今日見た夢

私は戦っていた。
銃を持ち、自分よりも大きな蛇と。
蛇の牙には毒があるらしい。
仲間たちはあの毒牙にかからないよう必死に
避けながら戦っている。

今ここで、奴を倒さなければ。
この町の人々が危機に晒されてしまう。
私たちが奴を止めるのだ。

銃を持つ手が震える。
本当に倒せるのか。
この弾が尽きるのが先か、
私が奴の毒牙にかかるのが先か、
奴が倒れるのが先か。

弾は間違いなく当たっている。
だが奴には効いているように見えない。
「撃てー!!」
仲間の声が聞こえる。
仲間も勝機のない戦いの中、必死に
戦っているのだ。
私だけが諦める訳にはいかない。

どれだけ長いこと戦っていただろう。
仲間が放った弾が蛇の目に直撃した。
蛇は悲鳴のような唸り声をあげ、その巨体を
地面に沈めていく。

一瞬のことだった。
蛇は最後の瞬間、1番近くにいた私の手に
噛み付いた。
毒があると言われていた、鋭い牙で。

ああ…せっかく倒したのに、私はここで
死んでしまうのだろうか。
血清など持っていない。
本当に毒があったら、私はきっと帰ることは
できないのだろう。
薄れゆく視界の中、仲間たちが駆けつけてくる。
…ごめんなさい。
最後に油断してしまった。
痛みと苦しさで、だんだん意識が
遠くなっていく。

死ぬ時は、とても苦しいと思っていた。
けれど噛まれた手に感じたのは、
謎のぬくもり。
まるで何かに舐め回されているかのような…

ゆっくりと目を開けると、大きな犬が
私の手を舐めていた。
ずっと感じていたぬくもりは、この犬の舌だ。
蛇といい犬といい、なぜ大きいサイズの
動物ばかりいるのだろう。
私の手をずっと舐め回していた犬は、ふと
舐めるのをやめた。
「これ…伝説の犬ですよ!」
仲間のひとりが叫ぶ。
「どんな傷も癒すっていう、伝説の!」
興奮気味に叫ぶ仲間をよそ目に、その犬は
私の手をじっと見つめてくる。
確かに、噛まれた傷はない。
先程まで感じていた痛みも、息苦しさもない。
「私…助かったの…?」
そう呟くと、犬はゆっくりと頷いた。
「…ありがとう」
お礼に撫でてあげると、犬は「くぅん」と
満足そうな声をあげて消えていった。


ここからは現実の話。
奇跡的だけどカオスな夢を見た私の手に、
ハチワレの猫が執拗に噛み付いていた。
「起きろ」とでも言うかのように、
それはもう執拗に。
甘噛みではあるが痛い。
「起きた、もう起きたよ」
そう言って撫でようとしても、まだ噛んでくる。
起きないことがよほど不満だったのだろうか。
すると、傍にいた黒猫がベロベロとその手を
舐めてくれたのだ。
夢で感じた、あのぬくもり。
この姉妹が交互に噛んで舐めてを繰り返して
いたのだ。
その証拠に、ところどころ猫の牙の跡があり、
その跡がついているところは猫の唾液で
カピカピだった。

この記事が参加している募集

#猫のいるしあわせ

21,975件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?