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某担当編集さんが転職するってご連絡をいただいた。別の出版社に転職したのでまたそっちでも私の担当、みたいになる編集さんはとても多い。とても。つーか、今、組んでる編集さんが、すべてそうだ。

出版業界は昔から、作家と編集がマグロのように似たようなところを回遊している。編プロや出版社を辞めても他の似たような編プロや出版社に再就職したり、フリーの編集さんになってやはり似たようなジャンルをうろうろしているので、私自身、一度組んだ編集さんとは15年くらい余裕で組み続ける。その間、編集さんの側は就職している出版社が変わったり、独立してフリーの編集さんをしている。女性がメインだ。男性はひとりだけ。企業立ち上げて社長になって成功しまくったあのひとだけだ。すでに30年ぐらい縁がある。編集さんたちから見たら、私もマグロのように業界を回遊してるように見えるんだろうなー。

出版業界の女性は本当に辞めない。転職しても仕事じたい辞めないんだ。それが本当にすごいと思う。双子産んでも辞めない。大手の編集さんだと、女性でも数十年いると出世して、気が付くとめっちゃ重役ポストになっていたりする。フリーランスの編集さんは、漫画家の我々と同じ、いつも現場にいるな。お互い、歳とって現場のたたき上げ!みたいになっている。

今思うと、過渡期の女たちの横のつながり、同胞意識、みたいなもんで、いままで私に仕事があったのかもな。そんな気もする。

戦友みたいな気になってるし。

20数年前の勝間和代は「これから、女性はずっと定年まで働かねばならなくなるけど、日本女性はマインドセットも出来ていないし、働き続けている女性のロールモデルも無いから、「女性がずっと長く働き続ける」ということがどういうものなのかがわからないのだ」とよく書いていたけど、気が付けば私たちの世代が「働き続けている女性のロールモデル」だ。ちょうど過渡期だった。上の世代だって働いてたけど、家庭か仕事かをわりと選ばされてたのよね。社会に。私たちはいたってぼんやりと、家庭も仕事もやれ、だったけど、気が付くと周囲はだいたい結婚退職して、専業主婦のあとにパートになる、みたいなのがマジョリティだったなー。日本社会での労働環境の、女性の働きにくさもあったんだろう。私たちの年代で、専門職で働き続けてる女性はマイノリティ。5歳~10歳くらい下の世代からだ。ぜんっぜん仕事辞めなくなったのは。


小倉千加子も同じ頃、働き続ける女性がマイノリティのなか、とにかく女も働け!とケツを叩きまくっていた。懐かしい。まだ20代の頃、小倉と勝間の本を読んで、固く、働き続けることを心に誓ってた気がする。

いままで働いてて良かったけど、こんな新自由主義に喰われた有様では、ほんと、なにがいいんだか悪いんだかさっぱりわからないな。こちとら「出産した女が働くな」と日本のほとんどの良識が敵、みたいな時代から働くことを決心していたので、いまさら新自由主義にまつろうことなんかできない。家父長制など言うにおよばず。下の世代の女性には、社会の言うことや風潮なんか聞かなくていいから、自分の頭で考えて、自分の幸福はどれなのかを選べ、と言う。

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