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~目的と手段~J2 第11節 松本山雅VSジェフユナイテッド千葉 レビュー

スタメン

スタメン

松本は前節から最終ラインを総入れ替え。マリノスから期限付き移籍で加入した前が移籍後初スタメンを飾る。ここまでフル稼働に近かった隼磨がベンチ外に(8/14に右膝外側半月板損傷とのリリース)。また、負傷離脱していたセルジーニョがスタメン復帰。停滞感のあった攻撃にどんなアクセントを加えてくれるだろうか。直近は鈴木や高木彰などストライカーやういんがー気質の強い選手がシャドー起用されていたが、今日は久しぶりに久保田とセルジーニョとボールを持って輝く選手が並ぶだけに、期待感がある。

一方の千葉は、ミッドウィークの試合ということで大幅に入れ替え。ベテランの増嶋や佐藤が起用される反面、相棒として岡野や櫻川といった若手も抜擢するあたり、ユンジョンファン監督の手腕がうかがえる。


松本の狙い

今季の千葉は、ユンジョンファン監督のもとで4-4-2の強固な守備ブロックを形成しカウンターで一撃を見舞うというサッカーを展開している。ボールを持たされた状態で極端に力を発揮できなくなる松本としては厄介な相手である。

その千葉に対して松本は、サイドチェンジで揺さぶりを掛ける作戦をチョイス。ボランチの藤田と米原が配給役となり、逆サイドを意識しながら頻繁にサイドチェンジを行っていた。試合中も布監督から、「逆サイドー!」「対角線ー!」という指示が度々飛んでいたので、チームとして最もやりたかったポイントであるのは間違いないだろう。(余談だが、無観客でかつリモート応援がない環境だと、このようにベンチからの指示も耳に入るのは見ている側としては興味深い)

中でも、右サイドでビルドアップしながら左サイドへ大きなサイドチェンジをするというシーンが非常に多かったように思う。理由としては2つあるとかがえる。

・ビルドアップを苦にしない前・鈴木・久保田が右サイドで組んでおり、比較的安心してボールを持てることが予想されるため
・左からのクロスをゴール前に飛び込む動きを得意とする右ウィングバックの鈴木で仕留めたい

大きく分けるとこの2つだろう。そのため、右ボランチに入った藤田から高木利への展開されるシーンは多かった。問題はここからだ。サイドチェンジは千葉のゴールを陥れるための手段であって目的ではない。高木利はボールを受けてから2つの選択肢を意識していたように思う。

松本の狙い

まずはサイドチェンジによって寄せてきた右サイドバックのゲリアと右センターバックの岡野の間、つまりハーフスペースを突く攻撃。主にセルジーニョや阪野が狙って走り込んでいた。しかし、サイドチェンジのボールが精度を欠いてしばしば左利きの高木の右側に蹴り込まれていたこと、高木彰のコントロールミスが目立ったことから、千葉のスライドが間に合ってしまうことが多かった。

もう1手はアーリークロス。サイドチェンジによってボールウォッチャーになった相手に対して鈴木がダイアゴナルランでエリア内に突っ込んでくる形が理想だっただろう。実際に、41分に高木利のクロスをファーの鈴木が合わせた形は惜しくもサイドネットを揺らすにとどまったが、決定機だった。ただ、それ以外にクロスから決定機と呼べるものは見当たらず、高木利はクロス製造マシーン化していた。個人的には、縦回転で滞空時間が長く緩いクロスではなく、回転を掛けた速いクロスをGKと最終ラインの間に入れ込む方が効果的だとは感じていた。対峙したゲリアがそれをさせなかったのかもしれないが、最後の崩しの部分でチームとしての意図が見えなかったのは残念だ。


安い失点

千葉に対して明確な意図をもって対抗しようとしていただけに、開始7分、22分の失点はいただけなかった。7分の失点は村山と森下のコミュニケーション不足、連係ミス。

22分の失点は増嶋の位置取りが見事だったこともあるが、3失点目でも同様にファーサイドの増嶋にやられていることを考えると、デザインされたものであったことが分かる。今季、クロスやセットプレーにおいて、大外が空きやすい松本の守備の穴を的確に突かれてしまった。特に3失点目については、ゾーンで守るチームとしては最もやってはいけない守備。その場でジャンプする塚川と走り込んでくる増嶋では、当然のように後者の方が勝ることは自明だ。

いずれの失点も戦術上のミスや高度な駆け引きによって引き起こされたものではなく、均衡したゲーム展開となることが予想される一戦では致命的だった。


まとめ

今回は短めですいません。連戦の大変さを痛感しております。笑

これで松本は悪夢のような5連敗。泥沼にはまりつつある、いやもう膝くらいまではハマっているでしょうか。布監督は明確に戦術を定めて、ピッチ上で表現しようとしていることは伝わってくるだけに、思うようにいかないもどかしさがある。

監督の求める基準が選手の質とマッチしていないのか、戦術の落とし込みを行う時間が取れていないため未成熟な状態で臨んでしまっているのか、中の人ではないため原因は分からない。ただ、まったくもって虚無というわけではなく、変わろうとチームはもがいている。だからこそ僕らは信じるだけだ。

ではまた。


俺達は常に挑戦者
One sou1


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