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第2回「子育てゆるっと雑談」を開催しました!

桑原昌之(くわはら・まさゆき)さんを交えての、「子育てゆるっと雑談」。昨年11月の第1回目にひきつづき、2回目を2月18日(金)に開催しました。このnoteでは、第2回目の内容をざっくりをお伝えします。

桑原昌之さんは、1990年から公立高校・小学校に勤務する傍らサッカーコーチやクラブマネージャーとして長年活動され、そのご経験を活かし、2019年に長野に開校した「学校法人茂来学園 大日向小学校」の創設準備に携わり、初代校長を務められたお方です。

現在は、地元・神奈川を拠点に現場の先生方のサポートや、各地の学校で講演、まちづくりをとおして「一人ひとりの物語を大切に、幸せな明日を創る」活動に取り組まれています。

桑原さんとの初めての出会いは、上記の取材記事でした。以来、光栄なことにTwitter上でも交流させていただき、ある日「近々ゆる〜く雑談でもしたいですね」という流れに。Twitterはこうした素敵な偶然が時折起こるので、やめられません。

さて、今回ご参加くださったのは、

の4方です。前回は竹富島のかたおかゆいさんも来てくださいました! 寝かしつけが終わった人から集まる、というゆるいルールで、ぱらぱらと揃っていきました。飲食は自由です。

海外はすでにマスクなし!? 日本との違いに驚き

開始早々話題になったのは、やはり幼稚園・保育園の休園のこと。1月末〜2月にかけて全国で休園が相次いでいることがニュースになりましたが、私も例にもれず、毎日子どもたちと家で過ごしていました。

メンバーのなかには、お子さんと一緒に感染してしまった、学校の先生がお子さんの休園によって出勤できなかった……という人も。桑原さんは、この会が始まる直前に、教育関連施設から「教員が足りない。代わりを探してもらえないか」と電話で相談を受けたといいます。

そんななか、スペイン在住のきえさんから興味深いお話が。

なんとスペインでは、たとえクラスに感染者が出ても、学級閉鎖はおろか、もはや騒ぎにすらならないというのです。マスクも着用義務はなく、教室ではするけれど、お外遊びでは外している子が多いとか。熱を計ることもないそうです。

ちなみに私の息子が通う園では、登園時にサーモカメラで検温するほかに、家庭でも朝晩2回の検温をして、体温表に書くのが必須です(土日も!)。登園の日は体温表を忘れると帰されます。玄関で全員分の体温表をチェックする先生は、本当に大変そうです……。

きえさんいわく、スペインでは「皆かかって当たり前」という雰囲気があるのだとか。発熱したので保健所に電話をかけると「まあ、人の少ないところで散歩でもしてください」と言われるそうで、日本とのギャップに驚いてしまいました。

日本の報道は独特?「◯◯しなきゃ大変なことになる」

日本の報道は、恐怖心をあおるような見せ方が多い......?

こんなことも話題にのぼりました。誤解を招くといけないので補足すると、コロナはもちろん怖い病気で、重症化して苦しんでいる方もおられ、決して軽く考えてはいけないとも思います。

でも、私の周囲も含めて、重症化しなかった人たちも意外に多い。年齢にもよるのかもしれないけれど、「熱だけだった」「咳が辛かったくらい」という声も聞く。にもかかわらず、深刻な例を中心に取り上げるのは、日本の報道ならではかもしれない。ゆえに、自分の子どもが感染したときにも、周りに言いにくいよね(子どもがいじめられちゃうかも)……。という話になりました。

そこで桑原さんがひとこと。

「子育てにも同じことが言えて、とくに"たまひよ世代”の皆さんには『こうあるべき』『◯◯しないと大変なことになる』という思考が刷り込まれている。その枠からちょっとでも外れると、自分の子育てはダメなのかも……と、自分を責めてしまうんですよね」

たまひよ世代とは、子どもがまだ小さいころ、雑誌に載っているようなキラキラ子育てや育児情報に翻弄された経験のある世代のことです(単なる例えなので、たまひよだけのことを指すのではありません……!)。

桑原さんは続けます。「皆さん、好きな飲み物って何ですか?」

全員がきょとん、としながらも、「コーヒー」「台湾茶」「柑橘系のソーダ」などと答え、その理由を話します。

すると桑原さんは言いました。

「子育てでは『こうしなきゃ』という狭い枠のなかにいますよね。でも実際には皆、好きな飲み物だけでもこんなに違う。なのにどうして皆同じにしなきゃいけないのかな?って、今日も先生たちとワークショップで話していたんです」

