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同時代音楽のための月刊マガジン【無料】

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同時代に生きる音楽家のインタビュー、エッセイなどを月刊でお届けします。紙媒体のマガジンを目指して、記事ストック中です。 【音ポスト】 【ゆきちか日々の書簡 (不定期)】 【今日の… もっと読む
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#ちょっときいてみたい音楽のはなし

森紀明に〇〇について聞いてみた(6)

PPP Project 「ちょっときいてみたい 音楽の話」第五弾は、作曲家でサックス奏者の森紀明さん。森さんは、日本でサックスを学んだ後、アメリカ、ボストンのバークリー音楽大学でジャズを、ドイツ、ケルン音楽大学大学院で作曲、電子音楽を学び、現在は拠点を日本に移し、幅広く活動されています。創作における「欲」「オーケストラを作曲すること」「音楽の質」「A to B」、そして最終章「聞かない」です。 ――この前の森くんのジャズのコンサートを聞きながら、こう思ったんです。インプロっ

森紀明に〇〇について聞いてみた(5)

PPP Project 「ちょっときいてみたい 音楽の話」第五弾は、作曲家でサックス奏者の森紀明さん。森さんは、日本でサックスを学んだ後、アメリカ、ボストンのバークリー音楽大学でジャズを、ドイツ、ケルン音楽大学大学院で作曲、電子音楽を学び、現在は拠点を日本に移し、幅広く活動されています。創作における「欲」「オーケストラを作曲すること」「敷居」から続いて、「A to B」についてお話を伺いました。 ――少し話が変わるんだけれど、ジャズって、どう構築していくものなんでしょうか?

森紀明に〇〇について聞いてみた(4)

PPP Project 「ちょっときいてみたい 音楽の話」第五弾は、作曲家でサックス奏者の森紀明さん。森さんは、日本でサックスを学んだ後、アメリカ、ボストンのバークリー音楽大学でジャズを、ドイツ、ケルン音楽大学大学院で作曲、電子音楽を学び、現在は拠点を日本に移し、幅広く活動されています。続いて、敷居について。 音楽の敷居の話――最近、4歳の娘が毎日幼稚園で絵を描いて持ってきて、でも時々それが何だか、わからない(笑)それで「これ何?」って聞くと、「お母さん、そこじゃないよ。今

森紀明に〇〇について聞いてみた(3)

PPP Project 「ちょっときいてみたい 音楽の話」第五弾は、作曲家でサックス奏者の森紀明さん。森さんは、日本でサックスを学んだ後、アメリカ、ボストンのバークリー音楽大学でジャズを、ドイツ、ケルン音楽大学大学院で作曲、電子音楽を学び、現在は拠点を日本に移し、幅広く活動されています。創作における「欲」「作曲のレッスン」そして話は「オーケストラを作曲すること」に繋がっていきます。 オーケストラを書くことについて――(わたなべ)森くんは、オーケストラに興味ってありますか?

森紀明に〇〇について聞いてみた(2)

PPP Project 「ちょっときいてみたい 音楽の話」第五弾は、作曲家でサックス奏者の森紀明さん。森さんは、日本でサックスを学んだ後、アメリカ、ボストンのバークリー音楽大学でジャズを、ドイツ、ケルン音楽大学大学院で作曲、電子音楽を学び、現在は拠点を日本に移し、幅広く活動されています。vol.1では、創作における「欲」「無欲」について。更に話は広がりました。 (森)ところで、わたなべさんは欲についてはどうですか? ――(わたなべ)20代の頃に、切磋琢磨していた同世代の友

森紀明に〇〇について聞いてみた(1)

PPP Project 「ちょっときいてみたい 音楽の話」第五弾は、作曲家でサックス奏者の森紀明さん。森さんは、日本でサックスを学んだ後、アメリカ、ボストンのバークリー音楽大学でジャズを、ドイツ、ケルン音楽大学大学院で作曲、電子音楽を学び、現在は拠点を日本に移し、幅広く活動されています。今回はアハト・ブリュッケン音楽祭でのプロジェクトのためにドイツに二週間ほど滞在されており、忙しいリハーサルの合間にお話を伺うことができました(インタビュアー:わたなべゆきこ)。 ――(わたな

山根明季子に〇〇について聞いてみた(4)

この15年とこの先の15年――私にとって一番象徴的だったのは、2006年の第75回日本音楽コンクールで水玉コレクション No. 1を発表された時で、日本の現代音楽シーンが揺れた!感覚があったんですよ。女性作曲家が賞を取った、ということであれば、原田敬子さんが一位、斉木由美さんが二位、三位が菱沼尚子さんだった1993年もそうだったんだけど、山根さんのときは何か「新たな時代が来た!」という感じがして。 同時期に小出稚子さんが出てきて、もう物凄くポップなテーマで、カラフルな音楽を

