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バーチャルツアがこんなに簡単に

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訪れるのが困難な場所にも、いまは地上から抹殺された街にも、時空を超えてひとっ飛び。
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2018年10月の記事一覧

ケーニッヒスベルクの空想散歩:Kneiphof島

 「ケーニッヒスベルクの空想散歩を続ける」では、城の北側を歩いた。今度は、城からKant 通りを南に向かって歩いて見よう(上の写真に写っている地区を中心に歩く)。  下の写真にあるKraemer橋 を歩いてPregel 川を 渡る。背景には、城の時計台が見える。  Kneiphofという島に出る。これは、Pregel 川の中州になっている。  この島と、Altstadt (城から島に至る地区)と Löbenicht (Altstadt の東の地区)が、古いKönigsbe

ケーニッヒスベルクの空想散歩を続ける

 街の中心的な部分の様子が掴めると、あとは地名を検索すれば、そこの写真をウエブで得られる。ケーニヒスベルクは、かなり写真が豊富だ。だから、自由自在にバーチャルツアをできる。もう少し歩き回ってみよう。  まずはParadeplatz。これは城の北500メートルぐらいのところにあるほぼ長方形の庭。下の地図のほぼ中央、上のほうにある。  北側にあってほぼ南(正確には南南東)を向いているのが、下の写真の大学。  上と下の写真にあるフリードリヒ3世の騎馬像は、大学の建物を背にして

ケーニッヒスべルクの街を、頭の中に精密に組み立てる

 バーチャルツアの醍醐味は、何枚もの写真を見ているうちに、次第にイメージが組み合わされてきて、街の姿が浮かび上がることだ。  ある段階で、いくつもの写真が整合的に、矛盾なく組み上がる。この瞬間は快感だ。一度経験すると、中毒になるだろう。  実際の場所を知っている場合には、この快感は味わえない。ケーニッヒスベルクは決して訪れることができない場所だから、最適の対象なのだ。  これまで2回にわたって紹介してきたケーニッヒスべルクの写真をもう一度整理し直し、上の拡大地図と照合しつつ

時空を超えて、いまは存在しないケーニヒスベルクを歩く

 「かつてケーニッヒスベルクという美しい街があった」で述べたように、プロイセンの都ケーニヒスベルクは、いまは存在しない。  その跡地は、醜悪な建築物が居座るロシアの飛び地カリーニングラードになってしまった。そこがどういう場所かは、グーグルストリートビューで簡単に確かめることができる。あまりの変貌ぶりに、涙さえ出てこないだろう。  しかし、インターネットの魔術を使えば、時空を超えて、カントやワグナーが住んでいたこの美しい街並みを散策することができる。  強力な武器は、この

かつてケーニッヒスベルクという美しい街があった

 かつてケーニッヒスベルクという美しい街がプロイセンにあった。  しかし、この街は第2次大戦の激戦で地上から抹殺され、醜悪な建物があるロシアの飛び地になってしまった。だから、いまそこを訪ねるには、空間を超えるだけでなく、時間をも超えるバーチャルツアーが必要だ。  2001年にドイツのグループと共同研究をした時、私より少し年上のドイツ側のリーダーの教授から、「東部地区から、母親とともに命からがら逃げてきた」という話を聞いた。  私は東京大空襲で生き残った話をしたのだが、「こう