「舞台 灼熱カバディ」観劇感想④

 こんにちは、雪乃です。カバステ感想、前回の続きです。なんかもうカバステが楽しすぎて、人として狂う際(きわ)にいます。誰か助けてください。

 前回の感想はこちら↓から。

 公演ごとに変わる要素も楽しいカバステ。キャストが交代で演じる通りすがりの部員役から1年生トリオの会話までガラッと変わるので、何回でも観たくなります。高谷ファンクラブのくだりは、六弦歩ファンの話になったときに客席に向かってお礼をする川隅さんがめっちゃ記憶に残ってます。

 そして初見で結構驚いた劇中歌。普段ミュージカルばっかり観てる人なので、お芝居から独立した曲が入るとびっくりしますw
 演出の先生がブログに上げてくださった歌詞を見ると、本当に「カバディ」なんですよ……アニメの主題歌もそうだったけど、カバディのイメソンが増えていくのが嬉しい……。あと王城さんが踊ってるときも王城さんなので全体的に重心が低めなんですよね。ラストの曲で足でリズム取ってるときもすごい好きです……。あと2/23のマチネでは、普通に関くんにツボったっぽい高崎さんが割と素で笑ってらっしゃいました。そのあとスッ……ってかっこいい部長に戻るのも好き。

 アニメ版王城さんは全体的にカバディへの独占欲が滲み出るようだったんですが、舞台版王城さんはあまりそういう側面は感じませんでした。「守備やろうか」と言うシーンも、チームを引っ張っていくキャプテンらしさが前面に出ていた印象を受けてました。あの「守備やろうか」の言い方、本当に好きしかない……。井浦さんの手を取るシーンも含めて、全体的にベクトルが外側に向いている王城さんでした。だからこそ魂のベクトルがカバディにだけ向いている「アイのチカラ」は舞台で観たいな〜〜〜!!!!カバステ続いてくれ〜〜〜!!!!

 王城さん関連で、闇の表現の話。王城さんが闇を発動(?)するシーンで使われていた照明が赤だったんですけど、何の因果かミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター 北斗の拳」でラオウの闘気を表現するのに使われていた照明も赤でして。「王城さんの闇ってラオウの闘気の同義語だったんだな〜」とか思いながら観てました。私の推しって世紀末覇者だったんですか?

 そしてステで驚いたのが、井浦さんの比重ですよ!宵越がトップスターの演じる役だとして2番手格は畦道くんか王城さんか、と思っていたら井浦さんでした。王城さんはどちらかというと専科スターの枠。すみません宝塚1回しか観たことがないので割と適当に言ってます。

 井浦さんが宵越とは別に主題を担い、裏の主人公のような役割を果たす。「ジーザス・クライスト=スーパースター」におけるイスカリオテのユダのようでもあると、ジーザス好きとしては思わず考えてしまいます。
 カバステはもっと「宵越の物語」にまとめてくるかと思っていたのですが予想以上に井浦さんの比重が大きく、しかしそれによって話がまとまらない、ということが絶対に起きていない。むしろ限られた時間内で群像劇としての深みを出す。この辺りの脚本的なバランスが凄い作品。
 ただ、こういう群像劇的な作りはプロットが複雑になるほど演劇にしにくい気もします。完全な群像劇である「コーラスライン」のプロットがごくシンプルであるように。「フィスト・オブ・ノーススター」は1本の演劇にする上でまとめまくってもなおプロットが込み入っているので、削りに削って「ケンシロウの物語」に集約させていました。

 あとオープニングカバディからお芝居のオープニングに移行していくところを見ても、やっぱりカバステのベースにあるのはカバディ、そして肉体の動きなんだろうなと思います。言葉ではなく。
 肉体がベースとなるからこそ、肉体だけでは表現しきれない局面が出てくる。そういう局面に来て、初めて心の奥底から言葉が溢れ出る。この流れを見てふと思い出したのがミュージカル。
 ミュージカルは言葉で表現しきれなくなったときに初めて音楽が出てくる形態の演劇です。カバステはミュージカルにおける「言葉」と「音楽」の関係性を、「肉体」と「言葉」に置き換えた。私には、そういうふうに見えました。
 肉体の動きだけで足りなくなったときに、初めて溢れ出る言葉。もしかしたら言葉、そして言語はこうやって生まれたのではないかとすら思えてきます。
 肉体と言葉の関係性がそのままカバディにおいて必要とされる本能と理性の関係性にも当てはまることで、演劇とカバディの境目は試合シーンにおいていよいよ見えなくなり、カバディと演劇が不可分になる。演劇体験としてもとても面白いものが生まれたなあ、と思います。

 話が混線しました。途中ちょっと脱線したし。この辺はまた後できちんとまとめ直そうと思います。

 とりあえず私は早急にBlu-rayを注文します。本日もお付き合いいただきありがとうございました。

 


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