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ロードバイクの魅力を写真に


製品を撮るときのセオリー



カメラのブツ撮り(製品写真を撮ること)をするとき、セオリーやメーカーごとのトンマナを守ることは大切です。
最も有名なブツ撮りのルールは「時計は10時10分に合わせる」でしょう。文字盤のデザインによって針の位置を変えてしまうと、カタログ写真として機能しないですし、「なんだよこいつ、何にも知らねぇな」ということになるはず。
カメラやレンズも、どの向きにしてピントリングや絞りはどこに合わせて・・・といったセオリーがあり、メーカーごとに微妙に違いもあります。

でも最近は使用イメージのカットが求められることもあり、これだとリアルな雰囲気やかっこよさを優先できるため、カメラが途中で切れちゃったり、どのレンズかわかりづらくても許されることもあります。
誤解されないように書いておきますが、ブツ撮りは写真の世界で最も技術が求められるジャンルで職人的な人たちが多く、なんだっていいわけじゃないです。

これから写真の勉強をしたいという人がいたら、短期間でいいのでブツ撮りを真面目にやることをお勧めします。
カメラとレンズの仕組み、光の捉え方、構図など、基本的なことをみっちり学べるので、何を撮るにしても役立ちます。運に左右されないのもいいです。デジタルになって、少ない機材で楽に挑戦できるようになりました。

イメージカットとして撮りました。
男女が二人でいるストーリーがあって、コーヒーの量から小物まで全て僕が整えました。
しかもこれ撮ったの夜です。冬の午前中を意識しています。


じゃあスポーツの世界はどうかっていうと、昔はどの選手で何着か、試合の結果に影響する大事な瞬間なのかが全てだったけれども、そういう情報だけじゃなくスポーツとしての美しさを芸術的に捉える写真が増えました。
モータースポーツもそうですね。ドライバーの顔や車の色がわからない、シルエットや一部分だけを切り取った作品もよく見ます。
時代の変化もあるでしょうが、革命的なことに挑戦した写真家たちの努力が評価された結果でしょう。


それでは自転車は?



右(ギアがあるほう)が表で、写真を撮るときにはアウターに入れるといった鉄則がありますよね。
でも左に登っていく坂で撮るとき、アウターでいいのか、右向きでいいのか、といった疑問も湧きます。坂ならインナー、左に登るなら裏だとしても左向きがリアルでは? 

疲れ切ってアウターにするの忘れて、でもその分だけリアル。
アクリルなしでかっこよく撮れる方法は模索したい。

露出は? 
ピント位置は? 
角度は?

車だと6:4がいいとか、いや7:3こそベストだとか、議論は尽きません。薄いピントで撮るとき、自転車のどこに合わせるのがいいのか。やっぱりメーカー名の部分なのでしょうか。
自転車と写真の関係を意識してから時間が経っていなくて、サンプルの量が少ないのですが、まだまだ広げていける領域があるように思います。

車体のカッコ良さだけじゃなく、ロードバイクの楽しさを、いろんな切り口で撮ってみたい。
そこで秩父ヒルクライムに挑戦したとき、ちゃんとしたカメラを持って行って、苦手な坂だけれど少しは写真も充実させようと努力したので、思ったことなどを書き留めておきます。



秩父は手強かった


身長187cm、体重80kgの体型なので、どう考えても坂に向きません。大嫌い。
ツール・ド・フランスのドキュメンタリーを見ていたら、あのクラスの選手たちでもスプリンターだと坂が苦手で、棄権することも多いそう。
100gでも軽くしたいって状況なのに、ガチのカメラと諸々の機材も背負っていきます。辛かった。

写真を撮らなきゃ、と自分に言い訳して、ちょいちょい休憩できたのだけはよかったです。補給と休憩とギアチェンジはもっと上手になりたい。

坂が嫌いなサイクリストにありがちでしょうが、ぼくも海沿いを走ることが多いため、山に挑む景色を見ると色んな意味で高揚します。
どこかいい場所があったらまずそれを撮っておきたいと思いました。
大好きな言葉で「第一印象に二度目はない」と。いつかヒルクライムが好きになったとき、あるいは二度と登らない決心をしたとき、もう撮れない新鮮な心

せっかくだから愛車も入れたいですよね。
ロードバイクを撮るときいちばん苦労するのが、自立しないこと。仕事じゃないのでアクリルスタンドなど運びたくないです。

稜線と車両と両方のピントを試してみました。
ケースバイケースでどっちもアリだと思います。

有名なスポットで車両を撮るとき、色々と悩みます。
荷物に余裕あるなら広角レンズの出番。
クロモリにすればよかった、持ってないけど白がいいだろうな、とか考えたり。

レトロ感だけはたっぷり込めました

死ぬほど恥ずかしいので二度とやらないって決めたけれど、光がすごくいい場所があったのでセルフ撮ってみました。
仲間とライドしながらこういうの撮るのは楽しそうですね。

せっかくのヘルメットが切れちゃってる
ジャージはぴちぴちのほうがいいってのも納得で、シワが多くてダサい




スマートフォンでは物足りない



せっかく山を登っているので景色も少しは撮っておきたい。
スマホだとあまり綺麗に撮れないから、そのためにカメラを持ってきたので。

ちなみに今回の写真は全てFUJIFILM X-E3
二世代前の機種で引退しているのを引っ張り出してきました


モノクロにも挑戦。
こういう「表現へのこだわり」はカメラならでは。

もちろん全てJPEG撮って出し


車両のイメージカットにも挑戦。
この頃はまだギアに余裕あったな。


走り抜けていく後ろ姿あったら最高だろうな
と思ってロケハン的に撮ってみました。奥の緑が効いてますよね。


山を徹底的に避けていたから、何を見ても新鮮。


ちょっとガチで撮ってみました。

浅いフォーカスによる心象
露出と光のコントロール
この日だった意味
上りと下りで見え方が違う


ロードムービーに移動の記録は欠かせない



輪行の醍醐味は旅に似たところがあると思うので、移動中の写真もあっていいと思います。テキストだけじゃなく、動画に撮れない一瞬を写真で残したい。
行き帰りで快速と特急と両方に乗りましたが、特急で撮ったこの写真がいちばん気に入ってます。
昼だったせいか、がらんとしていて、秩父がより遠いところに感じられました。




今回のカメラ


YouTubeなどを見ると、自転車ファンにXシリーズの人気は高いようです。
フルサイズに比べれば小型軽量で、写りが良くて、デザイン的にも魅力があるからでしょうか。

ぼくは自転車のスキルに自信がないため最新機種を持っていくのが不安で、二世代前で引退していたX-E3にしました。
ミニマリズムをテーマに機能を減らした、小さく美しいカメラです。
ファインダーがセンターになく端に寄っているため、ヘルメットをしたままでも構えやすいのもポイント。

色味に関して、クラシッククロームが相性よさそうに思うのですが、赤の発色にクセがあるため車体の色を選ぶかも。これから研究してみます。

FUJIFILM X-E3  


#写真家が自転車に恋をして 10


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