経済財政検討ユニットが政府提言する革新的新事業庁とは? 日本のスタートアップ政策は本当に国民のためなのか?
革新的新事業庁とは?
革新的新事業庁は新藤経済再生担当大臣の懇談会が打ち出したスタートアップ
技術を担う省庁です。
東京新聞によると「経済財政検討ユニット」の提言だそうです。
近年、政府が掲げるスタートアップ政策は、
ますます充実しています。
日本に求められる新時代自由主義
経済財政検討ユニットの報告書によると、
日本は現在、約30年ぶりの賃上げ率などの明るい兆しが見られ、
経済社会を変革する好機にあります。
国民一人ひとりが考えを行動に移し、
「希望のさざ波」を大きな社会変革の動きにつなげていくことが
重要とされています。
特に若者世代が希望を持ち、挑戦できる土壌を作るべきであり、
目指すべき日本の姿を世代を超えて広く社会で共有し、
その社会づくりには一人ひとりのコミットが求められると強調されています。
やっぱり不安なのは若者の早期退職ですよね。
退職代行サービスの普及により、本人の労力が少なく退職できる
サービスが増えて参りました。
その結果、新卒で就職した若者が退職を選ぶ道も多いのが実情です。
しかしその背景にはやっぱり、少なからず会社と個人の不満があるともいえ、
組織にとってもZ世代の離職率を防ぐことは、早急の対策を求められます。
東洋経済オンラインの記事によると以下のことが書かれています。
経済財政検討ユニットが定言する次世代のエコシステム
ではここで経済財政検討ユニットの内閣府内の資料について解説いたします。
経済財政検討ユニットは以下のことを掲げています。
7つの政策提案を支える3つの柱
1. 活力ある地域社会
エネルギー自立経済の実現:再生可能エネルギーの収益を活用し、地域経済を活性化する「地域経営会社」の設立が提案されています。
次世代対応のコンパクトシティの形成:DX化と財政インセンティブを活用し、人口集積による広域自立圏を形成する計画です。
2. 国民チャレンジの喚起
世界で戦えるスタートアップを多数生み出せる国への変革:革新的新事業庁の創設やアントレプレナー教育の強化、新調達制度の導入が提案されています。
全世代のキャリア選択を支えるインフラづくり:生涯にわたって誰もが活躍できる健康立国の実現を目指しています。
3. 公正な社会の形成
教育格差の解消:「生まれ」の違いによる教育格差の解消が目指されています。
男女が分け隔てなく働き、安心して子育てができる社会の構築:ジェンダー差別への取り組み強化も含まれています。
いずれも課題ですが、特に全世代キャリア教育とジェンダー問題こそ、
日本の長らく続く課題といえます。
女性管理職や女性役員の登用を少しずつ増やして
行く必要があります。
シンボルプロジェクト
①エネルギー収益の循環による地域経済の活性化
再生可能エネルギーの収益を活用し、地域経済を活性化させる「地域経営会社」の設立が提案されています。
②人口集積による広域自立圏の形成
DX化と財政インセンティブを活用し、広域コンパクト化計画を進めることで、持続可能な地域社会を目指します。
③挑戦する個人や企業を支える国の司令塔機能・エコシステムの強化
革新的新事業庁の創設、アントレ教育の強化、新調達制度の創設・運営、全世代型リスキリング国民会議の創設が含まれます。
④データ活用による国民の健康度・企業価値の向上と医療保険の持続性確保
保険者機能・コラボヘルスの抜本強化が提案されています。
⑤日本社会に根付く格差の解消
教育格差やジェンダー差別への取り組み強化が提案されています。
日本のスタートアップ支援策
岸田政権のスタートアップ支援
スタートアップ育成5か年計画は、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築、資金供給の強化と出口戦略の多様化、オープンイノベーションの推進の3つの柱を中心に進められています。
人材・ネットワークの構築
優れたアイデア・技術を持つ若い人材の発掘・育成のため、ストックオプション環境の整備、国内外のメンターや教育機関を活用した実践的な起業家育成、人材の海外派遣研修などを実施しています。
資金供給の強化と出口戦略の多様化
