような心理的な束縛から脱却することが、デジタル時代の情報整理の出発点になります。






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