明恵夢を生きる
ここのところ夢見が悪い。
最近見た夢は、なんの理由なのかわかんないけど、全然知らないおかっぱの若い女性が拷問(と言ってもたいしたことはなく、なんか無理やり食わされる、とかだった)を受けていて、顔を真っ赤にして苦しんでいるのを見て、うちの子に似てる、と思った瞬間、恐ろしくなって抱きしめて、
「愛してるよ」
と言う夢だ。
意味わからないんだけど、うちの子に似てる女性が拷問されてたってだけで起きてから不安でたまらなくなった。意味を考えてしまう。
夢は、フルカラーだし覚えているほうだ。怖い夢はとてもよく覚えている。現実より発色が良いときがある。だから、怖い時はとても怖い。美しいときは凄まじく美しく、花の色はよく、内側から光るようだ。
明恵にも河合隼雄にも一時期はまってて、本を何冊か読んだことがある。夢日記を思春期から死ぬまでつけ続けた僧侶の話だ。河合隼雄はフロイト派の心理学者で夢分析や箱庭療法が専門の学者であり、権威でもあった。死んだ親友が大好きだったから、勧められて大学時代に読んでいた。
夢日記をつけると心が安定するんだってさ。
夢を互いによく聞きあう民族は犯罪が少ないんだってさ。
悪い夢はひとに話せ、良い夢は誰にも言わずに反芻しておけ。
階段を下がったり上がったりと、上下の空間移動がある夢は大事なので、よく覚えておけ。
そう本に書いてあって夢日記を一時期つけてたんだけど。最近は覚えているのもやっとだ。
河合隼雄はロマンティストだ。今も生きていたら、現代社会やSNSに対してなんと言うだろうか。そんなことをよく考える。
漫画は箱庭療法みたいなものなので、やはり、意味を考えてしまうのだった。欠落が特に気になる。歪みが多いのが気になる。ひとの心は層のようで、意味はひとつではなく、何層も下へ、下へと続いていく。
このレイヤーではこうだけど、このレイヤーではこう、と、一枚ずつ下へ、下へ、と潜っていく。
たどりつくのはどこか。集合的無意識か。文化的洗脳か。
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