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ディアスポラ

ずっとディアスポラの話をしていた。ここでも何度も。

ディアスポラというのは「撒き散らされた種」という意味。ユダヤ人や華僑のように、母国を離れて遠く離れた場所に移住してそこで家族を形成し、働いていく。風に飛ばされ、鳥に運ばれて、遠くの土地で芽吹く種のような移民、あるいは難民のことだ。ディアスポラは植民地主義とたいへん関りが深い。植民地主義というのは、「故郷を遠く離れて世界を流離う流浪の民」をたくさん作るからだ。

ユダヤ人は金融で成功し、これが転じてコスモポリタンを作った。コスモポリタンというのは、国家に縛られずに世界を飛び歩いて金儲けをする上流階級のこと。その思想をコスモポリタニズムと呼ぶ。これも、地政学者で『新自由主義』を書いたハーヴェイが書籍を書いている。


今回のウクライナ侵攻で、NATOの東方拡大主義ってよく見かけるんだが、拡張主義とかグローバリズムとか言われるやつで、その経済戦争版が新自由主義だ。昔はグローバリズムと呼んでいた。なんかずっとその辺追いかけてきてた気がするな。中東のほうには、その核がある。イスラエルだ。グローバリズムを語るときはどうしてもイスラエルのパレスチナ侵攻に話が戻っていってしまう。第二次世界大戦の後のイスラエル建国。それを後押しした国連とアメリカ。そして、パレスチナ難民とその報道のしかたに。

ちなみに、ナオミ・クラインの『ショックドクトリン』にはロシアのエリツィン政権時の新自由主義に関して大きい章が割かれている。ロシア国内の話はあまり伝わってないのだけど、ロシアも新自由主義シカゴ学派によって通貨価値棄損と大変な貧困格差を経験している。今の日本みたいに、だ。通貨価値棄損はディアスポラをたくさん作るんだ。労働難民。国内でどれほど働いても、一家の家計を賄えるほどの給料がもらえないから、少しでも為替の高い他国に出稼ぎに出る。それがディアスポラ。すでに日本も通貨価値棄損により、他国への出稼ぎが増えている。我々も、デジタル空間での出稼ぎをすることになる。デジタル・ディアスポラだ。今現在、すでに始まってると言われる悪いインフレ=スタグフレーションも同じ話だ。コストプッシュインフレは通貨価値棄損と同じことなので。

いまさらその辺を総ざらいしろと言うつもりはないが、それでもウクライナ侵攻の報道にいろいろと胸塞がれている。亡くなったかたがた、特に子供たちは本当に気の毒だ。胸が塞がれる。早く戦争が終わって欲しい。もちろん反戦だ。

しかし、それでは止められない。これからもこれは続くのだ。という、絶望感と諦観が広がっていく。それすらももう慣れるほどに、数年がかりでこの辺を観ていた。

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