見出し画像

【サクッと読める】J2第32節 松本山雅×ジェフユナイテッド千葉 プレビュー

Topics

松本山雅

・前節6試合ぶりの勝利
・先制した試合は無敗(5勝3分)
・先制されると勝率は11%(2勝1分15敗)
・前節セルジーニョが左太もも裏を痛めて負傷交代
・前貴之、野々村鷹人、安東輝、篠原弘次郎が離脱中

ジェフユナイテッド千葉

・リーグ戦2連勝中
・ここまで逆転勝利が一度もない
・勝利した11試合中9試合がクリーンシート
・守備の要、鈴木大輔が累積警告で出場停止
・FW見木は8ゴール5アシスト。チーム得点の約半分に絡む大車輪の活躍


Point.1 様変わりした両チーム

前回対戦は第4節で松本のホーム。60%以上松本がボール支配しながらも、千葉の堅い守備ブロックを崩せずに0-1で敗戦。4-4-2で中央を固める千葉に対して、ブロックの外で永遠ボールを回し続ける姿が印象的だった。当時のマッチレビュータイトルを見ても、相当自分が苛立っていたのが想像できる。笑

約半年が経過して、両チームを取り巻く環境は大きく変わった。

松本は柴田監督を解任し、名波監督が就任。しかしなかなか調子が上向かず、残留争いに本格的に巻き込まれている。対する千葉は、尹晶煥監督の2年目ということで昇格を本気で狙う姿勢を見せていたが、生命線の守備ブロックに綻びが目立ち中位に留まっている。昇格争いにも加わわれていないし、かといって降格圏とは14ポイント差とあって、そろそろ選手のモチベーション維持が難しくなってくるかもしれない。

ともかく両軍の変化については前回対戦時と直近のメンバーを見てもらえばわかりやすいだろう。

▼前回対戦時

画像1

▼直近(松本は北九州戦、千葉は群馬戦)

画像2

いや、色々変わり過ぎでは。フォーメーションもメンバーも全然違うので、もはや前回対戦の情報なんて参考にならない。おまけに千葉は守備の要である鈴木大輔が出場停止とあって、もしかするとシステムもいじってくるかもしれない。


Point.2 柔軟性を見せられるか

ここ数試合の松本が見せている戦い方には少し癖がある。それは悪い癖だ。基本布陣の3バックだけではビルドアップがおぼつかないので、ボランチの片方が最終ラインまで下がって4バックを形成することが多い。落ちる頻度が多いのは平川で、橋内の左側に落ちて右HVの大野や宮部をサイドバックのような振る舞いに押し上げる形がベースとなっている。

画像は前節北九州戦のマッチレビューから引用したもの。この試合では北九州が前線4枚で数を合わせるようにプレスを掛けてきたので、ボール保持が安定せず、GK村山に下げたところから失点を喫している。

画像3

前川と佐藤亮のボランチを消しながらの守備もうまかったのだが、個人的には松本がシステマチックにボランチを下げている動きも気になっている。前々節の金沢戦では、逆にブロックを組んで前プレを掛けてこない相手に対して、同じようにボランチを最終ラインに落としてビルドアップしたので中盤の枚数が足りなくなった。

ボランチを下ろしていることが問題なのではなく、相手の出方に応じて戦い方を変えられていないことが問題だと思っている。確固たるスタイルがあってそれを貫き通すというならば話は別だが、残念ながら今の松本に独自のスタイルは存在しない。どちらかと言えばメンバーを固定して連携を成熟させるのではなく、試合ごとに調子の良い選手を起用して即興で組み立てている色が強い。メンバーを固定しないことも特段問題ではなく、毎試合が決勝戦のような崖っぷちの状況では、日替わりヒーローが生まれてくれる方がありがたい。

組織としての成熟度ではなく、攻守にわたって選手個々の能力に頼る部分が大きいチーム状況において、相手の変化に適応できていないのは不安材料になりうる。事前のスカウティングと違った姿勢を見せてきたり、違うパターンのセットプレーにめっぽう弱いのだ。ピッチ内での声が少ないと言われて久しいが、全員が当事者意識を持ってリーダーとしての振る舞いを見せてくれることに期待したい。


Point.3 成田の漢が決めると松本が勝つ?

かつて松本で背番号10を背負い、クラブ史上初のJ1昇格に大きく貢献した船山貴之。松本ではリーグ戦123試合に出場して42ゴールを決めた。川崎を経由して生まれ育った千葉に加入して早くも6年目。同じく10番を身にまとい、”成田の漢”として躍動している。

千葉ではリーグ戦216試合に出場、53回もネットを揺らしてきた。いつの間にか出場試合数もゴール数も松本時代を大きく上回り、完全に千葉のエースとして生まれ変わったと言っていい。

そんな船山は今季2つの大きな記録を追っているのをご存知だろうか。ひとつはJ2通算350試合出場。こちらは第26節の甲府戦で既に達成している。

そしてもうひとつ、J2通算100ゴールである。この記録は過去に大黒将志と中島裕希しか達成していない大記録。現在船山は95得点で、今季中の大台突破も視野に入れている。トップの大黒が通算108ゴールということを考えても、記録更新すら不可能ではない立ち位置につけている状況だ。

彼が偉大な記録達成へ近づくことは、必ずしも松本にとって悪いことばかりではないかもしれない。そんなデータがある。実は過去に船山が松本相手に得点した試合は2試合あるが、いずれも松本が逆転勝利を収めているのだ。いずれも2018年の対戦で、ホームで4-2、アウェイで3-2の勝利。

n=2というジンクスを心の支えにして、仮に船山にネットを揺らされたとしても出来る限り平静を装いたいと思う。


Point.4 ちょっとした縁

先日2022シーズンの松本山雅加入が発表された住田将。

名古屋グランパスU-15→青森山田高→東京学芸大というキャリアを歩んでいる選手だが、彼と同世代の青森山田高出身者が多くJリーガーになっている。ヴィッセル神戸で活躍する郷家友太は同学年、夏の移籍で栃木に加入した三國ケネディエブスは一学年下になる。

そして、今節対戦する千葉には2人も縁のある選手が。札幌からの期限付き移籍でやってきた檀崎竜孔は同学年で、第96回全国高校サッカー選手権大会で共に戦った仲間だ。また、前回対戦時に決勝点を決めている高橋壱晟はひとつ上の学年のエースである。彼は2年時から主力として活躍し、10番を背負った3年時に選手権で優勝を経験している。特別指定選手になったばかりなので、いきなり千葉戦に帯同することはないだろうが(同日に学芸大サッカー部は試合を控えているし)、面白いめぐり合わせだと思う。

ちなみに、松本の平川怜とはU-16の世代別代表で共にプレーした経験がある。生まれ育った地とは遠く離れた松本という場所で、再びダブルボランチを組むかもしれない。これもまた不思議な縁である。


さいごに

色々と書いてきたが、個人的に一番注目しているのは榎本樹。彗星のごとく現れて2試合連続で決勝点に絡んでいる若武者が、千葉の屈強なDF相手にどんなプレーを見せてくれるか楽しみにしている。ここである程度計算が経てば、似たような相手の栃木戦でも鍵を握りそう。ひいては、松本のJ2残留のキーマンになりうるだけのポテンシャルを秘めている選手だ。

どんな形であれ勝点3を持って帰ろう。俺たちの街へと。


One Sou1


Twitterはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?