世界経済フォーラム講演2020「トークン資産からトークンエコノミーへ」: 大人も子供も、おねーさんも。
「だれでも参加できる、みんなのためのキャピタルマーケット(資本市場)」
(出典)
大人も子供も、おねーさんも。
(出典: 『MOTHER 2』のキャッチコピー)
the long tail of capital and the long tail of things that are investable with capital is quite large. And it's hard for us to imagine what an efficient global marketplace for that would be. But I think that's where we're trying to point this.
〔意訳: 資本市場や、モノの所有権の市場における、「トークン化された資産」のロングテール販売(多品種少量販売)の市場規模と、そこに投資される資金は、とてつもなく巨大なものになるでしょう。現時点では、そのような、誰でも手軽に「トークン化された資産」を売買することができる、世界規模のマーケットプレイス(デジタル市場)が登場するなんて、想像できないかもしれません。ですが、そのような、誰でも参加できる「トークン化された資産」の市場が実現する可能性がある、ということこそが、私たちがお伝えしたいことなのです。〕
(出典: ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)の言葉 「トークン資産からトークンエコノミーへ」("From Token Assets to a Token Economy")(28:52~29:07), 世界経済フォーラム年次総会2020, (日本語訳(意訳): 引用者).)
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https://note.com/yukinobukurata/n/n66320171294f
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ダボス会議での講演「トークン資産からトークンエコノミーへ」("From Token Assets to a Token Economy")
世界経済フォーラム(通称: ダボス会議)の会場の様子(2016年)
(Photo by U.S. Secretary of Defense / CC BY 2.0)
世界経済フォーラム(通称: ダボス会議)の会場の様子(2016年)
(Photo by Presidencia de la República Mexicana / CC BY 2.0)
2020年1月21日~1月24日の期間に、スイスのダボスで、世界経済フォーラムの2020年の年次総会(通称: ダボス会議)(World Economic Forum Annual Meeting Davos 2020)が開催されました。
この世界経済フォーラムのイベントのなかでおこなわれた講演のなかのひとつとして、「トークン資産からトークンエコノミーへ」と題された講演が開催されました。(この講演の原題は、"Issue Briefing: From Token Assets to a Token Economy"です。「Issue Briefing」(イシュー・ブリーフィング)という言葉の意味は、「重要な話題についての概要解説」というような意味だろうとおもいます)。その講演の映像を撮影した動画は、こちらのリンクのページで見ることができます。
この講演の登壇者は、つぎの3人の方々です。
● ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire): アメリカ合衆国ドルと連動するステーブルコインのUSDコイン(USDC)で有名な、サークル社(Circle Internet Financial)の創業者、CEO。(参考記事)
● ネーハ・ナルラ(Neha Narula): MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボ(MIT Media Lab)の、デジタル通貨イニシアチブ(Digital Currency Initiative)の責任者。(参考動画)
● シーラ・ウォレン(Sheila Warren)(司会者): 世界経済フォーラムの、ブロックチェーンと分散台帳の技術についての部門の代表者。(参考ページ)
講演動画「トークン資産からトークンエコノミーへ」
(Issue Briefing: From Token Assets to a Token Economy)
https://www.weforum.org/events/world-economic-forum-annual-meeting-2020/sessions/from-token-assets-to-a-token-economy
この「トークン資産からトークンエコノミーへ」という講演で語られた話の内容は、おおまかに言うと、「いろいろな資産がトークン化(tokenized)されるようになることで、いろいろな資産の流動性(換金性)が高まり、これまでは、資本市場から資金を調達することができなかった人たちや、プロジェクトでも、資金を調達することができるようになってきている」ということについての、利点や、欠点や、事例などについての話です。
この講演では、「トークン化された資産」(tokenized assets)という言葉が何度も出てきます。「トークン化された資産」には、いろいろな種類のものがあります。この講演では、それらのなかでも、とくに、いろいろな「権利」をトークン化したものについての話や、事例紹介などが、多くなされていました。具体的には、たとえば、つぎのような話や事例などがありました(一部、意訳しているところもあります)。
● デジタル化されたドル。(2:05あたり)
● 金(ゴールド)の所有権をトークン化して、流通させる。(2:15あたり)
● ひとつの芸術作品の所有権を分割してトークン化することで、資本市場で流通させやすくする。(2:44あたり)
● NBAのスター選手(バスケットボール選手/スポーツ選手)が、自分が将来あげるであろう収益にたいして投資してもらうためのトークンを発行した。(2:45あたり)
