見出し画像

普通にセクシーでOKな時代へ──パーソナルデザインとかパリ流とか

誰しもその人なりの美しさがあることと、社会の風潮とファッションの話。

気づけばすっかり趣味になっていたことに、「イメコン」の情報収集がある。イメコンとは、イメージコンサルタントの略で、似合うファッションやヘアスタイル、メイクを診断してくれる人たちのことだ。

春夏秋冬のタイプ別で似合う色を診断するパーソナルカラーは、最近雑誌でもよく取り上げられて市民権を得ているかんじがする。


オランダ・ユトレヒトのショーウィンドウ。ドレスと落書きのコントラストがかわいい。


私は少し(?)オタクなので、パーソナルカラーは4つの季節をさらに細分化した16タイプでいうディープオータムで、その他にも顔タイプはエレガント、パーソナルデザインはロマンス・ファッショナブルタイプ、パリ流ファッションスタイル診断はセクシー・シック・ドラマティックで……といろいろなイメコンの診断を受けている。

自分のことをこんなに診断するなんて、ナルシストっぽく思われる気がして、あまり人には言っていない。

けれど、どれも受けたことで、服や化粧品選びを失敗しにくくなったし、なにより各コンサルタントの人のファッションに関する考察の発信を見るのが、楽しい。一つ受けると、「沼」にはまってしまう人も多い界隈なのだ。


フォローしているイメージコンサルタントのオウカフルさんのインスタで、ロマンス・ファッショナブルタイプにと紹介されていて、購入したワンピース。好きと似合うが一致すると、とても嬉しい。

特に受けて面白かったのが、パーソナルデザインとパリ流ファッションスタイル診断だ。

色や体型、顔といった個別の事項とは別に、その人のイメージ全体を分類するもので、パリ流ファッションスタイル診断のほうは、その人ごとのキャッチフレーズをもらえたりもする。

恥ずかしさはありつつも、わかりやすさのために共有すると、私のキャッチフレーズは、「濃厚で華やかな個性が光る都会のお姉様」だった。もちろん私だけがこんな大層な言葉をもらったわけではなくて、SNSで共有している人を見ると「〜で清楚なお嬢さん」とか「〜で憧れの女性」とか、それぞれみんなが主人公になるようなキャッチフレーズだ。

各自がめざしやすい方向性の最高な形を、言語化しているということなのだと思う。

そう、イメコンのなにがいいって「その人には、その人の美しさがある」という考え方が根底にあることだ。
誰しも似合いにくいファッションはある。でも、誰しもめちゃくちゃ似合うファッションもある、ということだ。

私の場合、白いシンプルなボタンダウンの襟付きシャツはいろいろ工夫しないと似合わないけれど、カーキのオフショルダーのニットはけっこう似合う。この知識がついてから、自分とタイプが違う人の服を見るのも楽しい。
「この人は、こんな薄ピンクが似合うなんて、さすがたなぁ」とか「胸元つまった服が、こんなにクラシカルにきまるなんて!」と勝手に思っている。


アフリカのオーダメイド・カルチャーは、似合わせカスタマイズ自由自在なかんじで、わくわくする(写真はロンドンのお店)。

大学時代、山ガールとエビちゃんOL、パステルカラーが流行っていた。私はどれも似合わなくて、なんだかとても芋っぽくなった。太ってるからかなぁとか、顔がくどすぎるのかなぁとか思っていた。それもあるだろう。


でもそれ以上に、だぼっとナチュラル素材で体型を隠す山ガールファッションや、エビちゃんOLの華奢なリボンとアンサンブルは、高級感のある素材・身体のラインをだす・大胆な装飾や形が得意な私のタイプが苦手とするものだった。パステルカラーは、ディープオータムの深いこっくりとした色の真逆だ。

こういう流行りと自分のタイプのズレが、自分の否定につながっている人って、けっこう多いのではないかと思う。


結婚式で着たドレス。明るい色もくすんでいたり、形や装飾が合っていたら、わりと似合うことがある。そのあたりの微妙な差や合わせ技がわかるようになってくるのも、楽しいところ。


私が該当するパーソナルデザイン・ロマンスやパリ流・セクシーは、名前のとおり、女性らしいファッションが似合うタイプだ(それぞれ定義は違うので、イコールではない)。最高峰のロールモデルは、マリリン・モンロー(笑)。

サブタイプも合わせると、峰不二子とか叶姉妹という人もいる。
ロールモデルや特徴だけ見ると、「日常生活どんな服を着れば!?笑」というタイプなので、イメコンにはまる人も多いらしい。

ちゃんと解釈すれば叶姉妹みたいな装いまでしなくてももちろんいいし、今の流行りで合う服はいろいろある。

でも、日本は女性らしい服は白い目で見られやすくて、なんだか窮屈だなぁとは思うこともある。別にセクシーキャラでもないし。

最近はわりと気にせずいろいろ着るものの、この胸元に切れ込みがはいったトップスを欲しいけどなんだか買えない自分がいた。Zara のふじこちゃんみたいな編み上げタイトスカートも、試着したものの、どこ着ていくんだろうとやめておいた。自分の映った写真をあとで見て、なんか華美すぎだったかな…と気になることもある。

ココ・シャネルは、19世紀の美の基準的には欠点だった痩せた体型を隠さず、むしろそれを際立たせるシンプルな服を着て、新しいトレンドをつくったらしい。

そんなふうに、なんでも気にせず芯を持って着ればよいのだけど。「セクシー」というのが、なかなか社会的なニュアンスもはらんでいて難しい(男性からの見られ方なども含め)。

ロマンスタイプは、むしろ19世紀ファッションより。Lady Maria Conyngham (died 1843), metropolitan museum public domain

でも、社会的だからこそ、どっちにもふれるものなのだと思う。

世界を見ると、胸の半ばまであるような深いVネックを堂々と着てバカンスを楽しむヨーロッパのおばさまもいれば、証明写真で谷間がっつり見えてるアメリカの先生もいるし、逆に髪の毛を夫以外に見せたら淫らだと罰せられる国の女性たちもいる。

先日ローンチした小嶋陽菜さんのランジェリーブランドのキャッチフレーズは、「多様性を尊重する時代だからこそ 女性らしさを選ぶ自由を肯定したい」だった。

SNS上ではこの言葉に共感する人たちがいて、深Vネックを着るおばあさんになりたい私は、とても嬉しかった。


ーーーーー
簡潔にしようと思いつつ、沼にはまっている分野なので、つい長くなってしまいました。
セクシーの話は、なんだか書いたり言うのに、抵抗があるテーマでもありました。
日本では某大臣の「セクシー」発言もネタ化していますが、本来はもっといいかんじのニュアンスの言葉なんですよね、きっと。

日本語話者としては、まだなかなか馴染めないので、叶姉妹の言う「ファビュラス」をめざそうかなと思っている最近です(笑)。

こちらの記事は、毎週末、配信しているニュースレター「日曜の窓辺から」のアーカイブです。(元記事公開日:2022.10.02)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?