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赤ちゃん革命

夫は料理をしない人だった。二人暮らしの時は私が専業主婦だったから、わざわざ夫が作る理由がなかった。双子が生まれなければ、きっと今も料理はできない人だっただろう。

ところが、赤ん坊が二人いるということは、いつまで待っても食事が出てこないということだった。何せ、初めの頃は授乳回数が二人合わせて1日20回超。ベビーは吸う力が弱く、飲んでる途中で疲れて寝てしまったりするので、一回の授乳に20分程度かかる。1人授乳が終わり、寝たところでようやく冷蔵庫から食材を出し、調理を始めたところで2人目が泣き出して授乳。そんなことを繰り返していると、料理を始めて完成までに2時間近い時間が経つ。

夫が「休みの日は俺が作ろうか?」と言い出すのも、私が「休みの日はお願いしたい」と言うのも、ごく自然な流れだった。

料理と同様、掃除や洗濯も私ひとりでは手が回らなかったので、自然に夫と手分けしてするようになった(掃除と洗濯は二人暮しの時にしっかり覚えてもらっておいた)。

そもそも、夫は子どもはいなくてもいい派だった。明確に「いらない」と言うわけではなく、単に小さな子どものいる生活なんて全くイメージが湧かなかったのだろう。

ところが、子どもができた途端、絵本を読み聞かせ、公園や散歩に連れ出し、子どもの興味関心に寄り添って一緒に熱心に遊ぶ、子煩悩なパパになった。小学校に入ってからは勉強をよく見てやり、算数の教具を自作したりしている。

夫にとって子どもの存在はそれこそ「目に入れても痛くない」くらいに魅力的なようだ。家事を手伝うのも、私が機嫌良く過ごすことが、ひいては子どものためになるからだ(少しは私のためかも)。

赤ちゃんが家にやってくると、数多くの暮らし方の変化、価値観の変化をもたらす。それは特に夫にとっては、革命と言っても言い過ぎではないほどの変革だった。けれど、夫にとって(私にとっても)その革命は、子どもがいなければ決して知り得なかった世界を教えてくれた。そのことを、私たちは我が子たちに日々感謝している。

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