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初めてハマったスポーツ漫画は、灼熱カバディでした

 こんにちは、雪乃です。今日は単刀直入にいきます。武蔵野創先生による漫画・灼熱カバディの布教記事です。要約すると「全人類灼熱カバディ読んでくれ」になるのですが、いろいろ語りたいので、読んでいただけると泣いて喜びます。

 もともと別件でマンガワンについて調べていて、その中でたまたま目に入ったのが灼熱カバディでした。今までスポーツ物にハマったことは一度もなかったので、灼熱カバディも「絵柄が好みだな~」ぐらいのノリで読み始めました。

 いや~~~~本当に面白くて面白くて。ここまで感情を揺さぶられる作品は初めてなんじゃないかというほど面白くて。マンガワンで最新話を読んでいるのですが、最近はずっと泣いてます。号泣です。

そもそも、カバディとは

 カバディとは、インド発祥のスポーツです。1チーム7人で、攻撃手(レイダー)と守備(アンティ)に分かれて戦います。攻撃側が守備側の体や衣服に触れたうえで自陣に戻れば、触れた人数が得点になります。アンティはレイダーを捕らえ、レイダーが自陣に帰るのを阻止できれば得点が入ります。レイダーに触れられたアンティはコートから出なくてはいけないので、ドッジボールみたいだな~と思いました。
 カバディというと、ひたすら「カバディカバディカバディ……」と連呼するイメージがありますが、この発声をキャントといいます。レイダーが攻撃(レイド)し続けられるのは、一息でキャントをしている間のみ。
 いかんせんスポーツのルールを文章で説明するのが初めてなので、わかりづらかったらすみません。詳しくは日本カバディ協会のホームページをご覧ください(他力本願)。
 灼熱カバディでは、主人公がカバディ初心者の状態からスタートするので、ルール説明はかなりしっかりやってくれます。

あらすじ

 主人公は、中学時代にサッカーで全国レベルの選手として活躍した能京(のうきん)高校1年生・宵越竜哉(よいごしたつや)。「不倒」の異名を持つほどのエリートでありながら、チームメイトとの軋轢など団体競技の負の面を経験したことですっかりスポーツ嫌いになっていた彼ですが、同級生の畦道相馬(あぜみちそうま)によってカバディ部に勧誘され、その後3年生でカバディ部副部長の井浦慶(いうらけい)から脅迫まがいの手段で勝負を持ち掛けられます。畦道に負けた宵越は、カバディ部に入部することに。
 足の怪我から復帰したカバディ部の部長・王城正人(おうじょうまさと)や能京の守備を担う2年生・水澄京平(みすみきょうへい)と伊達真司(だてしんじ)などクセの強いメンバーに囲まれ、カバディ選手として成長していく宵越。カバディに青春をかける高校生たちを描く作品です。

ここが面白い①圧倒的な臨場感

 実際に観客席で試合を見ているかのような臨場感のある作品です。武蔵野先生は、確実に読者の五感に干渉してきます。キャラクターが集中するシーンでは、何も聞こえず、時すら止まったかのように感じる没入感を味わうことができます。
 臨場感というのは決して最新話ないし始めて読むエピソードに限った話ではありません。一度読んだエピソード、すなわち展開も結果も知っている試合を読み返しても、なおハラハラします。

ここが面白い②キャラクターの魅力

 灼熱カバディの魅力の核となるものの一つ、それはキャラクター。嫌いになれる登場人物が、一人もいません。第一印象で「いや何なん?」と思ったとしても、その人の人となりや信念、カバディに向き合う姿勢、今まで積み上げてきた人生が描かれていくにつれ、いつのまにか好きになっている。そのキャラクターを描くために回想シーンが挟まれるのですが、決して物語を運ぶテンポが悪くならないのもすごいです。負けたチームや、名もなき三年生に対しても真摯に描かれる、積み上げてきた時間の重み。それが熱くて厚い人間ドラマを生み出しています。

 キャラクターを描く上ですごいのが、「天才」の描き分け。灼熱カバディには、主人公の宵越を始めとした多種多様な天才が登場します。序盤に強い人もいれば、逆に終盤でこそ力を発揮する人もいる。天性のセンサーで活躍する人もいれば、経験から作り上げた引き出しの多さを武器にする人もいる。そして、その才能や能力の一つ一つにすべて根拠がある。だからこそ、天才のインフレが起きそうになっても、「やりすぎ」とは感じない、匙加減が本当に絶妙です(それにしたって高谷はやばいだろとは思う)。

