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自転車と相性の良いカメラバッグ探し

写真家が自転車に恋をして #03

自転車でもカメラを持つためにやった、たった二つのこと




ロードバイクを舐めていたわけじゃないけれど、ショルダーバッグをかけて自転車を漕ぐくらい楽勝だろうと思ってました。
メッセンジャーたちが主役の映画、ケヴィン・ベーコン「クイックシルバー」や、ジョセフ・ゴードン・レヴィット「プレミアム・ラッシュ」(下にトレーラーを貼っておきます)を見ていると、自転車を漕ぎながらレンズ交換だってできるかもしれない!と錯覚します。


ふだん使っているショルダーバッグは重心が不安定になるし、前にずれてきて乗りづらく、もし急に揺れたら安全に関わるかも。
メッセンジャーバッグみたいに身体に密着するものでも、ぼくの自転車スキルでは難しいので、すぐに無理だと諦めました。



となるとカメラを持つためには三つの方法しかない


1.ストラップで固定する(三点で支えるタイプを使う)
撮るときの素早さならこれは圧倒的。「面倒だな」「上手く取り出せないからもういいや」ということがない。
弱点は自転車が漕ぎづらくなること。可動範囲が狭くなるのと、同じところに圧がかかり続けるため、痛みや疲労の原因に。小雨のときも厳しい。
何本かストラップを買って試してみたので、その試行錯誤はいつか。



2.自転車に取り付けるサドルバッグやハンドルバッグに入れる
これは不安しかなくて、というのも初めて試したときに振動のせいでカメラのパーツが外れました。機種は書きません。
ヤワなカメラだったと言えばそれまでですが、精密機器に振動はタブー。
ハンドルバーバッグだとサドルバッグより振動は少ないらしいですし、カメラを入れていて快適ですよって記事も見るので、乗り方やカメラによるかもしれません。

3.バックパックやリュック、ウエストポーチに入れる

ウエストポーチだと入れられるカメラのサイズに制約があり、リュックを背負うのは身体への負担があって、どちらも快適なライドの妨げになることもありますが、写真を撮る喜びがそれに勝ればいいわけです。

バックパック購入!

カメラを持つためにWANDRDのバックパックを買いました。
WANDRDで有名なのはプロヴォークというモデルですが、他にもあってプロモーションビデオを見ていると自転車のシーンが多いです。



一般的に、カメラバッグはパンパンに入れたときにバランスが取れるように作られていて、仕切りが多いために機材以外のものを入れづらい傾向があります。せっかくのバックパックだから、ノートパソコンとカメラ、一泊分の着替え、といった出張セットを入れて快適に動けたら理想。

上にビデオを貼ったパッカブルと、当時は新製品だったスリングタイプと迷って、定番のプロヴォークを買ってみました。まず名前がいいし、人気があるからにはきっと理由があるはず。
街で使う軽いバッグパックはいくつか持っていて、スリングタイプだとDSPTCHを持っているため、それと差別化できるものが良かったです。

決め手は二点。
まずは丈夫であること。
写真の世界ではシーンタフネスと言いますが、いろんなシチュエーションに対応できること。もしも落車したときのために、軽量化によってタフさが犠牲になっているようだと困ります。もちろん雨への対応はマスト。
自転車を降りて背負っていても違和感ないデザインならさらにいい。


次に、背負ったままでも収納スペースにアクセスできる工夫。
これがスマートにできないと写真を撮る回数は減っていって、「重たいカメラを持ってきたのに・・・次からはスマホでいいや」という結論になるはず。
荷物をたくさん入れても、少ししか入れなくても、重心が安定してくれて、さらにポケットが二つくらいは欲しいです。

どうやらそれらの希望はクリアしていそう。

これにFUJIFILM GFX50Sという大きく重いカメラ(フルサイズ一眼ミラーレスの倍くらい)を入れて、80kmくらいのライドに挑戦してみました。
そこで撮った写真は仕事に使っているので、こちらのビデオを。


使命感や理由があれば、重たいカメラを背負っての80kmライドも大して苦にならないということがわかりました。

さらにもっと軽快になるためにどんな工夫ができるか、カメラはどんな機種だったらライドと相性がいいだろうか、模索していくことになります。
ドイターのように自転車を漕ぐことから考えて作られているリュックを選んで、そこに入れるカメラを決めるとか、ウエストポーチにしてコンパクトなカメラにする手もあります。

ミリタリーの無骨さとカメラの相性はいいかも


自転車とカメラの素敵な関係

ナビや緊急時の連絡にスマホは必須で、それで高画質な写真が撮れるんだから十分じゃないかって考えもあります。でも近年の研究で、スマホ越しに見たとき体験を記憶する能力が低減することが証明されたそうです。
美術館やコンサートに行って撮影OKだからとパチパチ撮っていると、そこで見たもの、体験したことが、うまく記憶されません。

モニター越しだから情報量が減るせいか、撮るという行為に意識が分散されてしまうからか、後で見直せるだろうと思って見ることが疎かになるのか、さらに研究は進んでいるようです。
写真に撮っておかないと忘れてしまう、シャッターを切ることで感情が定着される、というのも事実ですがスマホだとその役割に十分ではないかもしれません。

スナップ写真と自転車の出会い


200kmを超えるようなロングライド、ヒルクライム、といった身体的負担が大きい状況では、カメラを持つのは難しいかもしれませんが、いまは100kmくらいまでなら迷うことなくカメラを持っていきます。
ずっとカメラを通して世界を見てきたから、出会いがあったときカメラがないと物足りないのかもしれません。

でもそれだけじゃない、カメラを持って自転車に乗る喜び、自転車とカメラの素敵な関係がある、と思うようになりました。

写真を撮るのに、徒歩でも自動車でもなく自転車がいいと思う理由は、世界が更新される速さがちょうどいいこと。
スマホじゃなくちゃんとしたカメラで撮った方がいいと思う理由は、ライドでの出会いが他人事じゃなくて自分の物語になるから。
ぼくがカメラを好きになった理由でもあります。

事情を聞くのが怖い

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