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オープンDの音色を追って 14

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 今日、12月25日は、GAROのラストアルバム『三叉路』(1975年)発売日です。
 GAROのアルバムという点では嬉しいクリスマスプレゼントですが、最後の、というところでブルーになってしまいますね。
 翌1976年1月1日にはラストシングル『さいごの手紙』が発売されています。
 これまたひどいお年玉だ。
 当時、お正月にはお店は閉まっていたと思うのですが、レコード屋さんは開いていたのでしょうか。
 お年玉が使われそうなレコードやおもちゃのお店は開いていたのかもしれませんね。
 私の記憶(於:大阪府豊中市)としては、お店が開くのは三が日が過ぎて「初荷」の旗を立てたトラックが走った後でした。

 さて、今日はアルバム『GARO LIVE』の感想です。
 録音:1973年2月26日 横須賀市文化会館
 キーボード/指揮:柳田ヒロ
 ドラムス:チト河内
 ベース:後藤次利
 エレキギター:矢島賢

 このコンサートの直前、サポートメンバーだった小原礼と高橋幸宏は参加を終了し、サディスティック・ミカ・バンドに加わったそうです。
 サディスティック・ミカ・バンドのベースは、小原礼の後任が後藤次利(ただし正式加入ではなくサポートとして)ですから、このあたりのメンバーは何かと近いところで循環していたのですね。

『学生街の喫茶店』
 エレキver.
 こうしてギターをちゃんと入れてくれればそんなには文句のない曲。
 大ヒット曲が出てめちゃめちゃ働かされていた頃のライヴなんですね。
 観客の声援や口笛がすごい。
 このコンサートの翌日、ボーカルは十二指腸潰瘍で入院。

『時の魔法』
 エレキver.
 ライヴでもまったく遜色のない、何ならレコード音源よりもきれいなコーラス。
 このライヴ盤がどの程度実際の演奏順通りなのかわかりませんが、私ならこの華やかな曲をオープニングにします。

『ディスカバー・ピクニック』
 エレキver.
 楽しい楽しいボーカル曲。
 これだけ楽しく歌っているのに翌日には入院。びっくりだ。

『美しすぎて』
 アコースティックver.
 会場である横須賀市民会館文化会館のように、美し過ぎる曲。
 ボーカルのリップサービスに対して客席の少年から鋭いツッコミ。

『忘れていたもの』
 アコースティックver.
『美しすぎて』に続いて東京音楽祭に出品された曲です。
 スタジオ録音版がないので、ライヴで聴くしかないレアな存在。
 作詞はボーカル&マーク、作曲はマーク。
 サビに「メリーゴーランド」という詞があることから、この曲を『地球はメリー・ゴーランド』だと記憶している人もいる模様。
 大事に育てられた子どもの日常を描いた、上品な一曲。

『君の誕生日』
 作詞:山上路夫 作・編曲:すぎやまこういち
 A面のラストはライヴではなくスタジオ録音のシングル曲。
 ボーナストラックみたいなものですね。
 LPレコードやカセットテープは、A面とB面とをなるべく同じ長さにしなければならないので、調整のために入れたのでしょうか。
 GAROが売れてる→アルバム出そう→でも曲作ったり録音したりしてる時間がない→そうだ! ライヴ盤だ!→ついでに今あるレコード音源も突っ込んじゃえ。どのアルバムに入れたらいいかわからんしな! みたいな雑な感じも受けます。拙速というのか。
 入院中のボーカルはこの曲には参加していません。

『一人で行くさ』
 B面はデビュー曲のエレキver.から。
 レコードよりもテンポが遅く、その分ハーモニーをじっくり味わうことができます。

『木馬』
 エレキver.
 途中に誰かの咳払いが入っています。
 これほどオンマイクということはGAROの三人のうち誰かの。
 マークは歌っている最中なので、ボーカルかトミー。
 とにかく臨場感たっぷりです。

『涙はいらない』
 エレキver.

このコンサートをサポートしてくれたのは当時の日本では超一流のミュージシャンの面々だが、エレキ・ギターで全曲参加してくれた矢島賢さんの演奏は、トラックダウンの段階で『涙はいらない』のリード・ギターのみになってしまった。矢島さん、申し訳ありません。

GARO BOX アルバム解説 大野真澄

 ファーストアルバムでも『暗い部屋』のイントロでトミーのリードが消されていました。
 どうしてそういうことをするんでしょうね?

『暗い部屋』
 ということで、ちゃんとトミーのリードが入ったイントロがこちらです。
「トミー様がんばって!」というお客さんからの声援も入っています。トミー「様」だったんですね。アイドルかな?
 このGAROの実力が堪能できる曲を、じかに見聞きすることのできたお客さんたちは幸せですよ!

『散歩』
 作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦 編曲:有馬すゝむ
 大作『暗い部屋』で終わっておけばいいのに、またもやボーナストラックのスタジオ録音曲です。
 いい曲ですけどね。
 シングル『君の誕生日』のB面。入院中のボーカルは不参加。
『君の誕生日』もこの曲も、トミーがけっこう泣きを入れたりかわいらしく歌ったり、マークのお株を奪いにいっているような気がします。

 この盤のライヴのあと、GAROの次のシングル曲を決めるイベントがあったらしいです。
 ラジオで『君の誕生日』『散歩』『君の肖像』『憶えているかい』が発表され、リスナーからのリクエストが多かった曲をシングルにするということでした。
 結果『君の誕生日』がA面、『散歩』がB面に決まったそうです。
 こういうことは今でもネットでいろいろな投票が行われています。
 当時はそのツールがラジオだったのですね。
 リクエストの電話やハガキを処理して……アナログですね。スマホでポチっとワンクリックとは違って行動コストがかかりますからね。お客さんも熱心だったと思います。
(つづく)
(文中敬称略)

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