 でも、天才がいるならやっぱり凡才もいるわけで。そして灼熱カバディは、凡才をないがしろにしない作品なわけで。それが最も良く現れているのが、能京のコーチ・久納栄司と大山律心の監督・亜川公継の関係です。選手としては、久納に勝てなかった亜川。彼が何を思って指導者をしているのかは、私の語彙力では語れません。あまりにもしんどいので。ぜひ本編を読んでください。

ここが面白い③リアリティとデフォルメのバランス

 私はスポーツ物を本格的に読むのは初めてですし、何よりカバディも灼熱カバディを読み始めてからルールを調べたクチです。ですので、スポーツの描写に関してどこまでデフォルメしているのかなどの考察はできません。ただ、インドのカバディの試合動画を見ると、「あれ灼カバで見たやつか……?」みたいなシーンは割と出てきます。素人が見ているので、どこまで合っているのかは不正確ですが。
 灼熱カバディ、正直読み始めの頃は「いやこれ、ハマるかなあ?」みたいな感じだったんですよ。でも、読んでいくうちに絵柄も演出もどんどん洗練されていくのが分かるんですよね。私がハマる決め手になったのが合宿編で、あそこで人間ドラマとスポーツを描く上での「リアリティ」と、漫画的な「デフォルメ」のバランスが完全に私のツボでした。ですので、ぜひ合宿編までは読んでほしいです。
 漫画という表現技法に真正面からぶつかった人間の肉体の描写や、外園というキャラクターの歩む道を象徴的に描き出す電車の演出も必見です。

ここが面白い④ちゃんとカッコイイ主人公

 どのキャラクターも魅力的な灼熱カバディですが、一人一人について語っていると絶対に終わらないので、ひとまず主人公について書いておこうと思います。といいつつ、どこかでキャラクターに特化した記事も書くかもしれません。
 あらすじでも書きましたが、灼熱カバディの主人公である宵越竜哉は、中学時代はサッカーのスター選手。187.5㎝という恵まれた体躯に高い身体能力、他の追随を許さないスピードなど、あらゆる才能を持つスポーツエリートです。さらにはメンタルも安定しており、序盤での流れを作る能力に関しては部長の王城を凌ぐほどの能力の持ち主。
 そんな宵越ですが、ちゃんと努力もできるタイプの天才なんですよね。むしろ努力ができるからこそ、彼がいかに天才かが際立つというか。彼は、自分の持つ能力を合理的に伸ばすにはどうしたらいいかをきちんと考えて動ける子であり、それが宵越の強さです。
 その一方で、ちゃんと彼が立ち止まるシーンがあるのが、灼熱カバディが真摯かつ丁寧な作品である所以でもあります。立ち止まって、ぶつかって、成長していく……とだけ言うとオーソドックスすぎるかもしれませんが、立ち止まることにも成長することにも、ちゃんと理屈が用意されている、だからこそ、宵越は応援したくなるんです。
 その一方で、夏休みの宿題が全然終わっていなかったり、彼女がいる畦道に嫉妬してデートに乱入したり、スポーツ以外はかなり残念なイケメンです。そこがまた可愛いんですよね(真顔)。

 さすがに3000文字超えたので、このあたりで一旦切り上げようかな。まだ王城さん(ちなみに最推し)のことも神畑くんのことも外園さんのことも佐倉くんのことも語ってないけど、どう考えても字数がえらいことになるので。

おわりに

 灼熱カバディはマンガワンのアプリで全話読めます。マンガワンは作品を読む際にライフというポイントを消費するのですが、ライフが一日8話分は無料で貰えるので、たぶん一か月くらいで追いつけると思います。最新話の先読みもできるのでぜひ……!

 何回か書いているのですが、灼熱カバディはアニメ化が決定しています。めちゃくちゃ楽しみです。まだキャストは発表されていないのですが、多分私は王城正人の声を聴いた瞬間に発狂すると思います。ここのところ公式ツイッターの更新がないのでさびしい……。

 王城正人について5000字くらいかけて語る記事とかをうっかりアップしても引かないでください。割とマジでやりかねないし、なんならパワーポイントでプレゼン資料とか作りたくなってるので。

 長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

 
 
 

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