「灯篭」と「とうろう」
お盆の8月13日の前日、12日にいつも飾るものがある。
「灯篭」と「とうろう」だ。
灯篭とは、漢字のとおり、篭(かご)に灯りをともす照明器具で、ご先祖様があの世で迷子にならないためにという理由と、里帰りのお迎えをするための道しるべとなるなどの意味があるのだという。
毎年わざわざ箱から出して組み立てる灯篭。一周忌や三回忌などの節目のときにもお目見えする。
12日から13日にかけて、仏壇の部屋にある灯篭が怪しくゆらめく光をみて、お化けがきた~と涙目になりながら、仏間を通過したのを思い出す。微妙に中の光が回転するものだから怪しさ倍増なのだ。
年を重ねるたび、怪しかった光が見ているだけで心が安らぐというかなんとも言えない心地よさを感じるようになってきた。
12日にはもうひとつの”とうろう”も飾る。
仏壇の上のほうに飾る”とうろう”だ。何かというと、正体は最中。茄子やぶどう、ハス、提灯などをかたどったカラフルなモナカをひもでとおして吊るすのだ。
意味や名前を気にしたことがなかったが、お母さんに
「とうろう飾って」
と言われて渡された袋をみて”とうろう”という呼び名とわかった。
ここで気になるのが同じ呼び名の「灯篭」
何が違うのだ?
「そんなこといきなり言われてもわからないわよ。小さいころからお盆には飾るものと決まっているんだから。」
というじゃないか。近所の物知り95歳スーパーばあちゃんにも聞いてみたが
「そうじゃな、灯篭ととうろうは何が違うんじゃろ。当たり前のように飾ってたからな」
と誰も理由がわからない。ちなみに袋には
”食べられません”と書いている。
材料を見ると、最中だから食べてもよさそうだが・・・とスーパーばあちゃんに聞いてみた
「昔は、お盆が終わったらおやつとしてみんなで食べたんじゃがのう。なんで食べたらいけんのじゃ?」
とこれまたわからない。ただ付け加えた答えがなかなかごもっとも。
「ご先祖のために彩りよく迎えるためのものじゃないかのう」
ちなみに、お墓にはカラフル落雁を飾る。
こちらは賞味期限が書かれているものの一度も食べたことがない。お母さんが子どものころはお盆明け、落雁を食べていたそうだ。
「今は、こんな砂糖固めただけのお菓子よりもっとおいしいお菓子があるから食べないでしょ」
という。しかし、毎年毎年、ただ飾るために、とうろうも落雁も買ってもったいない。なんとかならんもんだろうか。とゴミが増えるし、無駄だと力説すると
「確かに、ただ飾るだけだし、最近はお墓にお供えしたらすぐに持って帰ってくださいと言われるわね。片づける人も少なくなってきたし、カラスも狙うし。でもお母さんがしっかりしている間はやるの。おじいちゃんの教えだし。やめたければあんたの代からにして」
と言われる。つい、ゴミとかもったいないと考えてしまうが、実際、仏壇をキレイにして飾ったりしていると気持ちがおだやかになっていく。おじいちゃんに話かけてみたり、いつもとは違う時間の流れが心地いい。
もったいないなとは思うが、お母さんがしっかりしているうちはしっかりお手伝いしようと思う。こう毎年やっていると、だんだんお盆のルーティンと化してきて、結局やり続けそうな気もする。
でも、毎年買うのはやっぱりもったいないな・・・もしかしたら最中はしけっちゃうとよくないのだろうか。そもそも最中じゃなきゃいけないのだろうか。
昔から~というが現代には現代にあったお盆というのがあるはず。時代の変化にあわせ”とうろう”もリサイクル製品を考えてもらいたいものだ。ただ、この商品を販売している業者もあるわけで、エコのために!ゴミ削減!となかなか声高にいえないのも現実なのである。
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