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新型コロナで大流行のオンライン飲み会、浸透率はすでに3割越え。


こんにちは、データ活用のコンサルティングやデータ解析技術を活かした商品開発を行う株式会社Logpose Technologiesと言う会社で代表をしている羽室と申します。


本記事では、
新型コロナウイルスによって一気に浸透し始めているオンライン飲み会についての浸透率や利用頻度、利用回数をインターネットアンケート調査と数理モデルをもとに分析をしてみたのでご紹介させていただきます。

また、得られた結果から「オンライン飲み会はコロナが収束した後も使われるか」「コロナ収束後の飲食店に影響はあるか」という観点で考察を加えてみましたので合わせてお読みいただけると幸いです。

前提として、

誰向けの記事か
・今流行りのオンライン飲み会について、市場理解したい人
・今流行っているサービスを簡単に分析する方法を知りたい人
・データの活用方法を学びたい人

調査について
※「オンライン飲み会に関するアンケート調査」と題したアンケートをLancersにて実施
※回答期間:2020/5/7-2020/5/10
※対象回答者:20-50代の男女
※回答数:n=510

数理モデルについて
「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」で紹介された「ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル」、「NBDモデル」という2つの数理モデルを使用。



浸透率3割越え。アンケート結果から見る、オンライン飲み会とオフライン飲み会の「いま」


2020年5月7日からの3日間、20-50代の男女を対象に飲み会に関するアンケート調査を実施しました。

▼回答者属性

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まずは、アンケート結果をご覧ください。

▼オンライン飲み会の利用経験有無

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▼オンライン飲み会の最近利用時期

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▼一回あたりの平均時間

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▼一回あたりの飲酒量

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▼オンライン飲み会に関するアンケート結果サマリ

浸透率について
おこなったことがある31.4%
最近いつ利用したか
1ヶ月以内に行なった:91.9%
一回あたりの平均時間
1〜2時間以内が最も多く43.1% 
一回あたりの飲酒量
缶ビール1本程度が最も多く33.8% 

※浸透率(利用経験)以降の設問は「オンライン飲み会をおこなったことがある」と答えた回答者のみに聞いています。


「オンライン飲み会をおこなったことがある」と回答した人は、約3割。そのうちの91.9%が「1ヶ月以内におこなっている」

以前まではほとんど利用が無かったと思われるオンライン飲み会が急速に拡がっていることがわかります。既に世の中の20-50代のうち3割が使っていると思うと、環境の変化に適応する速さには驚きです。

時間は「1〜2時間以内」が最も多く、飲酒量は「缶ビール1本程度」が最も多い

私の周りでも、オンライン飲み会をやっているという話を最近よく耳にするようになりましたが、「だらだらとやってしまう」と「さくっとやってる」という2つの声が聞こえていたので、特に時間については興味があったのですが、過半数が「2時間以内」と、どちらかというと「さくっと派」が多いようです。


上記の結果を比較分析するために、同じアンケート回答者に対して、オンラインを除く「通常」の飲み会についても同様に聞いてみました。


結果をまとめて貼り付けます。

▼「通常」の飲み会に関する質問

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▼「通常」の飲み会に関するアンケート結果サマリ

浸透率について
おこなったことがある84.9%
最近いつ利用したか
1ヶ月以内に行なった:4.6%
一回あたりの平均時間
2〜3時間以内が最も多く53.3% 
一回あたりの飲酒量
瓶ビール1本程度が最も多く23.6% 

※浸透率(利用経験)以降の設問は「オンラインを除く通常の飲み会をおこなったことがある」と答えた回答者のみに聞いています。


最近利用時期を聞くと、1ヶ月以内は緊急事態宣言が発令後の自粛期間が対象となりますので、通常の飲み会を行なっている割合は4.6%でした。改めて、飲食店の大変さが目に見える数字です。

その他の数字をみてみると、平均時間は一回あたり「2〜3時間以内」が最も高く、飲酒量は一回あたり「瓶ビール1本程度」が最も高い結果となりました。

この結果を、オンライン飲み会と比較してみてみます。


アンケート結果によるオン/オフ飲み会の比較まとめ

飲酒量の多さ
オンライン飲み会 < 飲み会
平均時間の長さ
オンライン飲み会 < 飲み会
浸透率(オンライン飲み会)
31.4%が利用したことがある。そのうち91.9%は直近1ヶ月以内で利用。
浸透率(通常の飲み会)
84.9%が利用したことがある。そのうち直近1ヶ月以内の利用は4.6%。



