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健康保険証 と マイナンバーカードの一体化が孕む重大な問題

◆一体化で、かえって面倒になる
 健康保険証 を マイナンバーカード と一体化し、将来は健保証の発行を停止する計画だと報道されている。

 これは、面倒なことになる。健保証は自動的に送ってくれるが、カードは役所まで取りに行かなければならない。そして、多分長時間待つ必要がある。
 健保証を頻繁に使っている人(病気にかかっている人、身障者、高齢者、など)は、自分では取りに行けない場合も多い。
 代理人でも可能な場合があるが、それでも役所に出頭しなければならないことに変わりはない。
 健康保険証とマイナンバーカード一体化 は、健保証に頼らざるをえない人に不合理な負担を強いることになる。

 一体化の目的は、健康保険証発行停止によって、カードを普及させることだという。これは、倒錯した論理だ。

 カードの普及だけが目的になっている。

 なぜマイナンバーカードを使わせたいのか?
 政府は、なぜこれほどまでして、カードを使わせたいのだろうか?
 政府にはよほど大きな狙いがあるのだろうと考えざるをえない。

 「マイナンバーカードが普及すれば、電子署名ができるようになり、脱ハンコできる」という説明がなされるだろう。しかし、電子署名でできる行政手続きは、現在では、 e-taxを除けばほとんどない。

 仮に脱ハンコができたとしても、電子署名で行なう行政手続きのは、数年に1度しかしないものだろう。

 多くの人が実際の生活で最も頻繁に使う本人確認手続きは、健康保険証だ。これが不便になることの影響は大きい。
 それだけではない。もっと大きな問題は、病歴データの管理の問題だ。

 国民管理の危険
 「マイナンバーカード は国民管理 に使えるようになっていない。将来も使わない」と政府は説明している。
 しかし、将来使われない保障はない。
 健康保険証や運転免許証など、これまで別々であった本人確認手段を一つにまとめれば、管理しやすくなることは間違いない。

 これは、住基ネットの際にも問題にされたことだ。
 同じ問題がマイナンバーカードにもある。

◆ 病歴情報が統一的に把握されることの問題
 健康保険証の場合はとくに問題だ。
 マイナンバーカードと一体化 されると、病歴など重大な個人情報が中央集権的情報システムによって管理されることになる。

 これによるメリットも大きいが、他方で危険も大きい。
 仮に政府がこれを利用しなくても、問題はある。

 カードの紛失、パスワードの盗難、認証局へのサイバー攻撃等によって、病歴等の個人情報が漏出 し、それが悪用されるする危険はないか?

分散型IDが必要
 プライバシーを侵さない 分散型ID が、パスポートや学生証などで開発されつつある。この方向を目指すべきだ。
 プライバシー保護のためには、マイナンバーカードのような中央集権的な仕組みでなく、ブロックチェーンで運営される分散型ID が不可欠だ。

 統一番号による病歴データ記録は、ブロックチェーン 以外の方法で行なうべきではない。


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