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バキュームを歯でキャッチし続ける夏

天気予報で気象予報士の方が

「今晩は熱帯夜です。適宜冷房をつけて熱中症にご注意ください」
「冷房は28℃に設定し、水分補給をしっかりとしてください」

と連日のように呼び掛けている。
確かに暑い。
しかし、冷房をつけると負けたような気がして(誰に?)まだ扇風機でしのいでいる。
ただあまりにも言うことをきかないとそれはそれで天気予報士の方にも申し訳ないので、水分補給はしっかりとることにしている。
というか暑いから飲まずにはいられない。

最低気温25度、最高気温32度を超えるとしばらくは体が慣れなくてだるくなるが、暑さに慣れてくるとほどよく汗もかけるし心地よくなる。

首に冷え冷え首輪を巻いたり、扇風機を回したりすればなんとかなるものである。というのも、昔、インドのムンバイに行ったときに気温45度の恐ろしい炎天下の中、あっついチャイを飲んでいるおじちゃん集団がいて、

「なぜこの暑い中、熱いチャイを飲めるのか」

と聞いたら

「暑さには熱さだ!生まれたときから暑いところにいるんだからこれくらいどってことない。お前も飲め!」

といわれ、実際飲んでみたら、まとわりつく熱気よりも熱くなかったからかす~っと飲めたのだ。しかも、ほどよく糖分もとれ、体がいい塩梅になった。だからインド人はくそ甘いチャイを飲むのかと妙に納得したものだ。
当時、灼熱地獄の中、なんだかんだいって冷房もない部屋で寝れていたという実体験もあり、暑さ寒さも彼岸までだろうと考えることにしている。
彼岸まであと1か月あるが・・・

とはいえ、やはり暑いと冷たいものを欲する。
昔は、友達とお茶するときはもはやこれはケーキではと思うほどゴージャスなかき氷や、家ではパピコやガリガリ君を常備し、毎日のように食べていた。
しかし、年齢と共に冷たいものをあまり食べすぎると頭がキーンとなることしばしば。しかも、甘いものを欲しなくなり、アイスに手が伸びなくなってきている。

ということでここ数年暑いとよく出かける場所がある。
歯医者だ。

ブーン、キーン音が眠気を誘う

認知症と口腔ケアの関連性の取材をして以来、何かと口腔ケアを気にするようになった昨今。
電動歯ブラシを使ってみたり、フロスを日課にしたりしているがやはり自分では限界。ということで、3か月~4か月に一回、歯のお掃除に行くようにしている。

最初は、認知症予防のためにと仕方なく予約したのだが、歯科衛生士さんの腕がいいのか、はたまた診察台、歯科用チェアが快適なのかものすごく気持ちがいい。

ついウトウトしてしまい、最初は
「ゆきんこさん、お口あけてください」

といわれても、眠気には勝てない。何度も寝落ちしてしまい、そのうちデンタルミラーや歯石とりを無意識に歯でキャッチする始末。さすがに歯科衛生士さんもキャッチされてはもう動かせない。

「ゆきんこさん、起きてください」

といわれるようになった。
頑張って起きよう、起きようと思うのだが、独特のウィーンという音、バキュームのウゴゴゴゴという音としゅわしゅわっと水がたまる感じ。
その非日常な口の中がなんとも心地よくて寝てしまうのだ。

さらに最後の表面磨き。
ミント系の歯磨き粉のようなものを塗った電動歯ブラシなのだろうか。
ブ~~ンという音をさせながら、程よい振動で磨いていく感じ。乗り物にのって心地よい振動を感じると、秒で寝られる私は、電動歯ブラシの振動でもよく眠れた。個人的にお仕上げと呼んでいるのだが、あの振動ぐりぐりは1時間やってほしい。一度だけ

「延長料金払ったら1時間、表面磨きはやってもらえますでしょうか」

と聞いたら、「表面なくなっちゃいますよ」と苦笑いされた。

歯のお掃除が終わると口の中がすっきりするだけでなく、脳もしゃっきり!
口腔ケアと認知症は関係がある!と感じるくらいの脳の爽快感。

この爽やかな感じが夏に欠かせなくなり6~10月くらいは月1で歯医者に通うようになった。

いつも同じ歯科衛生士さんが担当してくれるので

「ゆきんこさん、寝ないでくださいといっても寝ると思うからそこはもうあえていいません。ただ、バキュームは噛まないでくださいね」

と毎回言われる。とはいえ、寝ちゃうとバキュームをキャッチしてしまうのだ。これは無意識だからどうしようもないではないか!

