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ボランティアに対する違和感



あなたはボランティアの経験があるだろうか。学校でやるように指示された人もいれば、今まで一度もボランティアをやったことのない人もいるかもしれない。

つい最近までの私は後者だった。就職活動を経た私は色々なことに興味を持つようになった。その中の1つが「まちづくり」だった。まちづくりを学ぶために地域のゴミ拾いのボランティアに参加した。

まちづくりを学ぶうえで公園や道路、住宅街といったハード面、住民の人々や自治体といったソフト面を見る必要があると考えていた。ゴミ拾いを通じてそういったハード面やソフト面に触れることができると考えたのだ。

とは言え、私は大学4年生になるまでボランティアに参加したことがなかった。と言うより興味がなかった。理由はシンプルで給与が出ないからだ。だったらアルバイトをしたり、友人と遊んだほうがいいと考えていた。なんなら今もそういった価値観はある。

2021年に開催された東京オリンピックではボランティアを大規模に募集した。その是非について、明治大学の学生にインタビューを行っているニュースを見た。その中の1人が「企業にお金を還元しているのに、学生にはただ働きさせる魂胆が許せない」と言っていた。全くその通りだと思う。

あれから2年後、私は実際にボランティアをやってみて給与の代わりに、ボランティア証明書と経験を手にした。給与という分かりやすい指標は得られなかったが、1度ボランティアに参加したことで、ボランティアそのものに興味を持つことになった。このことはある意味で私にとって大きな価値観の転換期だった。

元々は「まちづくり」に興味を持っていたわけだが、その中でも「コミュニティ」という領域に関心がいくようになった。科学が発達することで、都市化が進み、同時にこれまでの農村地域が減っていった。これまでは周囲が知り合いだらけだったのが、今では他人がいるだけである。ざっくり言うとコミュニティ不足による人間関係の過疎化が起こるわけである。

私はこの課題に対して、自分の好きな「スポーツ」という領域で解決することに興味がある。現在ではNPOを中心とするボランティア団体においてもスポーツを扱っている団体がよく見られる。

しかし、大抵は障害者ができるようなスポーツの機会を提供するといった類のものである。私は障害者に関わらず、多くの人がスポーツを通じて楽しめる時間・空間を創り出したい。そう思うようになったのは、私が実際にボランティアに参加したからであった。

そこからはNPOや社会起業家に関する書籍を読み込む2週間が続いた。その中では色々なことを学ぶことができたが、1つ印象的だったのはボランティア団体においても民間企業と同じように「ヒト・モノ・カネ・情報」をはじめとするリソースが必要だなと実感したことである。

イマドキの言葉として「持続可能な社会」という言葉がある。この社会を実現するうえで環境や政治が持続性のあるような仕組み・取り組みが必要なのはもちろんのこと、民間企業やNPOをはじめとする団体が持続的であることも重要なのではないかと私は考えた。

今回着目したのはNPOという団体である。NPOは非営利組織という言葉から利益を重視する団体ではないと思われているが、実際には利益を株主に還元しないだけであって収益性を認めないわけではない。むしろ持続的に活動するためには収益性が必要である。そうでなければ半永久的に政府や他団体・地域から補助金を受けなければ活動できない団体となり、自立することはできない。結果、彼らが掲げているミッションを実現することが難しくなる。

日本にあるボランティア団体は今なおこれらの困難を乗り越えながら社会の課題に対して立ち向かおうとしている。現状はボランティア有志者を「無償」で集め、ミッションを成し遂げようとしている。

私は将来的にボランティアであっても、給与が認められるようになっていると予想する。近年ではボランティア団体と民間企業の境界線が少なくなってきている。ボランティア団体であっても民間企業で求められるような「ヒト・モノ・カネ・情報」が大事になってくると私は考えている。

日本には無数のボランティア団体があるが、持続可能な団体は実際には数少ないのだろう。中長期的に社会の課題を解決していくためには団体が潰れないことが大事である。

例えば団体が潰れないようにするためには優秀な人物が必要である。そういった優秀な人物をその団体に雇うためには、カネが必要であろう。だが、実際にはそれだけのカネ(給与)を支払うだけの体力がボランティア団体にはないのが現状だろう。

話をつらつらと書き連ねてきたが、やはりボランティアには給与がいると思う。でも実際に難しいのも分かる。この問題は短期的には解決しないだろう。中長期的に見てこの状況が少しずつ良くなっていくことを願うばかりだ。

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