見出し画像

マレーシアはイギリスの旧植民地なんだけど、繁華街はだいたい日本のららぽーとと同じだ。一階にブランド品店が入って上の階に続いていくけど、商品なんかだいたい世界中どこも同じかんじでダイソーもある。OPPOとかファーウェイとかのスマホ屋もいっぱいある。パソコンはメーカーすらもだいたい日本と一緒。レストランは糞まずいんだけど、トイレは綺麗だし床も綺麗でゴミ一つ落ちていない。街並みがどこもだいたい同じ。

というのが、先に新自由主義とかグローバリズムに飲み込まれた国の特徴だ。

一方、マーケット=市場は汚くて臭くて雑多で、野良犬もいておこぼれをおねだりしている。つーか野犬マジで怖い。結構吠えてくるんだ。マーケットの裏で鶏を殺してるんで、肉がすごい新鮮。福建語を話す華人がたくさんいて、市場の片隅で中華まんをふかしてるんだけど、それが旨くて、もうどこでもドアがあったらまずあそこに中華まんを食べに行きたい。華人のおいちゃんに話しかけられて、よくわからないって言うと、「日本人は英語も中国語もできねーからな!」と笑って馬鹿にされて、馬鹿にされたことだけはよくわかるの不思議、って思うんだ。生ジュースも安くて美味しい。最初は腹を壊すからやめろって言われるんだけど、一流ホテルで一杯1000円以上するオレンジジュースを飲むよりも、市場のすっぱい梅もどきジュース50円くらいのほうが旨い。結局一度も腹を壊さなかった。食器もうちょっと丁寧に洗えよ、と思うような食器なんだけど、チキンライスも旨い。

マレーシアは多民族国家で100m歩くと神社仏閣に当たる。ムスリムのモスクはあるはヒンドゥー教のお寺はあるは龍の寺と道教の寺は違うしとにかく神社仏閣作りすぎやねん誰がお参りするのかっつー勢いでたくさんあるんだ。

グローバリズムに飲み込まれた国々は、表の顔はグローバリズムなんだけど、裏の顔があって、裏はすごい民族主義に固執する。移民も宗教を持ってきてそれに固執する。アイデンティティがそこにあるんだろう。宗教とか宗教行事とかそういうのに。それぞれの国の文化の宗教行事は美しく、心を浮き立たせてくる。ムスリムのスンニ派はパンをかじりながらコーランを読みにモスクへ向かうし、シーア派はでかいターバンを巻いて頭を重そうにバイクで走ってて、華人はおまじないの札をそこいらじゅうに貼ってて、インド上流階級のご夫妻は砂で玄関先に絵を描いている。それぞれ、力でねじ伏せられて失ったものたちの中で、これだけは握りしめてきた、という気概と愛情を感じるんだ。

植民地人は弱い。弱いゆえに変化せざるを得なかったのだ。ひともたくさん殺されたのだろう。でも、どれほど変化して住む土地を変えても、一番大事なところは変えない。

あの、覚悟。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?