● 不動産のような、物理的な資産も、トークン化することで、ひとつの資産の所有権を分割して、資本市場で流通させやすくすることができる。 (3:05あたり)
● 炭素の排出権の権利をトークン化することで、市場で売り買いできるようにしたオーストラリアの会社の事例。(3:18あたり)
● アンディー・ウォーホルの芸術作品の所有権を、こまかく分割して、トークン化することで、資本市場で流通させやすくする。(3:45あたり)
● 誰でも参加できる「トークン化された資産」のマーケットプレイス(デジタル市場)が登場することで、たとえば、「インドの農家の人が、農作物の将来の収穫を得る権利をトークン化して、そのトークンを19歳の投資家が買うことで、資本市場からの資金調達が成立する」、といったことが可能になる。(8:40あたり)
このように、この講演の議題となっているトークン(「トークン化された資産」(tokenized assets))は、ここまでに、この記事のなかでお話させていただいたような種類のトークンとは、すこしちがう種類のトークンであるようにかんじられるかもしれません。
ですが、この講演のなかで語られている、「いろいろな資産をトークン化して売買する(流動性をもたせる)ことができるようになることで、普通の人たちが、資本市場から資金調達をすることができるようになったり、普通の人たちが、いろいろなモノの所有権を得ることができるようになる」 という未来像は、「個人が、トークン(NFT)を販売することで、研究や、創作や、値提供のための活動資金を得る」、ということを考えるうえで、参考になるところがあるのではないかとおもいます。
この「トークン資産からトークンエコノミーへ」の講演の映像は、下記のYouTube動画でも見ることができます。
【YouTube動画】
WEF20 From Token Assets to a Token Economy
(6:24~8:22)
(6:24~6:35, 〔中略〕, 7:28~8:22)
この下の引用文は、「トークン資産からトークンエコノミーへ」の講演の動画のなかの、「6:24~8:22」(6:24~6:35, 〔中略〕, 7:28~8:22)のところで、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)さんが語っておられる内容です。
The phrase that you used in the introduction, which is "Is this going to democratize access to capital or ownership in things?" I think that's what gets us all very excited about this. And I think that's very real.
[...]
We have capital markets [...] they're very efficient. You have the New York Stock Exchange, NASDAQ. But who participates in those is really limited [...] the ability to access capital as a startup, a small business and entrepreneur all the way as you grow is limited. And so we don't have markets in the same way that we have these open marketplaces in commerce and transportation and these other things. We don't have those markets and capital or an ownership and investing. And so I think the promise of this is "Can we actually create capital markets that are as open and global as what we have in e-commerce and these other, and even in realms like content publishing and sharing?"
〔意訳: この講演の冒頭で、「いろいろな資産をトークン化して売買する(流動性をもたせる)ことができるようになることで、普通の人たちが、資本市場から資金調達をすることができるようになったり、いろいろなモノの所有権を得ることができるようになる」という未来像が提示されました。私たちは皆、この未来について、とてもワクワクしています。そして、そのような未来は、かならず実現するだろうと思います。
〔中略〕
ニューヨーク証券取引所や、NASDAQに代表される、現在の資本市場は、とてもうまく機能しています。ですが、それらの資本市場で資金調達をすることができるのは、ほんの一握りのごくわずかな人たちだけです。スタートアップや、中小企業、起業家などは、事業を成長させるために必要な資金を資本市場から調達しようとしても、なかなかできません。商品のネット販売の分野では、誰でも手軽に、マーケットプレイス(デジタル市場)や、流通網などを利用して、商品の売買をすることができます。ですが、資本市場や、所有権の市場や、投資の市場は、そのような、誰でも手軽に売買することができるマーケットプレイス(デジタル市場)ではありません。資本市場や、コンテンツビジネスの分野においても、商品のネット販売の分野のように、世界中の誰でも手軽に売買することができるマーケットプレイス(デジタル市場)が登場するでしょう。〕
(出典: ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)の言葉「トークン資産からトークンエコノミーへ」("From Token Assets to a Token Economy")(6:24~8:22(6:24~6:35, 〔中略〕, 7:28~8:22)), 世界経済フォーラム年次総会2020.)