自分にハッシュタグをつけたら「ありのままの自分でいいんだ!」と再認識

その流れで、ちょっと変わったこんなチャレンジをしました。

桑原さん「今から3分計るので、皆さん自分に、何個でもいいのでハッシュタグをつけてみてくれませんか? 趣味でも食べ物でも、なんでもいいです」

再び全員がきょとん、としつつも、「なんでもいいんですよね?」と考え始めます。

………………(3分経過)

桑原さん「それじゃあ、その中で『これは自分"ならでは”だな』と思うものを3つ教えてください」

参加者の皆さんから出たものは、

#宇宙 #パティシエ #ラオス #アラレちゃん #キャンプ #交渉好き #のんびりしたい #冬眠……

など、本当にさまざまでした。私は参加者の方々と以前からTwitterなどで繋がっていたので、「なるほど、noteやプロフィールで読んだことがある!」と再認識したものもあれば、「え?どういうこと……!?」と思わず深堀りしたくなるハッシュタグも。

ちなみに私は、

#善逸 #変わり者 #冒険心強め

にしました。私は鬼滅の刃の我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)くんが大大大好きなのです。

いきなりすみません。引用元:テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編

驚いたのは、普通ならここで「そうなんだ!意外ですね!」と終わりそうなものを、桑原さんが

「善逸くんって、どんなキャラクターなんですか?」

と聞いてくださったことです。自分の好きなものについて人から聞かれることなんて、滅多になかったので……。答えるうち、「私は善逸が"好き”というか、自分がこうなりたい!と思っているのかも?」という気づきもありました。

このハッシュタグ運動、桑原さんは、学校の先生同士のミーティングでも取り入れておられるそうです。

初対面の先生方が集まるとき、通常の自己紹介だと「◯◯小学校の〜〜と申します」で終わってしまう。けれどハッシュタグなら、

  • それぞれの先生の人柄が垣間見え、場がリラックスした雰囲気になる

  • すると、思考の質が上がる

  • 固いテーマでもアイディアがぽんぽんと出る

のだといいます。

しかも驚くことに、ハッシュタグ運動は、桑原さんオリジナルなのだとか。長年「対話」を大切に教育に携わってこられた、桑原さんならではのご発想ですね。

ゆるっと雑談のメイン、お悩み相談へ

ここまででも充分に濃い内容だったのですが、今回のゆるっと雑談は「お悩み相談」がメイン。桑原さんが、3つのお悩みに寄り添ってくださいました。

お悩み①新しいことへの挑戦を拒むようになってしまった……

昔は好奇心旺盛だった小学校高学年の長男が、新しいことへのチャレンジを拒むようになってしまった。理由は「初対面の人がいる場所に行くのがいやだから」。一過性のものと捉えて見守ったほうがよいのか、積極的に連れ出してあげたほうがいいのか……?

桑原さん「ちなみに、◯◯さんはどうしたいんですか?」

「なるべくなら、人との出会いや関わりを大切にしてほしい」と答える相談者さん。その背景には、コロナ禍で大好きなスポーツの練習がなくなり、家にこもってゲームすることが増えてしまった……という心配があるそうです。しかも、今の子たちはオンラインで集まるのが主流。あえて同じ空間に集まらず、(親からみると)ひとりで過ごすことが多いと言います。これには皆が共感です。

桑原さんは言います。

「でも、息子さんに意思はあるんですよね。『初対面の人がいる場所に行くのがいや』という。だから大丈夫だと思うのと、思春期に差しかかっているとも思います。弟や妹がいると、上の子はどうしてもカッコつけたくなるんですよね。本当は一番、ママと一緒にいたいんだけれど。

大人の僕たちって、子どもの行動を見て『もっとこうしたらいいじゃない』と、もどかしく思いがち。でも、子どもには子どもの世界観がある。本当はそっとしておくのが一番です。どうしても口を出したくなってしまうけど、グッと堪えるのが大事かもしれません。母親の◯◯さんが楽になるためにもね」

お悩み②4才の息子が下ネタを連発する

下ネタを連発する4才の息子。親は教えていないのに、お友達と道端で笑いながら絶叫していることも。頑なに「ダメ」とは言わずとも、せめて場所をわきまえてほしい……。どうやって伝えれば?