山根明季子に〇〇について聞いてみた(3)

作曲家という職業――大きな賞を取ったら委嘱が来て、それでご飯が食べられるようになる。若い頃って漠然とこう考えていたような気がするんです。それで、まずコンクールに出さなきゃ、賞歴がないとダメなんだって。今でも少なからず、そういった風潮ってあると思うんだけど、実際その先行投資が実を結ぶんだろうかって思うんです。若手が馬車馬のように走らされて消費され、何かの形になる前に腐ってしまうっていうことはないんでしょうか。 消費的に感じることはあるよね。クラシック音楽の作曲家は日本で職業と

山根明季子に〇〇について聞いてみた(2)

色・形・素材感 ――作曲する上でよく言われる4つのパラメータ【ピッチ、音価、アタック、強弱】って数値化しやすい、可視化しやすいものだと思うんです。コントロールしやすく、構築していくのに適している要素ですよね。それに比べると、山根さんの言う三つのパラメータ【色、形、素材感】はとても抽象的な概念です。例えば「ここは緑で、感触はふわふわ」って言ったら感覚としては分かるんだけど、それをそう聴こえるようにするには、また別のテクニックが必要な気がするんです。実際楽譜を前にその感触を掴もう

山根明季子に〇〇について聞いてみた(1)

水玉からキラキラドローンへ「ちょっときいてみたい音楽の話」は、同世代の音楽家に、その音楽について、また思想について直接本人に聞いてしまおうという対談シリーズです。四人目は作曲家の山根明季子さん。20年来の友人でもあります。(インタビュア:わたなべゆきこ) ――(わたなべ)山根さんと言えば代表作である「水玉コレクション」に始まり、最近では「キラキラドローン」など、パッと脳裏にイメージが浮かぶようなビビッドな言葉選びが印象的です。 丁寧に言葉を絞り出す姿勢がまさに山根さんの音

坂田直樹に〇〇について聞いてみた(4)

——坂田直樹に〇〇について聞いてみた、早くも最終章になりました。ここでは、このインタビューの中で比較することになった、わたなべ作品「空中ブランコの閑」についても触れていきたいと思います。 実はたまたま坂田さんが「月の影を掬う」を書いていたときに、私も「空中ブランコの閑」を書き始めていたんです。しかも、作曲中は「月にかける橋」が仮題だったんですよ。 へぇ!そうだったんですね、面白い偶然! ——なのでどこかで坂田さんの作品タイトルを見かけて「あ!まずい!被ってる(笑)!」と

坂田直樹に〇〇について聞いてみた(3)

——坂田さんは、2018年にクラリネットとピアノのための「月の影を掬う」という作品を発表されました。私も偶然、2018年終わりにクラリネットとギターの曲を書いていて、テーマが似ていることから、この二つの作品を比較しながら、お話を進めたいと思います。 まずこの「月を掬う」というタイトルについてお話を聞かせてもらえますか? クラリネットには低音域のシャリュモーと呼ばれる音域と、クラリーノ、クラリオンと呼ばれる中音域があって、この二つの音域はかなり音色も異なってるんですよね。一

坂田直樹に〇〇について聞いてみた(2)

——事前に出したアンケートで「作曲家は職業として成立すると思うか?」という問いに対して「すると思う」とお答え頂いたんですが、私自身は難しさを感じています。坂田さんの考えを聞かせてもらえますか? アンケートには「職業として成り立つ」と書いたんですが・・・正直言うと狙ってできることじゃないよなって思ってます。我々の世代もみんな大変そうだけど、どうしてるの?と聞きたいですよ(笑)。周りを見た時に、藤倉大さんとか、そのご活躍を見ると出来ないことはないよなって思うんですけれど。 —

坂田直樹に〇〇について聞いてみた(1)

作曲家 坂田直樹さんにインタビューしてきました。坂田直樹さんは1981年生まれ、愛知県立芸術大学を卒業後フランス留学をされて、今現在は東京とパリを中心に活動されている作曲家です。同世代として常に刺激を頂いている作曲家の一人でもあります。坂田直樹さんウェブサイト (インタビュアー:わたなべゆきこ) ——坂田さんは、フランス留学の前は、日本では愛知県芸で勉強されてるんですよね。愛知県芸での学びについて、少しお伺いできますか? 当時は、将来「現代音楽をもっとやっていきたいのか」