(注記: 日本語翻訳(意訳): 引用者.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
【YouTube動画】
WEF20 From Token Assets to a Token Economy
(28:18~29:07)
この下の引用文は、「トークン資産からトークンエコノミーへ」の講演の動画のなかの、「28:18~29:07」(28:18~28:30, 〔中略〕, 28:53~29:07)のところで、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)さんが語っておられる内容です。
I would just have one last comment on this is it's, I think it was very hard for people to imagine the long tail of content or of retail of commerce that the internet brought.
[...]
So the long tail of capital and the long tail of things that are investable with capital is quite large. And it's hard for us to imagine what an efficient global marketplace for that would be. But I think that's where we're trying to point this.
〔意訳: 今回の議題について、最後に指摘しておきたいことがあります。それは、「かつて、ほとんどの人たちは、インターネットの登場によって、コンテンツ販売や、小売業において、ロングテール商品の販売が成り立つようになる(市場規模が小さくて売上の少ない商品であっても、数多くの種類をそろえて、多品種少量販売をすることで、利益をあげることができるようになる)なんて、想像すらできなかった」ということです。
〔中略〕
ですので、資本市場や、モノの所有権の市場における、「トークン化された資産」のロングテール販売(多品種少量販売)の市場規模と、そこに投資される資金は、とてつもなく巨大なものになるでしょう。現時点では、そのような、誰でも手軽に「トークン化された資産」を売買することができる、世界規模のマーケットプレイス(デジタル市場)が登場するなんて、想像できないかもしれません。ですが、そのような、誰でも参加できる「トークン化された資産」の市場が実現する可能性がある、ということこそが、私たちがお伝えしたいことなのです。〕
(出典: ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)の言葉 「トークン資産からトークンエコノミーへ」("From Token Assets to a Token Economy")(28:18~29:07(28:18~28:30, 〔中略〕, 28:53~29:07)), 世界経済フォーラム年次総会2020.)
(注記: 日本語翻訳(意訳): 引用者.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
下記のリンクは、この「トークン資産からトークンエコノミーへ」("From Token Assets to a Token Economy")の講演の映像を撮影した動画が掲載されているページのリンクです(世界経済フォーラム(World Economic Forum)のウェブサイト内のページ)。
From Token Assets to a Token Economy > World Economic Forum Annual Meeting | World Economic Forum
https://www.weforum.org/events/world-economic-forum-annual-meeting-2020/sessions/from-token-assets-to-a-token-economy
登壇者の紹介1: ステーブルコインのUSDコイン(USDC)の、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)さんについて
さきほど、上のところで紹介した、世界経済フォーラムの「トークン資産からトークンエコノミーへ」の講演の登壇者の一人である、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)さんは、アメリカ合衆国ドルと連動するステーブルコインのUSDコイン(USDC)で有名な、サークル社(Circle Internet Financial)の創業者であり、CEOです。
(参考記事)
リブラ、デジタル人民元、ステーブルコイン──デジタル通貨戦争の「3つの戦線」 | CoinDesk Japan | コインデスク・ジャパン
https://www.coindeskjapan.com/27484/
登壇者の紹介2: MITのメディアラボの、デジタル通貨イニシアチブの、ネーハ・ナルラ(Neha Narula)さんについて
さきほど、上のところで紹介した、世界経済フォーラムの「トークン資産からトークンエコノミーへ」の講演の登壇者の一人である、ネーハ・ナルラ(Neha Narula)さんは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボ(MIT Media Lab)の、デジタル通貨イニシアチブ(Digital Currency Initiative)の責任者です。
【TEDのYouTube動画】
The future of money | Neha Narula
https://www.youtube.com/watch?v=pPgd7Hj3ABQ
【TED Talk動画】
Neha Narula: The future of money | TED Talk
https://www.ted.com/talks/neha_narula_the_future_of_money
