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父は、不思議な生き物。

あ〜あ。
前回から、こんなに間が空いちゃった。
父の話がもう尽きてしまったの、、。

なんて言うのは大嘘で、書きたいことは、まだたくさんあるのさ。
サボっていたのです。
三つ子の魂百までとはよく言ったものだ。サボり癖はいまだに出没か。
いかんいかん。

前回のレコード盤がどうのこうのを書き終わった後、次は父と姉のことを書こうと、すでに具体的な内容が頭の中に鮮明に沸き、ウッキウキしていたのに。でも、他にもっとウキウキすることが出来てしまい、そっちに足が向いてしまいました。まぁ、また後で書こう、が、来週に書こう、になって1ヶ月以上経ってしまったのです。
こんなに間が空いてしまうと、忘れるものなの?  

だったら、違うことを書こう、、。
えーっと、何にしようかなぁ、、。

えぇぃ。昨日父と少しだけ言い合ってしまったので、この勢いのまま、最近の憎たらしい父のことを書いてみよう。 
父よ、すまぬが、、覚悟するがよい。

月に数回、私と姉は電話をし合うのですが、一応、姉妹会議と言う名がついていて、ようは電話でぺちゃくちゃ長話し。
でもメインの内容は、

毎日の姉妹ラインでは拾いきれないことなどや、字面がときどき引き起こす「あぁ勘違いのうっかり八兵衛」を補ったり、父の体調や通っている病院のこと、父からの頼みごと、それから、どんなに父が分からず屋かとか、父の陰口を、そーだそーだ、ぶーぶー!と話が発展してしまう、悪い悪い娘たちの会議なのです。

父は、不思議な生き物。
昔はまぁまぁスマートだった父が、今は巨大ガマガエルのようなお腹になってしまったことも不思議だが、今回話すことは、そう言ったことではないの。
例えば、こんなこと。

私にはあーだこーだと良い、姉にはこーだあーだと言う。
(これ、一見同じようだけど、「あーだこーだ」と「こーだあーだ」は、東北出身と近畿出身ぐらいの差で違う)

私には「今日は疲れた」といい、姉には「今日は最高に元気だ!」という。

そして、「今日はよく食べたよ!」と私に言っておいて、「なんか食欲なくて困っているんだよぉ」と姉に同情を誘う。

1人でお医者さんへ行ったことを姉には秘密にし、私には散々話した挙句に、「姉が心配するから絶対話すではない」、、とか言う。そして、その逆バージョンも。

姉にはもういい歳の私の事を心配し、私にはもっといい歳の姉の心配をする。
あ、これはとてもありがたいことだった。センキュー。

兎にも角にも、我が父の言動は、なんちゅうか本中華、、。謎が多い。
なので、父の迷路のような言葉を、定期的に姉とクイズのように謎解きをするのです。

「何でそんなことを言ったのだと思う?」
「え!?わたしには内緒だって? この間は逆のこと言っていたのに〜。」
「と言うことは、食べたくないハンバーグを無理くり食べたってこと? あれを食べたいって言うからその店に行ったのよぉ〜〜」
「干し柿は、あなた(私の姉)ために作ったって言ってたよ?」
「あらま、私にはあなた(妹の私)に送ってやりたいから作ったって言ってたよ」(これもありがたい話だった。センキュー)

これらはほんのほんの、ほんの一例。
この姉妹の会話は、一見したら、ぼやき大会、、。一見したら、父の嘘や秘密を暴く会!
だがしかーし、本当の目的は、
父のちょっとした嘘や作り話が、認知が進んだのか、個性が濃くなっているだけなのか、
父の薬の飲み忘れや、違うお医者さんへ行って必要のないお薬を服用したりしていないか(過去にそれが原因で、死人に近い程の脈拍数になった事件)、
などなど、知らないうちに「どうしたものか、、?」な体調にならない対策、なのです。
薬だけじゃなくて、いろんな事柄が厄介になることも、あるしね。

なので、この謎解きはある意味、私たちには大切なのです。

私は一度、父の不思議について、直接尋ねたことがありました。
どうしてチミは人によって話を変えるのだ? と。

父曰く、、
私、そんなつもりは、一切ござーせん。

あはは。
そーか。父としては、故意に嘘言ったりしているつもりはないのだろう。
ふむふむ。

でも、それでも、、父の発する言葉で惑わされることが多いから、私はグリグリともう一歩踏み込んで言ってみた。

だけどよ? 例えば私にはこーだと言い、姉にはあーだと真逆のことを言う。
私たちも戸惑うよ?