桑原さん「小さなお子さんは下ネタ大好きですよね(笑)。もしかしたら息子さんは今、下ネタを"言っていい場所”と、"言ってはいけない場所”を確かめている過程にいるのかもしれません。

少しまじめな話になるんだけど、たとえば発達の関係でコミュニケーションを取るのが難しいお子さんがいたとして、給食のときに先生の頭に牛乳をかけたとする。傍からみるとびっくりするような光景でしょうけど、その子にとっては牛乳をかけることが、先生との距離感を計る大事なコミュニケーションのひとつなんだよね。だから『やめて』と言われてもかけ続ける。

つまり息子さんは、◯◯さんが反応してくれるのが嬉しいのかもしれない。やめてほしいと思ったら、反応しないことが一番」

同年代の息子が2人いる私も、桑原さんのこのアドバイスは大変参考になりました。なるほど、無反応が一番なんですね。

このほかに、4才前後のお子さんは自分の体に興味を持ち始める時期であること、次第に自分とお友だちの体を比べて不思議がるようになること、日本の性教育はまだ発展途上であること……などのお話も出ました。

お悩み③休園の影響か、「保育園に行きたくない」と言うようになった

2月の休園以降、保育園に通う息子が園に行きたがらなくなった。「楽しくない」と言うので「どんなところが楽しくないの?」と聞くと、「家のように自由にできないのがいやだ」と。上記以外にもネガティブ発言が増えた気が……? もともと繊細な子なので、ストレスが溜まっているのか心配。

桑原さん「まず、『楽しくない』って自分で言えることがすごいですよね。息子さんは何も考えずに登園しているわけじゃない、ということ。あとは、長期休みと同じで、自粛でおうちにいる時間が長くなると、どうしても行きたくなくなってしまうよね。でもそれは、息子さんが家で◯◯さんに甘えることができている、という証拠でもあるんですよ。

というのも、逆のケースもあって。家庭っていうのは本来、『母は港』と言われるように、外で好奇心旺盛に遊んだ子どもたちが安心して戻ってこられる場所。でも、世の中の家庭がすべてそうかと言われると、そうでない状況にあるご家庭もある。そうした家庭のお子さんは、家で気が抜けないので、『楽しくない』とも言えないんですよ。

だから、おうちで『楽しくない』と言えるのは素晴らしいこと。そのうえでコミュニケーションを取るとしたら、『楽しくないんだぁ。じゃあ、保育園を楽しくするにはどんなことができるか、一緒に考えてみようか?』とかね。『わかんない』と言われても、『そっか、わかんないんだね』でいい。自分に寄り添おうとしてくれた◯◯さんのセリフを、子どもって覚えてるので

桑原さんの言葉に、どれだけ安心感を覚えたことでしょう。というのも、「保育園 行きたくない」でネット検索をかけたとして、出てくるのってこんな感じなんです。

でも私たちが本当に知りたいのって「対処法」でも「原因」でもなくて、桑原さんのように何千人、何万人という子どもたちを見てきた方からの、「大丈夫ですよ!」という太鼓判だったのかも。そう、ハッとしました。

ライターのインタビュースキルが子育てに活きる!「何をした?」より「どんな気持ちだった?」

ここまでを振り返ってみて、桑原さんが私たちにしてくださったのは「コーチング」だということに気がつきます。コーチングとは……

相手の話に耳を傾け、観察や質問を投げかけながら、ときに提案などをして相手の内面にある答えを引き出す目標達成の手法のことです。

モチベーションクラウド

そして、薫さんがひとこと。

「私たちが普段仕事でやっていることを、子育てにも活かせばいいんですよね!」

これには皆が、思わず膝をたたきました。たとえば私たちライターがインタビューのお仕事をするとき、インタビュイーにはかならず

  • どんなお仕事をされていますか?

  • どんな経緯があったんですか?

  • どんな「想い」があったんですか?

と聞いているはず。この中で重要なのって3番目の「想い」だよね、という話に。けれどこれが、わが子との会話になると一変。

  • どんなことをして遊んだの?

  • 楽しかった?

で終わってしまいます。桑原さんいわく、子どもにもインタビューのように「感情」にアクセスしてみましょう、とのこと。

  • どんなことをして遊んだの?

  • 楽しかった?

  • どんな気持ちだった?

そうすることで、子どもたちは「表現する力」が身につく。すると、この先どんな困難が立ちはだかっても、自分の力で解決できるようになる……。本当に、学びの深い一夜となりました。

「考え込まなくていいんだ」と、子育てが楽になった

当日は時間の関係で出せなかったのですが、じつは私にも、いくつかの悩みがありました。

ですが、

「子どもが家で本音を話してくれるのは素晴らしいこと」
「こうして悩めるのも子育て中の皆さんの特権」

という桑原さんのお言葉を聞いて、なんだ、そこまで重く考えなくてもいいのかも、と気楽にかまえられるようになりました。子どもへのインタビューも、さっそく実践中です。(想像もしていなかった意外な答えが返ってくることがあって、おもしろいです!)

子育てゆるっと雑談は、桑原さんのご予定にもよりますが、これからも不定期で開催予定です。その際はまた、Twitterでお知らせいたしますね。

ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。



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