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桜の国 夕凪の街

そういや読んでなかったな、と思って読んだ。

原爆を落とされた10年後の広島のひとたちの物語だ。セリフを引用しよう。

ぜんたいこの街の人は不自然だ。誰もあのことを言わない。いまだにわけがわからないのだ。わかっているのは「死ねばいい」と誰かに思われたということ。思われたのに生き延びているということ

霞姉ちゃんが倒れたのはあの日から二か月後だった。紫のしみだらけになって、時々突然殴りかかったり叫んだりしながら逝ってしまった。わたしが寝込んでから、母もわたしも一言も姉の話をしなくなった。

わかるだろうか。際立つのは沈黙だ。

今もたいして変わらない。日本国民は沈黙してしまった。わけがわからないからだ。わかってるのは、「おまえたちは知らなくていい」と誰かに思われていたということ。

今現在にとても似ている。


我々の民族は傷つけられ、損なわれた。もう復活することはないだろう。


だから私は黙らないのですよ。恨んでないわけがあるか。恨んでいない、恨むな、と思っている時点で、あなたはひとを馬鹿にしているんだよ。

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