見出し画像

無痛分娩で2人の子を産みました#26

タイトル通り、1人目も2人目も無痛分娩での出産を経験している。

無痛分娩を知ったのは、高校生の頃。
産院によってはそんな出産方法もあると聞いて、わたしは大人になったら絶対に無痛分娩で産もうと心に決めた。
心に決めた人は見つからない寂しい青春時代だったが、出産方法だけは先に決めておいた。

わたしは痛みが嫌いだ。痛みに弱い。
弱虫だと根性がないと言われてもいい。痛いものは痛いのだ。

無痛分娩にした理由

初めての痛い思い出は、5歳のときの先天性耳ろう孔という外耳の奇形の手術だった。
耳介の前方に小さな穴があって、なにも症状が出ないことが多いらしいが、わたしは穴の中から白い貯留物が出てきており痒みもあったので手術して取り除いた。
これが痛かった経験その①。

それから大人になって、24歳で卵巣嚢腫摘出手術を受けた。
これが痛い思い出その②。

高校生の頃は半分は冗談だったものの、絶対に無痛分娩にしようと決意したのはこの手術後だった。

もう本当に痛い。内診台にあがるのも怖くなった。
詳しくはこちらの記事を読んでもらいたい。

その後、流産もしたことで出産に対する意欲的な気持ちはほぼなくなった。あるのは恐怖のみ。

特に流産は、心拍確認後にわかったので相当なショックだったし、結婚して既に5年が経っていた。

なので長男を妊娠したときには、無痛分娩で産みたい旨をすぐに助産師さんに相談した。

その上、わたしは喘息をもっている。痛みで喘息発作が起きることもありえる。
無痛分娩の講習会にも参加して、リスクも承知の上で出産に臨んだわけだ。

マメな性格なので、長男を出産した次の日に手帳に出産の一連の流れをメモしたものが手元にある。時系列でご紹介しよう。

無痛分娩での出産


出産当日
AM2:30
陣痛が始まって産院に着いた時には、痛みは10のうち3くらい
診察を受けるも子宮口は全く開いていないが陣痛はきてるとのこと。間隔は5〜10分。

4:00
痛みに耐え切れず無痛分娩を希望するも、子宮口が5センチ開かないとできないと言われる。講習会を受けたはずなのに、ド忘れしていた。
計画分娩もできたが、特別なケースを除いて産院が勧めていなかったので、わたしは陣痛がきてからの無痛分娩になっていた。

6:00
子宮口が6センチに。分娩室に移動して硬膜外麻酔(ダブルカテーテル)をしてもらう。注射の痛みはなく、麻酔をした瞬間に楽になる。背中がひんやりしていく。足の感覚はあり、痺れる程度。

8:00
再度麻酔、子宮口8センチ。
痛みがなくなると、うとうとする。眠い。というか寝ていた。爆睡。

10:00
子宮口全開になるが、赤ちゃんが全くおりてきていない。麻酔を使うとお産が進まないと言われる。

12:00
麻酔なしで頑張ろうとするけど痛みが出るとナースコールを押してしまう。もうあの快楽を味わって、自然分娩にはできそうにない。

2時間に1回ずつ麻酔を入れる。1回で90分ほどしか効かない。(今思えばそれだけ効けばいいだろうとツッコミたい)

13:00〜17:00
記憶なし。上記のことを繰り返す。副作用で38度まで発熱する。

17:00
内診すると破水。あまりの痛さに悶絶。今までの痛みはなんだったのか、ってくらい。
お産が進まず長引いているので、陣痛促進剤の使用の提案をされる。麻酔を使ってもあまり効いていない感じがして、1 分間隔で痛みの波がくる。

20:30
赤ちゃんが徐々に降りてきて、分娩の準備に入る。2回ほどいきむと頭が出て、力を抜くと体が出てきた瞬間に痛みから解放される。

このあと、会陰の処置をするのだが、麻酔が効いているため痛みはなし。出血の様子を見て2時間後に病室へ。

ほとんどの方は車椅子で病室まで戻るらしいが、わたしは座るのが怖かったのと歩けそうだったので歩いて病室まで行った。「無痛分娩だから元気が残っているのもあるかもね」と助産師さんに言われたが、そうだと思う。

