見出し画像

『食が壊れる』読書感想

https://a.co/cdwbYN7

堤未果さんはファンなので結構読んでいると思う。全部じゃないけど。最近読んだのはこの本だ。

新自由主義って言ってもどんな動きを指し示すのかよくわかんない、という人は多いだろう。その、具体的な大企業の動き、法の改正のためのロビー活動、広報、情報工作、レッテル貼り、思考回路、そういったものを丁寧に追いかけるドキュメンタリー本だ。新自由主義の悪影響は、搾取、貧困格差の拡大の他は、公害や薬害の形をとることが多い。公害や薬害は、帝国ー植民地主義構造を孕む。新自由主義は、外資系大企業による経済侵略と言われたりもする。業界、企業群による、法の改正のための政治家へのロビー活動と、その献金・癒着構造を、コーポラティズムと呼ぶ。

堤さんは、散々「気にしすぎ」と責められた母親たちや、アグリビジネスに虐げられた小さい農家の人々と行動を共にし、彼らが調べたことをまとめている。

一般市民って全然、馬鹿じゃないのだ。

変だな、と思えば調べる。特に子供がいる母親は、子供と関係していると思うと、いてもたってもいられなくなって深く調べる人が出てくる。全部ではない。調べる人は、いつだって少数派だ。でも、驚くような執念で調べる人たちが出てくるのだ。私もそれを別件でずっと観ていた。

自分の子供の命がかかっている時、母親は強くなる。本当に強い。あれは子供への愛情であり、ヒューマニズムだ。どれほど新自由主義が、グローバリズムが、外資系大企業が、その国の政府が強かろうとも立ち向かっていく。私は10年前、この人たちの中にいて、この人たちの流れにいたい、と強く思ったのを覚えている。

今も確かにそこに居る。

この本を読んで、別件を連想する人は多いだろう。アレの構造に似てるな、と。それはひとつじゃない。たくさん、たくさんあるんだよ。私たちはもう、新自由主義に直面し、苦しめられている。そのパターンこそが、新自由主義というものだ。痛い目に遭って初めて調べ始める人は多い。調べ、書き、つながり、大企業に立ち向かっていく。

日本人は4大卒もそれなりいて、インテリが多いよね。調べ方を知っている。おかしい、と思って調べ、書き、つながり、大きなものに立ち向かっていくあの人たちが、我々の希望だ。多くの人は、現代の希望をはき違えている。

私はこの10年、結果的に新自由主義や、現代型の帝国ー植民地主義を追いかけていた。でも長いこと黙ってたんだよね。あんまり言わなかったの。私がショックドクトリンやコーポラティズム、新自由主義を知ってると、怒られると思ってた。誰かが、すごい勢いで怒ってくると思ってた。軍事関連もだ。そんなことを知っていてはいけない、調べてはいけない、と言われるのではないか、と。反体制だ。今の日本は、新自由主義を推進する側が権威だから。

こんなことを、女性向けの漫画家が知っていてはいけない、と言われると、なんとなく思っていた。

でも今は、すっかりショックドクトリンやコーポラティズムや新自由主義の話をしてしまっている。言っても何も変わらなかった。今も普通に仕事をしてて、特に仕事が減った、とかも無いな。むしろ、こっちが新自由主義にさらに適応できなくなって困っている。あまりにネオリベすぎると、敬遠しがちになった。その程度だったな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?