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【詩】音信不通に生きている

手を握っても、同じ夢を見られないことを知った
だから、安心して、誰の目も見ないで、
曇天とアスファルトに心を開ける

誰かが誰かと繋がっている
そういう秘話は風塵のように目を痛めつけた

目を閉じて、涙が押し出すのを待つ
長い睫毛を、羨ましいと言う人の目は怖い
微笑は、防衛である
談笑は、要塞である

ふたたび目を閉じ
音声の絶えてゆくを待つ

全ての声帯が停止した頃に
満員電車に乗ることは愉快

明日の信号の色を予想する人の顔は
いつまでも見ていられる気がした
天気はいつも曇天である

スモッグにまみれることは
化粧となにも変わらないから
つめたい雨はくびかざりになる

しずかな、しずかな、空白は愛おしい
誰の声も、わたしに届かないから
安心して、終の住処にて眠れる

明日はスカートを履こう
誰の口も重い日には
赤いスカートを履こう

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