この助産師さんも非常に無痛分娩に対して理解のある方で、「薬を…!薬を入れてください…!」と狂ったようにしつこく言うわたしに、優しく腰を撫でてくれた。涙。

病院の方針にもよるが、無痛というより和痛と考えた方がいい。

正直なところ、麻酔をしても陣痛は相当痛かった。麻酔が切れて陣痛がくると痛みでガタガタと震えてほど。
自然分娩で出産した人ってすごい、世の中のママたちや自分の母を心の底から尊敬した。

出産前に聞いていた通り、体の回復は早かった。
それでも赤ちゃんのお世話は大変だったが、産後1ヶ月を過ぎたら頼る人のいないわたしにとって無痛分娩はありがたかったし、もう一人産みたいと思える余裕もあった。

ところがだ。
次男を無痛分娩で出産する時には、
「ま、2人目はお産も早いっていうし、大丈夫っしょ」
と余裕ぶっこいていたら、とんでもないことになってしまう。

分娩の流れは1人目と同じだが、麻酔の効きがやはりあまり良くなかった。
同じ産院で無痛分娩をしたママ友は、相当楽だったと言っていたから、わたしが痛みに弱いだけかもしれない。

それでも息を吐くタイミングをとったりと、1人目の時より冷静ではあった。
痛いとはいえ麻酔も効いているし、早くこの痛みから解放されたい!と思ってまだ子宮口が全開でない(8センチくらい)のにいきんでしまったのだ。

おかげですぐに次男とご対面。
長男の時には19時間ほどかかったお産が、次男は半分の9時間ほど。

画像1


しかし、会陰の処置が長い!しかも長男の時より、処置が痛いのはなぜ…?
立ち会っていた母や姉は先生が長らく縫合しているので、「…どうしたんだろう?」と思っていたらしい。

入院中に助産師さんが持ってきた書類には、「会陰裂傷2度」と書かれていた。

会陰裂傷
裂傷の程度によって1度から4度までに分類される。 1度裂傷は会陰部の皮膚および皮下組織のみの裂傷で、2度裂傷はさらに会陰や腟壁(ちつへき)の深部筋層まで及んだものをいう。 3度裂傷では肛門括約筋にまで達し、4度裂傷は直腸粘膜をも損傷するものをいう。

ちなみに長男の時には1度だった。
だからあんなに長く縫っていたのか〜と考えていたけれど、入院中の出血が多く不安になるほど。
しかも痛い…!

出血が多いため、助産師さんもこまめに体調を気にかけてくださったおかげで、退院する頃には出血量も治まった。

ちなみにわたしは麻酔後の頭痛もなく、食欲も旺盛だったが人によっては吐き気や頭痛が続く場合もあるらしいので、担当医とはよく話し合って決めることをおすすめする。

母子にとってベストな選択が良いお産に

わたしが長男を出産した2016年の日本での無痛分娩の割合は、6.1%らしい。
一方でアメリカは73.1%、フランス82.2%、イギリス60%、ドイツ20~30%となっているので、日本ではまだ無痛分娩を経験した人はまだまだ少ないといえる。

実際に今まで出会ってきたママたちで、無痛分娩経験者は1人だけだった。

「無痛分娩にする」というと、わたしの両親や祖母は「大丈夫なの?」という顔をした。
祖母にいたっては、「お腹を痛めて産まなきゃ一人前ではないよ!」と言われた。

わたしはどんな分娩方法であっても、子供に対する愛情は変わらないと思う。
痛みがあってもなくても、我が子は可愛いし愛おしい。

そういった愛情の度合いを、人と比べるのは無意味だし物差しで測れるものでもない。


友人は、今年のはじめに3人目を無痛分娩で出産した。

1人目と2人目は自然分娩だったが、コロナで誰も立ち会えないことが心細く頑張れないかもしれないと思ったことと、産後の3人の子供のお世話のために体の回復を最優先に考え、無痛分娩にした。

数年前とは異なる事情で、分娩方法を選択することにもなるのかと話を聞きながら思った。

痛みに弱く流産や卵巣嚢腫摘出手術を受けたわたしは、無痛分娩を選んだことで出産への不安も解消された。

どんな出産でも、リスクはある。
母子にとってベストな選択こそが、安心で良いお産に繋がる。
どんな分娩方法であっても、子供への愛情や出産した時の感動は忘れることはできない。

わたしは胸を張って、無痛分娩で出産したと言いたい。


この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?