このことから、比較してみるとオンライン飲み会は通常の飲み会と比べて「短い時間で少しだけお酒を飲む」という使い方をしていることがわかりました。

次に、「利用頻度」の視点も加えて分析していきたいと思います。

数理モデルを使ってオンライン飲み会とオフライン飲み会の違いを深掘りしてみる


※この章では、数理モデルを使って分析を試みます。途中の過程も一部載せるので、結果だけで良い方は飛ばしてお読みいただければと思います。


アンケート調査だと、信頼できる利用回数のデータは得にくい場合があります。利用回数が多くなればなるほど、正確に記憶しずらくなるため回答にブレが生じるからです。

したがって、本記事では数理モデルを使って、確からしいオンライン飲み会の利用回数を求めました。

モデルの詳細な説明を入れると長くなってしまうため、本記事では数式などは飛ばして実際に計算した過程を簡単にご紹介しながら進めさせていただきます。


まずはモデルの概要をご紹介をさせていただきます。

今回は、「ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル」、「NBDモデル」という二つの数理モデルを使いました。

「ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル」は「NBDモデル」を応用したモデルになります。(それぞれ、ポアソン分布と二項分布を使って計算されています。)

これらのモデルは、世の中に発生する多くの事象に当てはまる確率分布を導き出すもので、今回のオンライン飲み会の発生回数(利用回数)もこのモデルに従って導き出します。


正確にお伝えするにはご説明が足りませんが、本記事ではわかりやすいように下記のようにご理解いただければと思います。

ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル
 →期間別の浸透率(利用率)を導くもの
NBDモデル(負の二項分布)
 →回数別の浸透率(利用率)を導くもの

また、数理モデルの式には「M」と「K」という二つの変数が出てきます。変数の意味は下記のようにご理解いただければと思います。

「M」:期間中の平均利用回数
「K」:期間中の利用回数の分布形状


今回2つのモデルを以下のように使用し、結果を導きました。

手順①ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル
「最近いつ利用したか」という期間別浸透率(実績)のデータがあれば、モデルによって導く期間別浸透率(予測)との誤差を最小化する計算から「M」と「K」をもとめることができる。

手順②NBDモデル
「M」と「K」の値が決まれば、回数ごとの浸透率(予測)を導くことができる。



それでは、実際の得られた結果を見ていきます。

▼手順①オンライン飲み会の期間別の浸透率

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これは、先ほどのアンケート結果(期間別浸透率(実績))を入力し、それを元に「ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル」を使って算出した予測値と、予測と実績の誤差を最小化することで得られる変数「M」、「K」をまとめたものです。

補足①
「誤差の最小化によって得られるM、K」は実績と予測の差の2乗をすべて合わせた数(0.40%と記載のセル)が最小になるように「M」と「K」を求めています。

補足②
「M」と「K」はアンケート結果よりわかっている直近1ヶ月の間にオンライン飲み会を利用しなかった人「8.9%」を必ず満たすように求めました。(利用しなかった人の値はモデルの中の計算に含まれています。)


ここまでで、「最近いつ利用したか」というデータを使って、オンライン飲み会の直近1ヶ月間の平均利用回数が「2.98回」であることがわかりました。( =「M」)


次に得られた「M」、「K」を使い、「NBDモデル」で1ヶ月間の利用回数別の浸透率を導き出しました。

結果を下記に記します。

▼手順②直近1ヶ月のオンライン飲み会の利用回数別浸透率
※人数の母数はオンライン飲み会利用経験有りと回答した割合を2019年度の20-50代の全人口に掛け合わせたものです。

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これにより、1ヶ月間で平均「2.98回」利用されるオンライン飲み会の、回数別分布を知ることができます。

※ここでご紹介している数理モデルは、下記グループから誰でもダウンロードいただくことが可能です。是非使ってみてください。
https://www.facebook.com/groups/datadriven.college/

補足③
ビジネスだと、同様の手順で得られた結果を複数のブランドで見比べて、課題や勝ちポイントなどを見つけるのに使うことができます。また、確率分布は「一定」であるため、予測にも使うことができます。



