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ビターなザクザクフォンダンショコラ@Liere

こんばんは。フードイラストレーターのyuckyです。
自分が「食べたもの」に「物語」を組み合わせた【食べ物語】という作品を発信
しています。五回目の投稿は、千葉県八千代市にあリますLiere Cafeで頂いたフォンダンショコラを作品にしました。前回に引き続き、今回一緒にお店に行ったお友達と共同で作品を作りました。お友達が物語を、私がイラストを描きました。
今回も素敵な物語に仕上がりました^^

見てくれた、読んでくれた方のお腹と心が満たされますように。

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今年はじめての雪がさらさらと降りだした午前5時。
一台の軽トラックが積荷をガチャガチャいわせながら丘の上の草原にやってきた。

男は運転席から降りると、草の上の雪片で靴がじわりと湿るのを感じながらぐるりと草原を見渡した。
「……あの辺だな。」
荷台から草刈機を下ろしエンジンをかけると、膝まである草の中を、筆で曲線を描くようにスイスイと刈っていく。男の後ろにはあっという間にくねくねの一本道が出来上がった。
草刈機のエンジンを止めて振り返り、満足そうに眺めると、その道の先にロープと木杭で器用に大きな円を作り、その内側をまたスイスイと刈っていく。


男は毎年冬がくると、祖父から譲り受けたこの草原にちょっとした小屋を作る。
暖かいその小屋で、小さな絵を日記のように描き綴りながら、美味しい料理を黙々と作って過ごすのが彼なりの一年の締めくくり方なのだ。
男が「巣篭もり」と呼んでいるこの習慣ももう10年目になり、丘のふもとに暮らす人々にもすっかり知れ渡っている。
ふらりと遊びにきた人に料理を振る舞っているうちに、今では自然と知る人ぞ知るカフェのような存在になっていた。


さて三日後。草原が夕日に染まる頃、以前からずっとそこにあるかのようにすっかり落ち着いた様子の小屋にあかりがぽっと灯る。
それを合図に、寒さで頬を真っ赤にした幼い姉妹と両親がさっそく丘を上ってやってきた。
姉妹は雪のかたまりをザクザクと崩しながら、くねくね道を転がるように走り、勢いよくドアを開けた。
姉妹は暖かい小屋の空気に溶かされた満面の笑みで、びっくりした顔の男に目が合うなり問いかける。
「ねぇ!あのチョコのやつある?!」

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このお話は全てフィクションですが、このカフェもこのスイーツも実在します。
しかもこのお店は、ヘアサロンとカフェが併設しているんです。カフェの壁には素敵な絵も飾られていて、とっても落ち着けるお店です^^
ぜひ、お店に行ってみてはいかがでしょうか♪

Hair&Cafe. Gallery Liere
https://liere.jp

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今回物語を作ってくれたお友達は、お庭や外構の設計をしています。
素敵なHPはこちら^^
マツドランドスケープ
https://www.matsudo-landscape.com

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