登壇者の紹介3(司会者): 世界経済フォーラムの、ブロックチェーン部門の代表者の、シーラ・ウォレン(Sheila Warren)さんについて
As the WEF Warms Up to Crypto, Its Head of Blockchain Talks Empowerment
https://cointelegraph.com/news/as-the-wef-warms-up-to-crypto-its-head-of-blockchain-talks-empowerment
さきほど、上のところで紹介した、世界経済フォーラムの「トークン資産からトークンエコノミーへ」の講演の司会者である、シーラ・ウォレン(Sheila Warren)さんは、世界経済フォーラム(World Economic Forum (WEF)(日本語版サイト))の、ブロックチェーンと分散台帳の技術についての部門の代表者です。
シーラ・ウォレンさんは、「トークン資産からトークンエコノミーへ」("From Token Assets to a Token Economy")の講演では、司会者をつとめておられました。
(参考: シーラ・ウォレン(Sheila Warren)さんのプロフィールページ(世界経済フォーラムのウェブサイト内のページ))
Sheila Warren - Agenda Contributor | World Economic Forum
https://www.weforum.org/agenda/authors/sheila-warren/
参考: だれでも不動産トークン(NFT)の売買ができるようになる「Blocksquare」
上のところで紹介した、「トークン資産からトークンエコノミーへ」("From Token Assets to a Token Economy")の講演のなかでも紹介されていた、「だれでも、不動産をトークン化して、流通市場で売り買いできるようになる」、という話についての参考情報として、だれでも不動産トークン(NFT)の売買ができるようになるという「Blocksquare」を紹介します。
【YouTube動画】
Blockchain-based protocol ready to tokenise global real estate
https://www.youtube.com/watch?v=CTpXnRII6JU
Blocksquareの公式サイト
Blocksquare - Real Estate on the Block
https://blocksquare.io/
(参考)
NFTの使われ方のひとつ「blocksquare」プロジェクトとは? | AIre VOICE(アイレボイス) | ブロックチェーン情報発信メディア
https://aire-voice.com/blockchain/4954/
ちなみに、Antony Welfareさんという人が書かれた『Commercializing Blockchain: Strategic Applications in the Real World』(日本語仮題『ブロックチェーン技術を商業化する: 物理世界への戦略的応用』)という本のなかに、この下に引用した文章があり、このなかに、「Blocksquare」についての記述があります。ご参考までに。
NFTs go beyond digital collectibles. NFTs give the opportunity to tokenize real-world goods, which can be much more fruitful from an investment perspective. There are many projects happening in art (Artory with Christie's), Real Estate (BlockSquare), ticketing (Upgraded), and high-end fashion (MonoChain). NFTs can be the backbone of a new Blockchain-powered economy. We will explore below more potential use cases.
〔意訳: NFTが秘めている可能性は、「単なる、収集価値のあるデジタルグッズ」というだけではなく、それをはるかに超えるものです。NFTの仕組みを利用すると、物理的なモノをトークン化(NFT化)することができます。物理的なモノは、トークン化(NFT化)されることによって、それまでよりも、はるかにすぐれた投資対象になります。すでに、下記のような、いろいろな分野で、「物理的なモノをトークン化(NFT化)する」という仕組みを活用したプロジェクトが動き出しています。
● アートの分野: Artory (artory.com) (パートナー企業: オークションハウス(競売会社)の Christie's)
● 不動産の分野: BlockSquare (blocksquare.io)
● チケットの発券業務の分野: Upgraded (upgraded-inc.com)
● 高級ファッションブランドの分野: MonoChain (monochain.org)
このように、NFTは、ブロックチェーンを活用した新しい経済を支える、中心的な主柱になり得るものです。ここからは、具体的なNFTの活用事例を紹介しながら、NFTが秘めている可能性を、さらに探っていきたいとおもいます。〕
(出典: Antony Welfare (2019) "Tokens Take Us Beyond Money", "Tokenization", "8 First Use Cases", Commercializing Blockchain.)
(注記: 日本語翻訳(意訳): 引用者.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
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