台湾的音楽 誠品生活イベントMC2本で改めて気付く音楽のこと
7月9日、16日の2週にわたり、誠品生活日本橋で行われているイベント「日台 Summer Festival 2021」で司会をしていました。
台湾と日本を繋ぎ、9日は、イリー・カオルーさんがオンラインライブをしてくれました。また、9日と16日の両日とも、台湾在住の文筆家 栖来ひかりさんとトークが出来て、とても嬉しかったです。
この2週間、原住民音楽や台湾の歴史に触れることが多かったのですが、印象的だったことなどをまとめて紹介したいなと。
台湾原住民。
台湾にもともと暮らしていた人たちで、海の近くで暮らす方もいれば、山で暮らす方もいます。音楽に関しては、海の民族は波を連想させるようなリズムがあったり、山の民族はゆったりとした山や大地を連想させるようなリズムがあったりと、とても興味深いです。
9日のイベントでは、話の流れから、台湾原住民アミ族のアーティスト、ディファン(郭英男)についての関谷さんからもお話もありました。
ドイツを拠点に活動する音楽プロジェクト、エニグマが発表した楽曲「Return To Innocence」に、彼の歌声がサンプリングされているんですよね。
「Return To Innocence」
1993年のアルバム『The Cross Of Change』に収録されていますが、イントロに流れる、雄大な大地や海を感じる歌声が、ディファンのものだということです。この曲に関しては、クレジット記載が無かったものですが、後に和解をしたそうです。
96年のアトランタオリンピックのテーマ曲にもなっていますね。
お恥ずかしい話ですが、私は全く知らなかったです。
台湾の音楽が好きになり、インディー音楽のシティポップ系から入っていましたが、より音楽を知るためには、文化や歴史を知る事が大切だと感じています。なかなか、日本で得られる情報が少ないですが、勉強していきたいものです。
ゲストに来て下さったイリーさんも、アミ族の血を引いています。
オンラインライブで歌ってくれた曲「女人島」は、アミ族の伝承を元にして作られた曲です。
海に漕ぎだすという感じがあって、とても好きな曲です。
イリーさんの住んでいる場所は、台東という場所ですが、海がとても美しい。美しいと言っても、海水浴が出来るような場所ではなく、波が荒くうっかり海に入ると、黒潮に乗せられて沖縄まで行ってしまう、というような場所です。
「女人島」アコースティックバージョン
力強い波の音、そして船で漕ぎだす様子が伝わるようで好きです。
この曲では、女性たちが船を漕ぎだして、台東から大海原に漕ぎ出し、違う世界に向かうというものですが、実際に、この場所から太古の昔に人類は船を漕ぎ出し、世界中に広がっていったという学説があります。
オーストロネシア語族という台湾から東南アジア、太平洋の島々、そしてマダガスカルと広範囲に広がる語族は、台湾の海から船を漕ぎ出して行ったのではないか?というものです。
このことに関しては、昨年に公開された映画「大海原のソングライン」(原題:Small Island Big Song)という作品で見ることが出来ます。
この映画は、先日まで開催されていた、ピーター・バラカンさんが監修、作品選定をされた「Peter Barakan’s Music Film Festival」でも上映されていました。
こうやって見てみると、確かに台湾は日本との縁が非常に深い、というよりかつて日本だった時代もあるわけで、縁という言葉では片づけられない存在だと思っていますが、それだけではなく、周りを海に囲まれているからこその独自の歴史や文化があることも分かり、とても興味深いなと思っています。
この2週間で、改めて台湾のこと詳しく知る機会が出来たなと思い、司会をしていた私がイチバン得をしたのではないか?というようなイベントでした。
さて、誠品生活日本橋のイベント「日台 Summer Festival 2021」はまだ続きます。
7月25日には、関谷元子さんによる、台湾原住民音楽を牽引するアーティストSumingを迎えて〜東台湾の大自然と音楽の楽しみ方〜が開催されます。
zoomで誰でも、無料で参加できますよ。
私もオンラインで観覧します。
イリー・カオルーさんの作品も誠品生活日本橋のオンラインストアで買うことが出来ます。