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「英語車掌の英語勉強法」から学べること

3年前の今頃、年明けに引いた風邪から回復せず、仕事にも復帰できないでいました。お花見シーズンも近く、通訳ガイドのご指名も何件もいただいたのに、涙ながらに全てお断りしたのを覚えています。

その後、体調は悪化し長期入院。2つの難病が発覚したのですが、治療も進まず、体調も良くならず…希望を失いそうな中で多くの方と出会い勇気をいただきました。

その内のひとりが人気ブロガー/カウンセラーの南野原つつじさんです。つつじさんが先日あるキャンペーンをされていて、なんと私、素敵なプレゼントをいただいてしまいました!(↓キャンペーンは終了しています)

つつじさん、ありがとうございます♡ 嬉しい!
いただいたのは「英語車掌の英語勉強法」というご本♡

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英語車掌SEKIDAI」さんこと関大地さんは、2007年にJR東日本の車掌となり、車掌による英語アナウンスがなかった当時独学で英語を学び、車内英語アナウンスをするようになったそうなのです。

すごくないですか?!外国人の乗客と片言でコミュニケーションしたり、暗記した英文を読み上げるのなら、多少練習すればどうにかなります。でも、「自分の言葉で即興で英語でアナウンスをする」というのは難しい。

パンデミック前、私が通訳ガイドをしていた時は個人のお客様のみだったので、大勢の前で英語で説明したりアナウンスすることは全くありませんでした。

でも昔、ガイドの資格を取って間もない頃、来日したインド海軍の方々のアテンドをした時、ある施設での見学中、ツアーを取り仕切っている担当者から「集合時間のリマインドの放送をしてください」と言われたのですね。

事務所に連れていかれると、学校の放送室のような設備がありました。
すみません、インド海軍の方向けにアナウンスをさせていただきたいのですが…」と申し出ると、係の方はすぐに手元のボタンを押し、ピンポンパンポーンと音楽が流れ、ONになったマイクを渡されました。

えっ、なんて言えばいいんだろう?!

私としては、心の準備と文章を考える時間がちょっと欲しかったのですが…いきなりマイクを手渡され心の中ではプチパニック(笑)

"Ladies and gentlemen..."という言葉が思い浮かびましたが(これも今は使われませんね)、乗組員は男性しかいなかったので、こう始めるのもおかしいですし…ドキドキしながらも澄ました顔で

Attention please, crew members of INS India...please come to the main entrance at 5 pm.

とかなんとか、拙いアナウンスでしのいだ記憶があります。笑

昔、英検1級や通訳案内士試験の面接試験を受けた時も、私はあまり練習やスピーチの暗記などはしていなくて、ほとんど即興で話していました。「暗記」すると、一部忘れてしまった時にリカバーできませんし、聞いている人も、

・暗記した内容を言っているだけか
・自分の言葉で話しているか

分かると思うのですよね。

そんな思いもあって、この英語車掌SEKIDAIさんは本当にスゴイな!と。しかも、元々は英語が苦手だったそうなのです。なので、SEKIDAIさんの本は英語力をUPさせたい方にすごーく役立ちます。私がやってきたことと重なる部分もたくさんありました!

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SEKIDAIさんが素敵だなと思ったのは、流行りの学習法や皆がやっていることに飛びつくのではなく、自分はどうなりたいのか?自分は英語で何をしたいのか?を常に考え、実践されてきたところ。

もう発音で悩むことはなくなった

SEKIDAIさんは英語の勉強を始めるにあたって発音をアメリカ英語に絞ったそう。HIPHOPやストリートダンスが好きで「アメリカ発音の方がこの先役立つ」と感じたからだそうです。これは本当に正解と思います!

アメリカ英語を選んだことではなく、発音を絞ったことが、です。

イギリスが好きで主にイギリスで活動する予定なら、イギリス英語の発音を練習した方がよいし、オーストラリアに留学するならオーストラリア英語の発音に集中すればよいですよね。

一番よくないのが、主にアメリカ英語の発音を学びながら、「でもブリティッシュイングリッシュもカッコいいよね!」と違う発音をかじってみたり、こっちにフラフラ、あっちにフラフラしてしまうこと。

私も昔スペイン語を学んでいた時、講師はスペイン人ではなく南米の方を選びましたし、発音や語彙も南米やキューバのものを意識していました。私はスペインに行きたかったわけではなく、サルサ(ダンスや音楽)で使われるスペイン語を学びたかったから。

もちろん、コミュニケーションする際には色々な国の様々なアクセントを聞くでしょうから、理解できるようになることは必要ですが、自分の発音はまずはどれかに絞るのが良いと思います。

単語カードが合わないことに気づいた


SEKIDAIさんはある時電車の中でリングがついた単語カードを使っている人を見かけ、さっそく100均で同じものを買い、単語カードを作ってみたそう。

でも結局、ご自分には合わないと感じてやめられたそう。単語の覚え方は色々ありますけど、私もこういう単語カードって苦手です。

SEKIDAIさんは、

周りの人がやっているからといって、自分もやる必要はない。

と書かれていました。

私もTOEIC愛好者の必需品「金フレ」も持っていませんし、他のアプリや教材も使っていませんが、TOEICで満点を取れました。大流行の「英語のハノン」もやっていません。

みんながやっているから自分もやらなきゃ…!

