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女性の”はじめて”サポートの実態と警鐘

SNS上で見かける「初体験を済ませたい人向け」のアカウント。
自己紹介欄には実績と称した人数を記載し、さも「私はわかっています」と言うような言葉を並べ、DMや応募フォームを置いている。

アイコンの多くはイラストや実写の後ろ姿を設定し、費用は無し・痛くないなどと他アカウントとの違いを記載している。実際にお会いした女性との写真や動画を投稿しているアカウントも散見する。所謂「裏アカ」のようなわかりやすいエロがあるのではなく、女性の「はじめて」に特化した類のアカウントだ。これらは日に日に数を増やしていることから、多数の男性が後を追うようにアカウントを作成しては発信していることがわかる。
そのようなアカウント・人達は「処女サポート」と名乗っている。

もちろん、SNSだから身分のはっきりしていない人がいることは明らかだ。しかし、そのような人に連絡をして、実際に会って、行為を行う人が後を絶たないのも事実。
今回は女性のはじめて・処女の相手をする「処女サポート」について、実態の解説と問題提起をする。


出会いのカジュアル化

SNSの発達により、様々な人達と簡単に繋がることができるようになった。また、コロナ禍を経て人との繋がりを求める人が増えてた。人との交流を避けなければならない時期を経験することで、人はより密接な関係構築を願う層に加えてフランクかつ手軽に出会えるライトな関係性を求める層も生まれた。
そして、そのような層はその人の欲求や目的によって変わっていく。
見ず知らずの人と会うことに抵抗が無くなっており、さらにデジタルネイティブの年代が人と簡単に繋がり出会うことができるコンテンツに出会うことが多い背景もある。自分と他者の境界があいまいになりやすいのだ。

「はじめて」は早急に

以前から「処女」「童貞」は周囲に言えないこと、もしくは馬鹿にされやすいイメージが根付いている。実際に、バラエティー番組では男性タレントの性体験について他タレント達が言い合い笑いに変えている。
また、彼女・彼氏などの特定のパートナーがいないことも度々笑いのネタにされているが、いささか時代錯誤ではないか。
彼らは自分自身を売る芸能人であり一般人ではないと言うのは極端ではあるが、それを見て育つ人達は「処女」「童貞」は笑っていいと認識する人達も一定数でてくるのだ。物事の分別がついていないとも言えるが、そのような環境で育つと考えはだんだんと”そちら寄り”になっていく。現にそのような考えを持つ者たちが「処女サポート」などを謳ってるのではないかと思うが…。
そのような考えが蔓延する、初体験は早いことに越したことはない等と本人が気にしてしまうがゆえに、初体験は早急かつ手っ取り早く済ませたいと考える人が多くいるのが事実だ。

また、妊娠・性病・犯罪などあらゆるリスクを背負うことになる。サポートを謳う人間に連絡をした自分が本当に傷つくことはないのだろうか。
性行為が人生において必要な経験であると思い込まされているのが、そもそもの間違いであることを認識した方がいい。そして、それらを率先して行っているのは大人であるということを改めて考える必要がある。
この国の性教育が劣っているのは確かである。それに加えて私生活でこのようなマイナスの影響が強まると、もはや日本は性リスクの高い国として評価せざるを得なくなる。

広告によるアダルトの植え付け

先ほどのSNSネイティブ、所謂「若年層」が様々な情報を知ることができるようになったことも原因と考えられる。
最近は、SNS以外にもWebサイトやゲームをすると広告が流れて来る。
スマホユーザーの行動や検索内容に関係なく、アルゴリズムが日々更新されており、ユーザーの年齢やサイトで調べている内容に関係のない不適切な広告が繰り返し表示される。
刺激的な漫画、アダルトゲーム、キャラクターの身体の一部が動いているもの…。カラフルな広告を毎日目にするとそのような媒体への耐性が嫌でもつく。早い段階で大人向けと言われているコンテンツに触れ、知識として頭に記憶されていく。そして、そのような行為をすることが他の人よりも一歩進んでいる・したことが無いのは恥ずかしいことだと思いやすくなる。
広告規制を進める必要もあるが、ここでは論点がずれるため割愛する。

