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自分ではおてもやんに気づかない

外出をしないメリットは化粧をしなくていいこと。
オンラインミーティングがあったとしても、美白の女王と呼ばれた鈴木その子さんばりにライトをあてれば、しみ、しわ、そばかすが見事に消え、画面越しには透明感あふれる肌になる。
アプリの美肌効果技術に感謝するばかり。

化粧をしないどころか、顔も洗わずに仕事ができていたのだが、いよいよ外出が増えだすと、さすがに化粧をしなければならない。
めんどくさいならやらなきゃいいじゃんとなるのだが、自分は見えないからいいのだが、しみ、しわだけでなく、左ほおの上に高齢になると発症しやすい肝斑(かんぱん)までお目見え。

いつからお前は出てきたんじゃー!と叫びたくなるくらい、いつのまにやら、
「わたしずっとここにいましたのよ」
としれっと出てきた。

1円玉よりちょい小さいくらいの肝斑。見つけるとものすごく気になって毎日眺める始末。肝斑が顔に鎮座してからというもの、おば顔がパワーアップしたように感じる。
実家に帰省したときにお母さんに見せると

「そんな薄いの誰も気づかないわよ。わたしなんてほっぺはたるむし、目はくぼむし・・・・」

自分の高齢化についてこのあとひたすら30分しゃべり倒していた。いつものことながら同じ話を毎度聞いているので、うんうんうなずくだけでほぼ聞いてない。

自分が思うほど人は気にしていないというし、気にならないのかも。いやいや、こんなお目汚しになるものを世間にさらしては申し訳ない。皆さんの視力を落とすわけにはいかない。

ということで、シミ隠しの強い見方「コンシーラー」を購入し、気になる箇所にポンポンとおいていく。これがなかなか終わらない。昔は数か所におくだけだったのに、気になるシミが大量にありすぎて、ポンポンどころか頬全体、目の下あたりのクマも含めて広範囲にポポンがポン。
納得するまでシミを隠した後、パウダーファンデーションをスポンジにさっととり、肌に滑らせていくのだが、なんだかんだと気になり、何往復も肌の上を滑らせ、気づいたときには鈴木その子さんの一歩手前の白さ。

こりゃ、いかんとティッシュで顔をおさえ、落ち着かせてからアイシャドーやアイライナー、マスカラ、仕上げにチークをポンポポンといれて出来上がり!

と気分上々に鏡で全体を眺めると、な~んか思っていたのと違う。
すっぴんの自分に慣れてしまっているからか、ものすごい圧のある顔になっている。ギラギラしているし、目がなんというか怖い。
アダムスファミリー??

でも、さほど厚塗りしたとは思わないし、化粧顔になれてないだけかもしれない。
めったにやらないスマホの自撮りで確認してみるとまあまあいい感じではないか?と思い直した。マスクをつけているときは、濃いアイメイクのほうがなんだかモード系のようになって、かっこよく見えていたしと勝手に自分の中で納得し、もう時間もないし、出かけるべ~と体に湿気がまとわりつく下界へ飛び出した。

ちょっと歩いただけで、汗が背中を流れていく。もちろん顔面からも汗が噴き出してくる。
化粧が崩れないようにタオルでトントンと汗を吸い取る。

取材の待ち合わせ場所で編集担当を待つ。編集担当といっても長年の友人。コロナでなかなかリアルで会えず、3年経過。仕事といえど会えるのをとても楽しみにしていた。

いろいろしゃべりたいことがあるんだよな~とルンルンして待っていると、やってきた友人が開口一番

「おいおいおい、ちょっとちょっとちょっと!!!!おてもやんですやん!」

再会のハグの準備をしていたのに、ハグをさせてもらえないどころか、腹をかかえて笑っている。

「あんた、鏡みてきた?やばいって、まじ、おてもやん!」

やっぱりコンシーラーを塗りまくり、適当にチークいれたのがまずかったか・・・

「それか、あれか、あんた流にいうと八代亜紀状態だな」

解説しよう!
八代亜紀とはあの歌手の八代亜紀さんのことで、その昔、テレビで八代亜紀さんをみると、ものすごい厚化粧で、なぜここまでするんだ!と思っていたことにより、厚化粧の代名詞を八代亜紀さんにしたことが由来。

ちなみになんかのトーク番組で、本人いわく
「よく厚化粧っていわれるんですけど、ファンデーションとかはそんなに塗ってないんですよ。もともと目鼻立ちぱっちりなのにアイシャドーをがっつりいれるから厚化粧っていわれちゃうんでしょうね。おほほほほ」

といっていた。やっぱり厚化粧じゃ?と思ったけど。

ということで、おてもやん&八代亜紀状態のわたしをフォトACで見つけたと喜び勇んで送られてきたのがこのイラスト。

思い返せば、まじで似てる。
美容院にいきたてだったからオンザ眉毛だったし、ネイビーの上下にあわせて、紫っぽいアイシャドーをチョイスしたところなんかも似ている。
わたしをモデルに書いたんじゃないかという仕上がり。

ちなみに、仕事終わりの飲み会で、そもそもおてもやんって何なん?

って話をし、日本昔話に出てくる真っ赤なほっぺの田舎の女の子のことだよねと言いながらググると、熊本地方の民謡からきてるそうな。

あれ?このこたちおてもやんじゃないじゃん!ほっぺが赤くない!と突っ込みつつ、聞いていると、熊本弁がひどくて最初の「おてもやん」しかわからない。

ありがたいことに現代語訳をしているサイトがあって読んでみると、

おてもやん、あんた最近、お嫁にいったんじゃないの?いったんだけど、旦那が痘痕(あばた)があって醜すぎるから式はあげてないんですわ。でも、村の火消し役や世話役がいるからなんとかしてくれるから大丈夫よん。

おてもやん、かわいくないどころか無茶苦茶。ほっぺたが赤いかわいらしい田舎娘とは程遠い。つか、問題児じゃないか!

ということで、二人して、今度から変な顔とか、ほっぺが赤い人のことなんていう?会議を繰り広げた。

それにしても持つべきものは友だ。
ちょっとした知り会いであれば、気を使っておてもやん状態の顔については見て見ぬふりをするであろう。本当のところをリアルに指摘してくれる友がいるのはありがたい。たまにいわれすぎてへこむときもあるが。
ちなみに的を得ている友人いわく

「つかさ、鏡って自分がこうありたいという姿を映すらしいよ。恋は盲目ならぬ、自分の姿かたちは盲目ってか。しかもさ、この自撮り写真。美肌効果マックス10設定じゃん!いみね~よ」

と、返す返すごもっとものご意見ありがたく頂戴する。

コロナですっかり化粧の仕方を忘れてしまったよ。というと
「ナチュラルメイクの方法」が死ぬほど動画であがってるんじゃね?

ということで、帰りの電車で早速みた動画によると、スポンジやパフは厚塗りになりがちだから、メイクブラシがおススメだそうだ。

知らなかった!メイクブラシってチークのときしか使ったことがなかった!ファンデーションはついているパフ、アイシャドーなんか指でぐりぐり塗っていた。
ファンデーションもメイクブラシでやるのだそうだ。しかも、リキッドファンデーションはさらに厚塗りになりがちだから、メイクブラシが断然おススメと美容家さんが力をこめていっていた。粉のりがよくナチュラルに仕上がるんだって。

ということで、ちょいとお高めだったものの、毛並みがよさげな熊野筆をぽちり。
これで来週からナチュラルメイク美人になっているはず。

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