次に、同様の手順で通常の飲み会に対しても分析を行ない見比べてみようと思いましたが、直近1ヶ月の浸透率はコロナの影響による異常な値だったためモデルを使うことができませんでした。(個人レベルの実施回数がポアソン分布していない)

そのため、直近6ヶ月以内(2019年11月頭~2020年4月末)までの期間で同様の算出をしてみました。

結果は以下の通りとなりました。

▼2019年11月頭~2020年4月末での通常飲み会の利用回数別浸透率

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通常の飲み会は直近の半年間で平均利用回数が「1.43回」であると導き出せました。

コロナの影響で直近2~3ヶ月での実施は減っているため、「正常時」の平均利用回数は増えるはずですが、仮に倍にしても単月になおすと平均で「約0.5回」になるため、オンライン飲み会と比べると実施回数は低くなりそうです。

※留意点として、オンライン飲み会は直近1ヶ月で急激に伸びたサービスということもあり直近の利用実績が高く出ているはずです。


以上のことから、アンケート調査と数理モデルを使って、下記がわかりました。

内容のまとめ

飲酒量の多さ
オンライン飲み会(缶ビール1本程度) < 飲み会(瓶ビール1本程度)
平均時間の長さ
オンライン飲み会(1~2時間以内) < 飲み会(2~3時間以内)
平均利用回数
オンライン飲み会(2.97回) > 飲み会(0.5回)
※コロナの影響を受けているため今後変わる可能性あり
浸透率について(オンライン飲み会)
オンライン飲み会はここ1ヶ月で一気に浸透し始めており、直近の1ヶ月で約1700万人に合計約5500万回利用されている。(20-50代のみ)
浸透率について(通常飲み会)
通常の飲み会は緊急事態宣言以降、自粛が進んでおり、直近1ヶ月では約230万人に合計約115万回実施されている。(20-50代のみ)
※1ヶ月の利用回数「0.5回」は想定数値
直近6ヶ月間では、約5100万人に合計約7200万回実施されている。

※あくまでアンケート結果を元に算出したデータとなりますのでご留意ください。



ここまでの情報から、最後に考察を加えて終えたいと思います。


考察_オンライン飲み会はコロナが収束した後も使われるか


結論から言うと、「コロナが収束した後も使われそう。ただし、実施回数は減り、ニッチな使われ方にシフトしていく」、「飲食店からのリプレイスはなさそう。」と言うのが私の考えです。

気になったポイントは、飲酒量の少なさと利用回数(頻度)の多さです。

オンラインで手軽に行えるからこそ頻度高く実施し、一回あたりの飲酒量はそこまで多くない(通常時の飲み会と比べ)ことを考えると、「お酒の楽しみ」や「お酒による発散」といったお酒メイン(食事メイン)よりは、友人・知人と会話する場として使われているように思います。

この使われ方は「飲み会」というよりは電話に近い使われ方に感じます。したがって、オンライン飲み会は「日常に溶け込んで、気軽にできるからこそ、記憶に残りずらい友人・知人との会話の場」というようなニュアンスで捉えました。

記憶に言及したのは、「どこかの飲食店へ行って会話をする」といった「特別感」や「体験」がない(少ない)ので、どうしても記憶に残りづらくなってしまうと思ったからです。

そのため、コロナが収束したら、飲み会には「特別感」や「体験」求めて外での飲み会が一般的に使われるようになり、優先的にオンライン飲み会を利用されるようなことはないと考えました。

ただし、「手軽さ」というメリットは大きいので、今後のオンライン飲み会の使われ方としては、以下のようになっていくものと推測します。



①遠くに住んでいる友人・知人との会話の場としての使われ方。
②有名人と飲む(関わる)場としての使われ方。(特別感を出したイベントによるファン形成など)


以上がオンライン飲み会に対する考察となります。


※あくまで今回のアンケート結果及び数理モデルの結果と、少しばかり周りにヒアリングをした内容をもとに筆者が考察したものになります。



<追記2022/02/10>
現在、Logpose Technologiesでは「AI」「最適化」「物流マーケットプレイス」をキーワードに物流DXに挑戦しています!
難易度の高い挑戦ですが、社会的意義があるとてもやりがいのある楽しい仕事です。今回ご紹介したNBDmodel含めて、新しいことはどんどん挑戦できる環境を用意していますので、興味を持っていただけた方は、まずは一度お話ししましょう!

https://logpose.co.jp/

長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!


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