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訪問ヘルパーとの付き合い方

私は訪問介護の仕事をしています。一方で我が家には、毎週ヘルパーさんに来て頂いています。(規則で家族はヘルパーとして入れないので、職場とは別の事業所にお願いしています。)

訪問ヘルパーは、私室や寝室、トイレや浴室という超プライベート空間に入ってくる存在です。「他人を家に入れるなんて」と拒否感を抱く方も多いです。正直いうと私も若い頃はヘルパーさんが苦手でした。

でもイザという時ヘルパーさんくらい頼もしい存在はありません。なにしろ家の中を内側から知ってもらってるわけですから。実際、私の母が倒れたときは、妹のヘルパーさんにたくさん助けてもらいました。

頼めることと頼めないことがある

介護保険のヘルパーには、できることと、できないことがあります。基本的には「生きていくのに最低限必要なこと」はやってもらえます。逆にいうと「やらなくても死なない」ことはやりません。

たとえばオムツ交換や食事の用意は、生きるのに必要なことなので、できます。でも客間の掃除や庭の草取りは、やらなくても死なないのでヘルパーはできません。家族が同居の場合は、みんなで使うリビングや、風呂・トイレもできません。

【できること】
身体に関わること(おむつ交換・食事介助・入浴介助など)全般
最低限の掃除、料理、洗濯(本人のもののみ)食料・日用品の買い物
薬を取りにいく ゴミ出し などなど

【できないこと】
庭の草抜き ペットの世話 大掃除(お風呂のカビとり、換気扇掃除など)
お金の振込み ポストに手紙を出す お客さんへのお茶出し 部屋の模様替え 本やタバコを買いにいく おせち料理を作る 仏壇の掃除 花瓶の花を替える 一緒にご飯を食べる 家具や電気製品の組み立て・修理 などなど

電球の交換は以前は絶対にできませんでした。が、今すぐやらないと危険な場合に限って、やってもらえるようになりました。ただしこれはヘルパーに直接頼むと「やっていいものかどうか?」と悩んで断られてしまうので、できるだけ事前にケアマネか事業所を通すようにしましょう。

「ついでにコレもやって」は無理

ヘルパーの仕事内容は、ケアマネ・事業所・家族さんが話し合い、具体的に細かく決められます。これが「ケアプラン」です。ヘルパーはケアプラン内の仕事しかできません。たとえば風呂掃除でも「床のみ」と書かれていたら、床しか掃除しません。湯船も掃除してほしくなったら事業所やケアマネさんに申し出てプランを変更する必要があります。緊急の場合をのぞいて「ついでにコレもやって」はでやめておきましょう。

お茶は出さないで

仕事の終わったヘルパーにお茶やお菓子を出してくださるお家もありますが、必要ありません。ヘルパーが訪問先でなにかを頂いたり、借りて帰ったりすることは法律で禁じられています。お役人にワイロを渡してはいけないのと同じ理屈です。とくにお土産やプレゼントはヘルパーさんを困らせてしまうのでやめておきましょう。

理由の一つは、ヘルパーは一人ではなくいろんな人がくるからです。入るヘルパーすべてが均一な仕事をし、均一な対応をしなければいけません。トラブルを避けるために「頂いてはいけない」と決められているのです。

もう一つの理由は、利用者さんがしんどくなっちゃうからです。

例えば、おもてなし好きの利用者さんがヘルパーに毎回お茶を出していました。でも体調が悪い日にはお茶の用意をするのもキツくなってきます。それでも「お茶を出さなくちゃ、悪いから」という思いから止められず、利用者さんにとっては大きな負担になってしまうのです。

本人さえいればいい

利用者さんが留守のとき、ヘルパーは家に入ることができません。「もうすぐ帰るから部屋で待ってて」とか「ちょっと留守番してて」は厳禁です。

逆を言えば、本人さえいれば大丈夫。家族は留守でもいいのです。ヘルパーさんが来ている間に用事を済ませてしまいましょう。

鍵はどうする?

利用者さんが自分で鍵を開けられないこともあります。鍵を預かってくれる事業所もあるようですが、暗証番号などで開けられるキーボックスを使うことが多いです。

上手な付き合い方を考える

ヘルパーにもいろんな人がいます。おしゃべり好きな人が多いですが、複数の仕事をかかえて時間に追われているヘルパーさんも多いです。長話はやめましょう。

現在、我が家の場合は挨拶だけして後は「ヘルパーさんにおまかせ」。私は別の部屋で家事をしています。何か問題があったら呼んでもらえるし、帰る前にはちょっとだけお話しできます。私が仕事で家をあける場合はキーボックスの鍵で開けて入ってもらうようにしています。わりとビジネスライクな付き合いです。

私の母は記憶障害がありましたが、最初に覚えたのはヘルパーさんの名前でした。妹にとっては、長年お付き合いのあるヘルパーさんたちは「第二の母」とも呼べる存在。私自身が突然のギックリ腰で動けなくなったとき、ヘルパーさんに助けてもらったこともあります。本当にありがたかったです。うまく距離をとりながら上手にお付き合いしていけるといいですね。

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