と焦る必要は全くないのですよね。

SEKIDAIさんも言うように、自分の学習スタイルと合っているかどうかをきちんと考えることが大事ですね。

英語を身につけて何をしたいのか?考えた


SEKIDAIさんは最初なんとなくTOEICの学習ばかりしていたのですがその内に違和感を覚えるようになります。

なぜなら、彼の目的は

海外から来た方に笑顔になってほしい
鉄道の利用者を不自由なく案内したい
不慣れな地でトラブルに合っても安心してほしい

だから。

英語を学ぼう!」と決めた時、なんとなくTOEICを目標にして、TOEICに特化した学習を続ける方も多いですよね。TOEICって日本では知名度も高いし、受験しやすく、教材や指南書もたくさんあり、スコアも数値で出るのでとっつきやすいのだと思います。

もちろんTOEICも役に立ちますが、ずーーっとTOEICだけをやり続けるのは本来の「英語の習得」とはズレてしまうと思うのですよね。

先日「英語のハノン」著者横山雅彦さんのツイートが流れてきました。「英語のハノン」は私は使っていませんが、

英語の勉強そのものに打ち込んで、腕試しに受けたら満点だった、というようになってほしい。本来試験とはそういうものですし…

という所に、とっても共感!

英語車掌SEKIDAIさんも、TOEICでスコアを上げるために作られた教材を使っていたら、それ以上にはなれないと感じられたそう。

自分が本当に身に着けたいのは、TOEICスコアではなく英語でのコミュニケーション能力。日本の鉄道業界の英語案内サービスの基盤を僕が作ってやる!と決意されたのです。

こう決めたら、やるべきことがどんどん明確になって、英語の上達も速かったのでは?と思います。

私も英語コーチングをしている生徒さんを見ていて、「英語話せたらカッコいいな」というような曖昧なモチベーションより、ご自分の使命や目的、英語でやりたいことがハッキリしている人の方が、やはり、気持ちや学習のペースなどもブレが少ないです。

スピーキングはどうやって練習した?


SEKIDAIさんのスピーキングの練習/上達法も理にかなったことばかり。たとえば、ご自分の声のトーンと似た同性の方をロールモデルにされたこと(←これ重要)。

英語の車内アナウンスをするにあたって、ゼロから自力で英文を作ったのではなく、海外の鉄道アナウンスの使えるところを真似して、必要に応じてアレンジしたり。

私も翻訳の仕事を始めた頃、リリースノートや仕様書をどう英訳すればよいか分からず、MicrosoftやIBMなどのウェブサイトを参考にしていました。

こちらで詳しく書いています:

自分の限られた英語力でがんばったところで、おかしな英文になってしまうと思うのですよね。それよりも、正しい英語を真似して、どんどん自分のものにしていった方がよい。

また、Siriを使って発音チェックをしたり、ボイスレコーダーでご自分の英語を録音したりあとは、駅で困っている方に積極的に声をかけたり、「話す」ことをすごくされている。

英語を話せるようになりたい!」と言って、机の上で問題集を解いたりTOEICのテスト対策ばかりしていても話せるようにはならないですものね。

英語車掌さんの一番スゴイところ!


「英語車掌の英語勉強法」を読んで私が一番感心・感動したのは、英語車掌SEKIDAIさんの「勇気」です。

50年前だったら、英語が話せるというだけで称賛されたと思います。でも今は、英語を話せる人は大勢いますし、何でもSNSで拡散される時代です。どんなに頑張っても、どんなに英語がうまくても、発音がどうこうと言われたり、批判されるリスクもあります。

英語での車内アナウンスだって、会社の命令で仕方なく行っているのであれば、もし批判の声があっても

こっちだって好きでやってるんじゃない。
会社の命令だから仕方なく…

と言い訳できます。

でも、SEKIDAIさんの場合、ご自分で「やろう」と思われたのですよね。

これなら大丈夫だよ!」と背中を押してくれる人、責任を取ってくれる人も特にいない。そんな中で「よし、やってみよう!」と踏み出すのは勇気が必要だったと思います。

まだ勉強中なので…私の英語力、まだまだなので…

と言って、ずっと「学習者」でいることにして、英語を使う場に身を置かないというのはラクです。

もしかしたらSEKIDAIさんも「自分の英語力どうだろう?通じなかったり、批判されたり、笑われたらイヤだな」と思われたこともあったかもしれません。

でも、それよりも、英語アナウンスで、困っている人を手助けしたいという気持ちが強かったので行動ができたのですよね。

英語学習者から英語を使う側へと踏み出す

その勇気が本当にすばらしいな、と思ったのでした。

私の英語も完璧ではありません。でも「私まだまだなので…」、「英語はまだ勉強中なので…」と一生言い続けるのではなく、これからもどんどん英語を使って仕事をしたり人生をエンジョイしていきたいと思っています。

…ということで、英語に興味のある方、行動する「勇気」が欲しい方におススメの1冊です!






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