海外研修の感想

海外研修が終わった。

エグゼクティブ育成用のコンテンツ作る外部企業が主催で、うちの会社とも長らく付き合いがある。大学のエグゼクティブプログラムもあるが、そちらとはやや毛色が違う内容となっている。

内容として、リーダー育成の為に異文化の歴史を学ぶことが一つ、あとは各ハードスキル、例えば、ファイナンス、マーケティング、ネゴシエーション、プレゼンテーションといった技術を学ぶといった内容だ。

日本でもトレーニングセッションがしばらくあり、最後の仕上げが海外研修というわけだ。

社内で選抜された10名弱が集まり、インスタラクターとともに、インタラクティブな形式で授業が進む、そんな感じだ。

僕はコンサル出身なので、研修に対しては、わりと斜めから見る傾向がある。つまり、研修をするならば、よほど実務を頑張った方が良い、そんな風に考えるタイプだ。

ただ、結果的には参加して良かったと思える。今回は前向きな点を中心に記録しておきたい。

まず英語でのトレーニングであること。今の時代、オンラインならば、どこでもハイクオリティな授業が受けられるとはいえ、現地で来て対話をするのは、やはり日本でオンライン授業を受けるよりも異なる感覚があった。相手も自分を認識するし、当事者性が高まる。やり取りは概ね英語で、英語で質問したり考えを述べたりするから、それは一つ有意義な経験になった。

また、社内の部門横断チームで、昼夜を共に出したのも良かった。とても仲良くなれる。正直それぞれのパーソナリティが見えないのもあり、そこまで印象に残らなかった人たちも、人としての気遣いや、場を盛り上げる力が強かったりと、リスペクトできるポイントが多く見つかった。仕事だねでのつながりでは、決して見えてこなかったはずだ。人間関係の面で学生の頃に帰ったような気持ちになれたのは良かった。

もちろん、30の半ばにもなれば、基本的なコンセプトはどこかで聞いたことがある。授業の内容で新たな発見というものは、そんなに多くはない。まぁ、MBAプログラムでも同じ話は聞くから、実際そうなのだろう。本当の発見や、学びを得るには、ビジネスとは距離があるテーマであったり、ビジネスでも研究の最先端に近いところまで、触れる必要があるのだと思う。質問の良し悪しも大きくクオリティに影響する。

また、インタラクティブな形式とはいえ、こちらは10人弱もいるから、一人が発信できる時間は全く多くはない。クラス形式のデメリットではある。よりコストをかけて少人数で行う方が、経験を積むこと、回転数を上げることには貢献するだろう。これは、ネットワーク作りとはトレードオフだ。オンライン英会話をやりまくる方が話せる機会は断然多いのも事実だ。が、同じ空間での双方向性は、体験価値として、オンラインに優る。目の前のことに集中できるのだ。

改めて驚いたのは、ネイティブの講師のプレゼンテーションの巧みさだろう。日本人とは全くレベルが違う。彼らは総じて、自分が魅力的に映るすべを身に付けていた。殆どの講師は、ちょっと下仕草や表情からも、人間的な魅力を出す術を持っていたと思う。

今回の海外研修プログラムでも、最後にビジネスプランのプレゼンが設定されていた。山場だ。エンジェル投資家向けに資金調達を並んだビジネスプランのデリバリーをする。

僕自身、仕事柄、英語のプレゼンも多く経験していたから、問題なく乗り切れるとは感じだが、普段はクローズドな所で行うことが多く、かつ、英語では特に、プレゼンに情報を事前に書き込むことで乗り切れてしまっていたことを感じた。

しかし、今回は一般大衆、又はエンジェル投資家向けで、時間はタイト、かつ、こちらのパーソナリティを伝える余裕がない場面でのプレゼンであり、全く勝手が違った。極端にはスティーブジョブスが行うようなプレゼンだ。そもそも読むことを前提にしたプレゼンとは作りが違う。情報量は極端に制限し、デリバリーをする必要がある。量が多いと、プレゼンターに視線が集まらず、コネクションが途絶えてしまうのだ。このプレゼンターとリスナーのコネクションという概念も初めて耳にした。

デリバリーを練習する、という経験が不十分で、これを練習できたのは良かった。そもそもプレゼンの練習を真面目にやらずに来てしまったのだ。英語であれば、尚更、無い。

こうした環境下で、きちんと英語でも魅力を伝えることの難しさを痛感すると共に、自分が目指すべき英語のレベルとのギャップを感じたのだった。

大衆参加の下での、英語のプレゼンテーション、及び、容赦のない質疑応答に対して、高い評価を得て、リスペクトが得られるレベル、それが自分自身が目指すべき姿と感じた。

表現のレベルで残酷なほど、その人の知性や知識のレベルは、晒されてしまうのだ。日本人のシニアレベルやエグゼクティブでも、悲しいぐらいに、幼稚な表現しか伝えられない人は多いから。

何となしにブロークン英語で乗り切る姿勢が染み付いた中で、グローバルのリーダーに相応しいデリバリー、メッセージ発信やプレゼンの仕方について、明確な課題意識が持てたことが、大きな収穫だったと考えている。

総合商社では、有名大学が提供するエグゼクティブプログラムなど、一定期間、実務から離れてこうしたプログラムに入る機会を提供してくれている。これまでは、劣後していたが、今後も機会を見つけては参加して行きたいと感じた。

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