おいしいって、知っちゃったから。
最近、駅付近に用事があるとつい立ち寄ってしまう場所がある。それは成城石井だ。いわゆる高級スーパー。普段はもちろん横目に通り過ぎる。でも「あるもの」が買いたくて、スイーツコーナーを目がけてしまう。
少々高級感あるスイーツがずらり。ああ、近所のスーパーには売ってないなぁ。うろうろするふりをしつつ、実は買うものはすでに決まっている。「生プレミアムチーズケーキ」だ。もう、名前がすでにおいしそう。パウンドケーキっぽい型に入っているタイプと、カップに入っているタイプの2つがあり、いつも迷う。結局、大きいのは食べきれなさそうなため、カップ型に落ち着く。
帰ってきていざ食べる。カロリーを思い出すとおいしさが減るため、表示のシールは早々にはがして見なかったことに。さあカップのふたをあける。一番上にはサクサクのクランブルがゴロゴロ、その下には濃厚なチーズクリーム&生クリームがたっぷり、一番下にはレーズンがぎっしり。ひとくちずつ食べ進めるのが至福。
一番はじめに食べたとき、「プレミアム」という名前でおいしいと錯覚させられているのかとちょっと疑ったが、そうではない。2回、3回と食べるうちに、これは本物のプレミアムだと確信した。
私はそんなにチーズケーキが好きなわけじゃない。この「生プレミアムチーズケーキ」が好きなのだ。
成城石井のスイーツコーナーには、他にもいろいろなスイーツが売っている。バスクチーズケーキなど他のチーズケーキもあるし、モンブラン、かぼちゃのタルト、チョコレートケーキ、プリンなどなど。たぶん、どれもおいしいのだと思う。
でも結局いつものやつを買ってしまう。だっておいしいんだもの。おいしいって知ってしまっているんだもの。
こんな感じで、ときどき何かにはまることがある。「マイブーム」なんてもう死語だろうけど、そんな感じに近いのかも。しかも「チーズケーキ全般にはまっているわけではない」という点から、はまっている部分は超ピンポイントであると言える。
「こだわりが強い」とも少し違うような気がして。
こだわりって、他のものもいろいろ試した結果、「やっぱり私はこれが好き」という気持ちを持ち続けることを指すように思うけど、私の場合は他を知らないのに、そればかり選んでしまう、という感じで。「こだわる」の種類が違う感じなのかな。
前はこういう自分を見て「世界を広げなくてつまらんやつだなぁ」なんて思っていたけど、これはこれでいいのかな、と思えている。
広げたいタイミングって、たぶん自然にくる。
それは生プレミアムチーズケーキを食べつくして満足したときなのかもしれないし、逆に飽きるときなのかもしれない。もしくは、もっと魅力的なスイーツが表れて、食べてみたいという気持ちが溢れ出てくるときかもしれない。生プレミアムチーズケーキに出会ったときも、他がどうこうではなくそれを食べてみたい、と思ったわけだし。
いつか広げたいタイミングが来るまで、生プレミアムチーズケーキを味わうことを楽しみたいと思います。
それにしても「生プレミアムチーズケーキ」って長い名前だなぁ。
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