そうしたら、父はこう言ったのだ。

あなたたちの父親を、何年やっていると思っているのですか?
姉妹それぞれの性格を、よ〜く把握して、その上で話していますから。
そして私は、時にあなた達をうま〜く使い分けていますから。ほっほっほ。


まったくどうして何言ってんだかさっぱりわからない、特に最後のほうが。
でもなんか、魔法を薄〜〜くかけられたかのように、分かったような気にもなっちゃって、さらに、ちょっと面白いなコイツ、、。 まぁ、しゃーない。いいか。
となってしまうのだ。
あーー! よくないよくない。まんまと騙されるところだった、、。

もうね、こんなのが週一回くらいあるんだから。
たまりませんよ、、。

ちょっと話がずれるけれど、数年前の煮豆事件を思い出しました。
話したい、話したい。いい?

ちょうど私が里帰りしていたある日、父が犬の散歩中に、よく声をかけてくれる御近所さんにばったり。その方と少し立ち話をしてたら、「さっき作り過ぎちゃったお惣菜があるから、よかったら持って帰って食べてちょうだい」と、煮豆を頂いて帰ってきた。

お三時(これって死語?おやつの時間ね)に、父はお豆をぱくぱく。
「上手に焚けているねぇ、うまいうまい。お前もどうだい?頂くかい〜?」
私も煮豆は好きだ。大好きだ!でも父の好物だからと遠慮して、味見程度にとどめたのだった。

で、里帰りも終わって自分の家に戻った数日後。
お散歩中にそのご近所さんとまたばったり会ったと言う父から、電話がありました。
父「あのさー。怒るかなー。」
私「なに??」
父「あのねー、あの煮豆のおばさんの事、覚えてる?」
私「あ、お散歩の時にお裾分けしてくださった、あの煮豆のおばさん?」
父「そうそう。今日散歩の途中で、またばったり会ってね。お豆のお礼を言わなくちゃと思ってさ。でさー。おばさんにこう言っちゃったんだよ。 
”いやぁ〜、あの煮豆。娘が好物だからと、ぜ〜んぶ持ってアメリカに帰っちゃったですよ!けっきょく私はひとっ口も食べられなくてねぇ、、、” 
って。そう言っちゃってさー」

なにそれ、、。 
オイ!ちょっと待て待て、、お父さん。お父さん??

父が同情を求めるような目をしてそのおばさんに話している姿が、目に浮かんだ、、。
そして私は、「何だこいつ。生かしちゃおかねぇ、、」みたいな心持ちになっちゃって、吐く息に怒りが混じり鼻の粘膜がちょっと熱くなった感じ。
動画電話から、そんな私の不動明王みたいな顔を見て、すこし慌てる父。
「まぁまぁ、まぁいいじゃないの!そういうことにしておいてよぉ。」

なにそれ、、。
豆泥棒の娘ということで。ということかぃ?

父の表現はあれだな、どうも自己流すぎるというか、ありもしないことを付け加え、笑えなくなるストーリーにしちゃうんだな。他人からしたら笑えるかもだけど、私からしたら、ちっとも笑えないんだけれども!

私が思うに、たぶんこの煮豆事件は、、
父は、その煮豆がどんなに美味しかったかと言うことを、ご近所さんに伝えたくて!ありがとうと言いたくて!
きっとそういうことなんだろう、、。

それがなぜだか、ほんとう、なぜだかそのような言い回しとなってしまったのだろう。

きっとあれだな。

「あなた様がくださった美味しい煮豆は、大変美味しく頂戴いたしました。味見をした娘も、大変美味しいと言っておりました」

が、

「きっと娘は、独り占めしたいほどの美味しさと思ったに違いありません」

となり、

「娘は、あなた様から頂いた煮豆を荷物にこっそり入れ、逃げるように帰って行きました、、。残念でなりません、、。」

みたいになっちゃったんですよ。

わかるよ、その回路は。私だって、無駄にあなたの娘を何十年やってないんですから。
そうです、父の娘を何年やっていると思っているのですか?
と言ってやりたい。

私、豆泥棒です。あーやだやだ。

後日姉にこの話をしたら、父に呆れながらも、顔の半分はニシシシと笑っていた。
何故にそうなる父よ、、であっただろうし、
そして、
やっぱりあなたらしい我が父よ、でもあったのだろう。

姉は、菩薩ような顔をして私を慰めてくれたけど、もしも自分が豆泥棒にされていたら、昔美人だった時の吊った目に戻り、奥歯をキリキリしたに違いない。

私たち姉妹も、自分たちの日々の生活で精一杯の時もあるわけだから、正直この謎解きに困り果ててしまうことも多々あるのだけど、、。
でも、4回に1回くらいは、父の何か突拍子もない言葉や行動を期待してしまうことも、、ある、、のかも。
いやいや、、それはやっぱ、ないかも。

まぁそういうことで、ことあるごとに、ネギ姉と一緒に父の謎解きするのです。
おとっつあん、いったいどっちなんだぃ?

おしまい。

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