SNSで見る「サポート」の事例

以前、Xで見かけた「サポートを利用し卒業した」という女性のポストを例に考える。
簡単に内容を説明すると、サポート利用者の女性が体験の感想に加えて自身が着ていたであろうワンピースの写真を投稿していた。しかし、気になったのはその写真の様子である。明らかに行為で発生した出血とは思えない量の血液が付着していたのだ。
もちろん、SNSのため本当のところはわからないが、これが本当であったらと思うとゾッとする事案である。

また、実際に女性と会ったときの動画をアップしており、閲覧数は1万件を優に超えるポストもある。その動画をアダルト動画サイトに載せて、ファンクラブを創設し限定動画としてアップすることでお金を稼ぐ人もいる。
大人である私たちがそれらを止めるように言えばいいのだが、楽しんでいる人間の大半がその大人のためもはや見て見ぬふり状態だ。
日本の性教育並びに思考は、もう振り切ってしまっていると言える。

現代におけるネットリテラシーとは

「ネット上で身元が分からない人と会う、そして行為を行うことは大きな代償を伴う」ということを理解することは、もはや難しくなっているのだろうか。ネットリテラシーの低下という言葉ひとつで終わることができない現実がある、そしてそれらを大人が辞める・止めることができていないのである。

ネットでは自由に自分を作ることができる、それゆえ他者からの印象は簡単に操作できる。ネット上の情報もすべてが正しいわけではない。最終的には自分自身を信じることほかないのだ。
冷静に考えることができるのならば、そのようなアカウントの人間に会おうと思わないだろう。しかし、そのようなアカウントが多数存在し、その人間に会いに行く女性が実際にいることも理解しなければならない。

受容者と供給者

では、サポートを受ける側と行う側の二つの視点で考えてみる。
まず最初にサポートを受ける側・女性の心理を見ていこう。

女性側はなぜ危険を冒してまでそのような人間に連絡をするのか、それは「他人への恐怖心の低下・出会いのカジュアル化」が大きく関わっている。
スマホ一つですべての情報を得ることができるこの時代、その情報の取捨選択はその人に委ねられる。しかし、こと性的な話となると情報の取捨選択に際しての正誤判断が揺れることが多々ある。それは自身に関する問題で、身近な友人を含む人間に相談しづらい内容だからである。
その点、SNS上では匿名でやりとりができる分、実際の人間関係よりもより強固に結ばれるような感覚に陥る。また、出会い系アプリが人気を博していることも関連していると言えるだろう。
見ず知らずの人間にしか見せることができない自分がある人間は、見ず知らずの人間に信頼を置くことに抵抗がない。そのため、極端ではあるが性行為までできるのだ。身近で自分を知っている人間にはバレない、だからこそ都合がいいのである。

次にサポートを行う側・男性の心理を紐解いていく。
複数のアカウントを見ていくなかで、ある共通点があると考える。
それは、「性的欲求・承認欲求・マウント」。
まず、性的欲求の点に関しては大いにある。むしろ、処女の女性・自分よりも非力な存在である(と思い込んでいる)女性と性行為をしたい気持ちから始めていると言っても過言ではない。そうでなければ、まずこのような処女サポートという必要のないことをしなくて良いからだ。
次に承認欲求である。女性から頼られたい・SNS上で人気になりたい・性行為を褒められたいなど。SNSの中でほぼ完結し、現実にもマイナスの影響を与えないため”ちょうどいい承認欲求”なのだ。
最後にマウント。特に同性に向けられていると考える。「自分は処女とセックスをしている」「しかも女性の悩みを解決している」「たくさんの女性に頼られている」そのような気持ちを表には出さず蔑んでいるのである。
結局はサポートという言葉で自分が行っている行為を正当化しているだけなのだ。

結局女性の負担しかない

結局のところ、そのような行為を容認することは女性の負担を見て見ぬふりをしていることに変わりない。
心と体への負担が大きいのは明らかであり、性的なことに対して困っている方への侮辱行為であり女性軽視である。サポートといういかにもあなたのためだという言葉を使っているが、結局は自分の欲をぶつける対象を探しているだけ。
このような行為をしている男性は直ちに辞めるべきであり、女性も連絡をしないもしくは断つべきである。

自分の身を守る、それは今に始まったことではない。
しかし、様々な方向からのリスクに対しすべて対応できるわけでもない。
そのため、少なくとも、自分の心と体を守れるように自己防衛をしなくてはならないのである。
声をあげること、助けを求めることを恐れてはならない。

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