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魚屋さんで魚を買うというライフハック

石川に引っ越して、もうすぐ1年が経とうとしています。

いろんなことがありすぎて、はたと気づけば自分のブログは、「移住しました。」という1年前のエントリのまんま。

おそるべし、1年の速さを実感しているところです。


しごとの話はそれはそれでするとして、暮らしに目を向けてみると、


ところ変われば食材も変わる。

そんな当たり前のことを、日々、実感してきた1年だったように思います。先日、 田中伶(@TanakaRei_vd)ちゃんのこの note をたまたま見かけて、

そうだ、そうだった!私も、石川に引っ越して1年。ところ変われば食材も変わることの難しさを感じながらも身につけたライフハックがあったんだった!とハッとさせられたのです。

前置きが長くなりましたが、今日は、そんな、伶ちゃんの「お肉屋さんで肉を買うというライフハック」をオマージュした、「魚屋さんで魚を買うというライフハック」について書いてみたいと思います。

なんだ、肉の話の魚バージョンか、と思ったあなた。

肉にはない、魚ならではの難しさやライフハックもあるのでぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。


見たこともないカラフルな魚たち、私の辞書にはない名前

石川に来て、驚くべきはとにかくその魚の種類の多さ。神奈川県川崎生まれ、川崎育ちの私の家では家の近くに中学生くらいまでは魚屋さんがあったものの、そこがやめてしまってからは母が頼んだ生協から届く魚かスーパーで買うくらいで、基本的に食卓に並ぶのは鮭、鯖、鯵の干物、鰈の煮付けくらいのルーティーン。

もちろんお肉の日もあったけれど、魚の日はだいたいそんな感じで、あとは秋になったら秋刀魚を食べるくらいだったかなあ。

ところがどっこい、石川に引っ越してからというもの、何を選んだら良いのかわからないようなほどの種類が店頭に並んでいるのです。タイやカレイはだいたい1種類ではなくて◯◯鯛、◯◯カレイと書かれた札を見かけるし、同じ鯛の仲間でも、焼きが美味しいものとお刺身が美味しいものはどうやら違う。どうやって調理したら良いのか、だいたいそれがどんな味なのかすらわからない。

魚好きの人にとってはパラダイスなのだけれど、あまりの食材の違いに最初のうちはそのパラダイスを活かしきれないでいました。


北陸の食文化から料理のし方まで教えてくれて、下処理までやってくれる魚博士たち

魚屋さんに通い続けるうちに最初はドキドキしながら知ってそうな魚だけ買っていた私も、少しずついろんなことを教えてもらい、今では顔なじみにななりました。

聞けば東京や川崎でも聞いたことのある魚が石川では呼び名が違うことや、これから焼きたいのか、揚げたいのか、似たいのか、などに合わせてある程度の下処理をしてくれること、この地域ではどんな時に何が好まれて食べられているのかなど、店頭にいるおっちゃんたちはみんな、魚に纏わることはなんでも教えてくれる魚博士だったのです。

食文化は、土地の食材はもちろんのこと、その地域の人たちがどんな風に食べているのか、なんの魚が好まれるのかなどもひっくるめて食文化。食オタクの私は聞けば聞くほどに面白くて、ついつい立ち話ししてしまうことも…笑。


料理は魚屋さんに手伝ってもらえるって知ってた?

下処理を頼めば鱗を落とすのはもちろん、煮付けにしたければ三枚おろしに、焼きたければ頭とワタをとってキレイに、魚ご飯にしたければ一緒に炊き込むものや土鍋の大きさ、好みなどを聞いてちょうど良い大きさのお魚ちょうど良い状態で提案してくれます。なんかもはや、下処理というか料理を手伝ってくれるレベル!…神。

次の日お店に顔を出せば昨日の自分たちの提案がどうだったか、フィードバックを得ようと確認までしてくるんだからえらい。きっと私も何十年もの時間をかけてあの魚屋さんにそうやって溜まったナレッジの恩恵を受けているのでしょう。

嫁ぎ先は魚屋のすぐ近くなので、義祖母と姑と3人で入れ替わり立ち替わりその魚屋を訪れています。ちなみにうちの姑は、親戚が集まる日にはお皿を預けて予算を言って、手巻き寿司用のお刺身の盛り合わせを作ってもらっていたり。他にも、新鮮な魚が手に入っときには直接電話がかかってくるほどの仲なのです。

確かにスーパーでも、頼めば魚コーナーで3枚におろしてくれたりするところはあるかもしれないけれど、だいたい忙しい時間帯にはすでに全部パックされて売られていることも多いし、昨今の人手不足ではなかなかいてほしいタイミングで店員さんも捕まらない。

9月に底引き漁が解禁となる石川では、カニのシーズンとなる11月までの2ヶ月間、とにかく魚屋さんのラインナップが半端ないので、毎日手を替え品を替え、魚屋さんに下処理してもらったお魚を炊き込んだお魚ご飯が現在のわが家の定番の夕飯。忙しくても買ってきてグリルで焼いてお米の上に乗せて炊くだけ。1歳と4ヶ月になった娘にも毎日新鮮なお魚をたっぷりと食べさせることができています。夕飯に一品足りないなと思えば、お刺身を買ってきてみたり甘エビの頭をお味噌汁にしたり。これって、忙しい主婦の大の味方かもしれない。もしかしたらこれが一番大きな石川に引っ越して得た恩恵かもしれません。

なんなら、先日わたしが運営しているEATLABというスペースで開催したディナーイベントでは、実はこのお魚屋さんにメインの魚料理の相談、仕入れから下処理、仕込み前のギリギリのタイミングまでの冷蔵保管(うちのスペースの冷蔵庫が小さすぎて…)まで、裏方として大活躍してもらっていたのはここだけの話ですが…。


モノがお店で売れなくなっているこの時代、利幅の少ない小売業はどこも人件費のカットに躍起です。確かに安くてなんでも揃っているスーパーは便利だけれども、私がよく行くこの魚屋さんに限って言えば、スーパーの魚コーナーの魚よりも魚屋さんの魚が決して高いわけではありません。おそらくしっかり売っていかないと厳しいのはどちらも同じ。でも毎日売れるからこそあの量並べているんだろうし、私のようなその地域に他県から引っ越してきた主婦を店頭のコミュニケーションでしっかりと教育することでここから数十年間の顧客として確保しちゃうんだからすごいことです。

専門店のすごさは、その顧客とともにコミュニティを築き、文化を築けるところにあるのだ、と魚屋で魚を買うことを通してあらためて思っています。

考えてみれば、実は大田区羽田に住んでいた時も、近くの魚屋にお願いしておいて、娘のお食い初めの鯛を焼いてもらったのだった。石川のカラフルとは打って変わってさすがは江戸前で潔いラインナップで、並んでるのはいつもマグロとシャコとアナゴ、シャケばかりだったのだけれど、頼めば案外やってくれるものです。

なかなか漁港の側でなかったり、地域が違ったりすれば魚のラインナップも違うと思うけれど、東京でも下町の方だと案外まだまだこういう専門店を軸としたコミュニティができてるいるのかもしれない。

そんなことをふと思いながら、石川の魚が恋しくなった東京出張でした。

魚は魚屋で。

今日はこの辺で。


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noteに載せる前の思考の断片はTwitterに。













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食事家/フードディレクター 2018年にEATLAB株式会社を夫とともに共同創業し、石川県小松市に食文化のオープンスペースEATLABを運営しています。地域から日本の食文化のアーカイブとアップデートを行っています。北陸発ライフスタイルショップ「weave」主宰。

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