ということで、歯科衛生士さんも私が寝ないようにいろんな技を駆使し

ライトの光を強くする
バキュームを少し奥にいれる(←完全なる嫌がらせw)
枕を下に下げる

などするが、やはりバキュームを歯でキャッチしてしまう。

最初のころは終わると
「歯のお掃除は定期的にやると効果がでるので3か月後くらいで予約とりましょうね」

だったのが

「ゆきんこさん、もう取る歯石もないし、半年後の予約でもいいですよ」

と期間を伸ばされる。が、

「いえいえ、来月またきます!」

とにこやかに答え、受付でも

「半年後でもいいそうですが、次回の予約どうします?」

とやはり半年押しされるものの、
「定期的にきたほうがいいと思うので、1か月後で!」

と来なくていいよオーラは無視して、1か月後にまた再訪する。

いつもにこやかながら、また来たかという顔をされるが、担当を外れてないということは意外とわたしを気に入っているのではないかと思っている。

ヘッドスパは聖母たちのララバイ

歯医者よりもさら足しげく2週間に一度の割合でいくのが美容院。

お目当てはヘッドスパだ。

ヘッドスパも最初、
「ただのシャンプーになぜエキストラマネーを払わねばならないのだ」

といって断固拒否していたのだが、いつも通っている美容院で
「ヘッドスパ専用ルームがオープンしたので、今ならお試し20分コースが無料で受けられますよ」
と宣伝され、無料ならやってみましょうかから始まった。

基本、ケチなので、「追加でつやつやトリートメントはどうですか?」
「今日使ったシャンプー特売ですよ」
と言われても買わないのだが、無料にはめっぽう弱い。

通されたヘッドスパ専用ルームはほの暗く、ヒーリングミュージックがかかり幸先いい。
皮張りの高級そうなチェアは体全体を受け止めてくれる。
そっとひざ掛けと手を置くのにちょうどいいふわふわクッションを置いてくれる気配りがこれまたうれしい。
そして、ゆっくりとイスが倒れていくと、もう「聖母たちのララバイ」だ。

お分かりにならない世代のひとのためにこちらのリンクをつけておく。

できれば聖母たちのララバイを流してほしいくらい。

♪さあ眠りなさい、疲れ切った体を投げ出して~♪

と岩崎宏美氏のヒットソングはこのくらいにして、お眠りなさいといわんばかりのしつらえ。

指の先と手のひらを駆使して頭のいたるところをもみほぐしていく。
いつものシャンプーも気持ちがいいが、シャンプーとは違う。
何かが抜け落ちていくかのようなこの感じ。

「お湯の温度はいかがですか?」
「強さはどうですか?」

と遠くから聞こえてきたが、いつのまにやら深い眠りに。

気づいたのは首にホットタオルを置かれたとき。
何をされたのかわからないが寝起きなのにとにかくすっきりしている。
目も頭もものすごくクリアなのだ。

タオルドライ後、頭皮マッサージをする前、マッサージ用スプレーでぷしゅぷしゅされた時だった。
いつものシャンプー後も気持ちがいいのだが、冷たさと爽快感が通常の倍!
なんなのだ!この爽快感は!

さらにドライヤーで乾かしている時も、熱風のはずなのに涼しい。
ドライヤーされながら舟こいでしまい、スタッフさんにご迷惑をば。
歯医者の時と違って

「起きてください」

とはいわれず、そっと舟こいでいる頭をささえてくれるあたり、さすが美容院。

普段あまりしゃべらないのだが、この感動を伝えねばと

「ヘッドスパって爽快感がすごいですね。目も頭もすっきりです」

すると

「毛穴の汚れが取れると通りがよくなるので、それでスース―するんですよ。気持ちいいですよね。もしよければ、今ならヘッドスパ専用ルームオープンを記念して特化のクーポン券あるんですけどどうですか?
10回分のお値段で1回サービスで、さらにヘッドスパで使ったシャンプーとリンスもついてるんです」

さすが、ぬかりない。いつもはこういったたぐいの営業トークには一切のらないのに、

「ぜひ!」

と二つ返事で購入。通常料金よりもお得、プレゼント付きにめっぽう弱いのだ。

冷房が効いた美容院から出ると、いつもは湿気を含んだ風が体にまとわりついて
「あ~せっかくさらさらになったのに~」
と思うのだが、生暖かい風が吹くたびに頭はスース―。

これはいい!
と気分上々、足取り軽く帰宅。

回数券も買ったしと、初年度は1か月に1回程度、冬は2~3か月に1回程度通っていたのだが、昨年から、梅雨末期から初秋にかけて2週間に一度、猛暑が続くと1週間に一度通うようになった。

さらに、おススメされるまま、冷感シャンプーや炭酸シャンプーといったひんやり系を試しては、虜になり商品を購入。回数券もリピート購入。すっかり太客となった。

美容院は髪を切る、カラーをする、パーマをあてるところだと思っていたため、髪を洗うためにいくなんてことは想像もしなかった。
そもそもそんな使い方をするのは女子力高めのセレブリティーな方だけができるものであり、大体、頭なんて自分で洗えるんだから3,4千円かけてまでやるもんじゃないと思っていた。

が、かけてまでやるものだ。

自分でヘッドスパブラシを買ってチャレンジをしてみたこともあるが、
毛穴の汚れを根こそぎキャッチできるのはプロならでは。

かき氷や冷たいドリンクを摂取してクールダウンももちろんいいがそれは一過性のもの。
歯医者や美容院でのクールダウンは持続性もあり、健康的でもあり、さらに業務効率もアップ!している。

そんなこんなで、今日もクール首輪をつけ、扇風機の首をふり、冷房をつけずに仕事をしている。

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