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絶対忘れるながやめられない 8

前回までのお話はこちら

2014.1.30
益若つばめになる前のコボリアキラくんが主催した1月上旬のライブ@OTOでわたしたちは「俺の所得は雀の涙」という新曲を発表していた。
その時のライブ動画をYouTubeでアップしたら、結成以来はじめて「ドープですね」という感想を一人からもらった。2014年時点のぜわすはオルタナかつドープだった可能性がある。
「所得」は2年後に出した『to the 世間』というアルバムに入っているので気になった人は聞いてみてほしいが、なんせソースが1人なのでドープじゃなくても怒らないでほしい。

2014.3月上旬
さんざん「曲は悪くないのに音が悪い」と言われまくっていた我々の楽曲、はじめて外部の方にお願いをしてミックスをしてもらうことになった。
快く引き受けてくれたのはバンドサークルの先輩である園田健太郎さん。
2019年現在放送中の『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のOPを手がけたりしている正真正銘プロの売れっ子作曲家でありミュージシャンである(先日行われた高円寺のトークイベントでこの時の話になって「ぜわすは実質リュウソウジャー」という新説がにわかに出現し、そして消えた)。

吉祥寺のスタジオで「絶対忘れるなのテーマ」と「アイスクリームポップアップトゥギャザー」という曲を録ってもらった。志賀さんの家以外でレコーディングしたのははじめてで、プロの前で歌ったりラップするのは緊張したけど園田さんはわたしに「いい声してるねえ。そういう仕事しないの?」などと言ってくれた。優しいがすぎる。が、お世辞でも嬉しかった。
園田さんはアレンジとミックスをやってみてくれるという。楽しみだ。

2014.3.28
「妻はフェスに出たがっている」という曲をサンクラで発表。
タイトルは志賀さんのデモの時点でついていた。「フェスに出ていそうなバンドの曲」というテーマのようだ。メタ。志賀さんのメロディにあわせてセルラが歌詞をあて、志賀さんが歌った。サビに固有名詞を登場させてそれを無理やり英語表記にして濁す、というのをやった。

「まだ見ない あの日以来 勘違いならgo like a young men」

という文法がむちゃくちゃな英語を、志賀さんがわざとクセの強い歌い方をして「剛力彩芽~~」と叫ぶのを聞いて志賀家でみんなで笑った。他にも「me too see moreひかり」とか「see more tiny ひとみ」とかがあった。
わたしは椎名林檎さんの「輪廻ハイライト」みたいに、英語だけど空耳アワー的に日本語の歌詞を無理やりあてるやつに憧れがあったのでその逆をやりたかったのかもしれない。
数年後にサンクラから消してしまったので、今は聞く手立てがないのだけど、志賀さんのPCには入ってるのかなあ。

2014.4.28

ぜわすのテーマが園田さんより届く。"聞ける"やつだ!とみんなで感動。

2014.6
音も整ったということで、ついに「絶対忘れるなのテーマ」のMVを撮ることになった。監督はセルラがかけもちで所属していたキャンプサークルの同期で、映像の仕事をしている佐々木くんことささくん。舞台はもちろんというかなんというか阿佐ヶ谷、高円寺周辺。

これは本編では結局使われなかったすいちゃんが漫画を読みふけるシーン。

(ちなみにすいちゃんはすごく漫画が好きで、家にたくさん漫画があった。わたしはかなり多くの漫画を読ませてもらった。覚えているのは黒田硫黄の『茄子』、沙村広明の『おひっこし』、東村アキコの『ひまわりっ ~健一レジェンド~』、岩明均『寄生獣』、山崎紗也夏の『シマシマ』、いくえみ綾いろいろ。『少女椿』もあったけど怖そうすぎてちょっと勇気が出なかった。「黄桜」のCMの河童の絵の人(注:小島功さんでした)のコアな漫画とかもあった。あと「ビッグコミックオリジナル」は毎号買っていた。長期連載「浮浪雲」の存在を教えてくれたのもすいちゃん。)


ささくんは同じ月に下北沢のモナレコードでやったライブ映像も撮りに来てくれた。その時の写真がこれ。中央にいるのがささくん(イケメン)。右端はまだぜわすであることをオタク仲間にひた隠しにしていたため顔出しNGだったアルバさん。

2014年夏
屋外での撮影。朝早くからみんなで高円寺のガード下を歩いたり、

固い動きでラップをしたり

路地裏ですいちゃんが漫画雑誌を手にラップしたり


今はなき中通り商店街のファミマの二階でアルバさんが履歴書を書いたり、


阿佐ヶ谷の馬橋公園で蚊に刺されまくりながらセルラが口中の水分がなくなりきるまでバウムクーヘンを食べ続けたりした。(顔…)

一番の見どころは公園のベンチに座ったきれいなピーチジョン万次郎さん。

バックの木漏れ日も相まってきれいすぎる映像が撮れてしまい、すいちゃんとわたしはカメラチェックの時に爆笑した。

2015.3月
多忙なささくんが仕事の合間をぬって作業し、半年の時を経てついに「絶対忘れるなのテーマ」のMVが完成。
志賀さんちでみんなで見て、オープニングがかっこよくて思わず声が出る。

全くもって無名な我々が出したMVだが、予想を超えた数の人たちから反響があった。以前、初対面で「お前みたいな中途半端なサブカル女が一番嫌い」と言ってきたがその後なぜかぜわすを少し好いてくれていた音楽業界のOさんがツイートしてくれたことも大きかったと思う。
一番驚いたのはRAM RIDERさんがOさんのツイートに「これ好き」みたいなリプをくれていたこと。記憶が曖昧だけどたしか「同世代感がある」とか「わかる」とかどこかしらに共感ポイントを見出してくれていた。わたしはHALCALIのアンセム「春狩道~19の夜~」が大好きだったので本当に嬉しかった(残念ながら元ツイートが消えてしまったようでそのツイートは見つけられず)。

公開した数時間後には「your unknown music」というサイトで

"どこにでもいそうな人たちなのにいざ音楽をはじめると癖がすごくてやたら鼻につく、というか耳につく(ほめてる)"
"しいていうなら会社の忘年会の隠し芸に突如現れた超新星感ある(ほめてる)"

などとまとめられてさらに驚く。(ほめてる)とあるので多分ほめてる。
(今はサイトがリニューアルされていてその記事は見られないみたい)

MV、整えてもらった音源、そしてもちろんそもそもの楽曲の力を感じた一日だった。
それではお聞きください、「絶対忘れるなのテーマ」。


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