見出し画像

(日々)閉店ですよ/ホーチミンの夕日/三度目の揚げパン

2023/2/9 閉店ですよ

14時45分、Googleによると15時半までやっているという近所の食堂へ歩いていく。

家にあったホーチミングルメ本『ホーチミンのおいしい!がとまらない 食べ歩きガイド』に載っていて、コムガー(お肉がのったごはん)がおいしそうだった。
ホーチミンに来て1ヶ月、はじめて本を参照してみたけれど、情報が厳選されていて、いいなと思う。ホーチミン食べ歩き歴10年の人たちが、厳選した店をこんなにまとめて見れるなんて。

いつも向かうのとは、違う方向に歩いていく。
単調な大通りの一本道で、帰りはgrabを使おうと思う。

15分ほどで、目的の道に辿り着く。15時。30分あれば、コムガーを食べれるだろう。

店にはいって、「1人です」と人差し指を立てる。
客席に座って作業をしていたお兄さんが、こちらを向く。

満面の笑み。そして、やんわり左に身体を傾けて、大きく腕でばってんマーク。
もうランチは終了してしまったらしい。

お腹はすいているし、残念だったけれど、気持ちが穏やかなのは、笑顔とやわらかな仕草のおかげだろう。

これまで旅先で、何度も「もう閉店だよ、帰った帰った」と、いらいらした調子で言われてきたことを思い出す。

いい街に来たなぁと思う。


2023/2/10  ホーチミンの夕日

ホーチミンの夕日を見てみようと思った。
川がある街だから、きっとすてきだろうと。

夕日スポットはいくつかあるが、一番定番なのは、「サイゴンスカイデッキ」らしい。ホーチミン一高いビルの49階にあって、入場料200,000ドン(1200円くらい)。300円あれば麺が食べれるから、かなり高い。

まぁ、来たばかりだしと、定番に行ってみる。チケットを買って、欧米や中東の人にまじってエレベーターを上がる。

午後5時半、エレベーターを降りると、ちょうど目の前にオレンジ色の夕日があった。排気ガスだろうか、少し霞んでいる。手前には、どこまでも続くビル群。六本木の森ビルから見る景色より、ビルが多いかもしれない。

展望台はクーラーがきいているけれど、夕日があたっているあたりは暑くなってきて、長くはいられない。

展望台を左回りに歩いてみる。川がある。川のまわりを、無数のバイクが走っている。
川に沈む夕日を勝手に妄想していたのだけど、川と夕日は平行ではなく、垂直関係で、しかも少しずれた位置にあった。

川の位置のせいか、排気ガスのせいか、自分の気持ちの問題か、いまいち感動しにくい夕日だ。都会の夕日なんて、そんなものかもしれない。

1200円も払ったしと、ぐるぐる何周かしてみる。夜景も見ておくかと、望遠鏡の下で座って待つ。気づくと日没はすんでいた。

暗くなると、バイクの光がちらちらと揺れ、ビルが蛍光色に光り出す。ピンクや黄緑、紫の夜景だ。

そこで、都会の夜景が苦手だったことを思い出す。あの光が全部人間で、しかもたいていあくせく働いていて、二酸化炭素を排出していて…とつい考えて、ぞわぞわしてしまうのだ。
20代のころ、デートでどやと連れてこられて、「わぁ、きれい」と言うのが嫌だった(かといって、「夜景、興味なくて」という勇気もなかった)記憶が蘇るからかもしれない。

エレベーターを降りて、grabでバイクを呼ぶ。
バイクで風と一緒に通り抜けるホーチミンの街は、上から見下ろすより、ずっときもちよくて、きれいだった。


2023/2/11 三度目の揚げパン

先週立ち寄ったタイビン市場。その外周に、バイクが絶え間なく立ち寄る揚げパン屋さんがあった。

最近わかったのは、人とバイクが集まる店はおいしいということだ。当たり前すぎる。でも、Googleの口コミばかりチェックしていると、ついそういうことを忘れてしまう。

だから、きっとそのパンはおいしいのだけれど、残念なことに、私はそのとき鶏おこわを食べたばかりだった。炭水化物をあらためて食べられる状態ではない。

今日近くに来ることがあったので、あらためて立ち寄る。今度こそはと店の前に来て気づく。
お金を崩してこなかった…。市場では、大きなお金は受け入れてもらえないだろう。

仕方がないので、おこわを食べにいく。パンよりは高いし、英語を話す優しげな韓国ヘアなお兄さんがいたから、きっと大丈夫だ。

今度は豚おこわを食べる。「大きいものしかなくて」と謝りながら支払うと、案の定お兄さんがno problemと対応してくれた。

それで揚げパン屋に戻り、やっと揚げパンを買えたのだ。

よく考えたら、おこわ後という状況は、前回諦めたときと変わらない。

家に帰り、お腹いっぱいだなと思いつつ食べた揚げパンは、どこか懐かしい味で、たしかにおいしかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?