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#036 「戦略」と「戦術」の違い

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前々回のエントリで「問題」と「課題」の違いについて書きましたが、今回も似ている2つの言葉、「戦略」と「戦術」の違いについて書いてみたいと思います。

「戦略」と「戦術」の違いについては、「問題」と「課題」ほど一般化された違いがあるわけではなく、文脈や解釈によって違う捉え方もあるかと思いますので、1つの参考として読んで頂ければと思います。

「戦略」と「戦術」を英語でいうと

例によって Google 先生に聞いてみました。
「戦略」は "strategy"、「戦術」は "tactics" とのことです。特に違和感ないですね。

Google翻訳 - 戦略

Google翻訳 - 戦術

「戦略」と「戦術」の違い

せっかく英語にしたので、更に Google 先生に "strategy tactics difference" でそれぞれの違いについて聞いてみたところ、以下のページが見つかりました。

Difference Between Tactics and Strategy (with Comparison Chart) - Key Differences
https://keydifferences.com/difference-between-tactics-and-strategy.html

このページの表から、主な部分を抜き出して日本語に訳したのが以下の表です。

戦略と戦術の違い

この表によると、「戦略」は、
・未来を起点に、まず組織としてどういう方向を目指すか定め、その方向に向かって進んでいくという長期的な計画
のことで、
「戦術」は、
・戦略を実現するための具体的な行動
・現状をみながら、どう変えていくかにフォーカスする

ということのようです。

ビジネスの現場における具体的な例を考えてみると、例えば、
・戦略: うちの会社は、薄利多売ではなく、高品質な商品を高く売る方向を目指そう、と決めること
・戦術: お客さんに品質の高さを認識してもらうために、製品不良によるクレームを減らすため、製造工程での品質向上活動を行うこと

といったような例があげられるかと思います。

どう理解すればわかりやすいか

この「戦略」と「戦術」、微妙な違いなので私も混乱しがちになるのですが、個人的には以下の観点で切り分けるようにしています。

・戦略には、最適解というものは存在せず、経営者や会社によって異なっていても良い。戦略には経営者の個性が出る。
・戦術は、戦略を実行するための施策であり、戦略を定めれば最適解が存在する。

例えば、何らかの新しい事業に参入することを考えた場合、ある経営者は、最初から多くの商品を安価に投入することで一気にシェアを確保する、という戦略をとるかもしれませんし、また別の経営者は、小さな市場に橋頭堡を定め、そこでしっかりシェアを確保した上で徐々に事業を拡大していくという戦略をとるかもしれません。
これらの戦略は、必ずしもどちらが正しいというわけでは無く、自社の強み・弱みや事業環境の分析を行った上で、最終的には経営者が判断すべき事柄だと思います。

一方、戦術は、戦略が決まれば誰が主導してもそんなにブレることはないはずです。
例えば、一気にシェアを確保する戦略をとるためには、計画的に開発・生産プロセスを整備する必要がありますし、投入する商品は商品としての付加価値を追求するよりも、機能を絞るなどコストに着目すべきです。

このように考えると、戦略と戦術の違い、及び、戦術というのは戦略ありきである、ということが理解しやすいのではないでしょうか。

次回は、良い戦略をたてるために必要なことについて考えてみたいと思います。私は、ここに、中小企業の優位性があると思っています。

まとめ。

(1) 「戦略」は英語で "Strategy"。その組織が未来の目指す姿に向かってどう進んでいくかという長期的な計画のことをいいます。
(2) 「戦術」は英語で "Tactics"。戦略を実現するための具体的な行動のことをいいます。
(3) 戦略と戦術の違いは、戦略はその会社によって異なる経営者の個性が出る部分、戦術はまっとうな組織であれば最適解が存在する部分、と考えるとわかりやすいのではないかと思います。

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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

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