公的資本を含む資金供給の拡大を促し、国内のベンチャーキャピタル(VC)の育成や海外投資家・VCの呼び込みを図っています。また、スタートアップに対する公共調達の拡大や「ディープテック」系スタートアップの事業展開を進めています。
オープンイノベーションの推進
オープンイノベーション促進税制や、副業・兼業禁止の見直しによる
人材移動の円滑化などを進め、大企業とスタートアップが連携しやすい環境を
整えています。
このような形ですね。スタートアップの支援の形は欧米のレベルに近づくほどの
充実したパッケージにはなったかと思います。
しかしスタートアップを停滞させる規制、例えばWeb3であれば暗号資産の雑所得課税、ライドシェアであれば素人タクシー等の制限の緩和など、
そうした規制がネックとなっているため、緩和が必須です。
【我が国の課題】
・暗号資産の雑所得課税
・素人タクシーの禁止
・紅麹問題における食品安全の課題
などをはじめとした様々な問題があります。
新しい資本主義も最終局面へ
岸田政権が掲げる新しい資本主義は、「人への投資」「科学技術分野への投資」「スタートアップ企業への投資」「グリーントラストフォーメーション(GX)への投資」などを重点施策としています。
今回の総裁選後もそこで選ばれた総理が岸田路線を継続するかは
不明ですが、少なくとも岸田総理にとっては
集大成と言っても過言ではないでしょう。
成立の背景には、新自由主義による格差や貧困の拡大、中長期的投資の不足、都市と地方の格差、気候変動問題などが挙げられています。
新しい資本主義は、成長戦略と分配戦略の両面から
経済の好循環を目指すものです。
個人的には日本の多くの人間が該当する中間所得者層の課税の
見直しは急務であり、全年齢型の社会保障の充実化のためには、
働ける体力のある高齢者には、働いてもらうような支援策が好ましく、
主婦の方々のライフスタイルも先の時代のものとすべきです。
一方で子供を産む前のプロセスの対策は
今度は必須ともいえ、例えばマッチングアプリの出会い促進や
20代女性全体の賃上げも考えなければならないでしょう。
岸田政権が実行してきた主要政策
1. 新しい資本主義
人への投資:リスキリングによる能力向上支援、職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化を進めています。
国内投資の活性化:デジタル分野への積極的な投資を行い、経済の好循環を生み出します。
2. こども・子育て政策
加速化プラン:児童手当の拡充、高等教育費の負担軽減、育休手当の給付率引き上げなどを実施しています。
3. 外交・安全保障
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化:近隣諸国との外交で地域の平和と安定を目指しています。
4. 国民生活の安心・安全
防災・減災、国土強靭化:15兆円規模の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を掲げ、自然災害や特殊詐欺への対策を進めています。
これらの施策が、実際にどれだけ効果を発揮し、
日本のスタートアップや経済全体にどのような影響を与えるのかは
今後の課題です。
意外と日本で推進するチャンスとなるのは、防衛装備品かと思いますので、
ここは大企業だけでなくスタートアップもまた取り組める環境にしたいですよね。
しかし、これらの取り組みが本当に国民のためになるかどうかは、
私たち一人ひとりの関心と行動にかかっています。
そしてこれらは経済界や政府は得しますが、
肝心の国民に循環するかは確定ではありません。
一方的に起業家や政府ばかりが得をして、
労働者は物価に比例しない賃金と長時間労働を
当たり前に酷使されるスタートアップ政策は
断固として反対しなければなりません。
そのためには労組でもスタートアップに向けた取り組みを提唱して、
雇用を守りつつ起業家を支える働きをしたいですが、
果たしてこの声を無視されることがないことを祈りたい。
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