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台湾的音楽 žž瑋琪 ラテンとR&Bと原住民のアイデンティティが融合した女性シンガー

金曲奨の授賞式が、今週の土曜日(8月21日)。
フジロックもオンラインで観ていて、個人的にはとても忙しいです。
さて。台湾のアーティストを紹介するシリーズ。
žž瑋琪(ウェイチー)

ジャズやR&Bをベースにした音楽に、彼女のまろやかで低めの歌声が良く似合います。
オシャレなんだけれど、すごくリラックスして聴ける。
ちょっとラテンのテイストのある楽曲は、パーカッションとフルートの音色が涼やかで、モヒートでも飲みながら聴いたら良いだろうな思います。

「媽媽聊天去」
ラテンテイストがたまらないです。
日本人アーティストのCEROとコラボしたら素敵だろうなと思っています。

žž瑋琪は、台湾の原住民パイワン族の血を引く、台北育ちのシンガーソングライター。子どもの頃から洋楽にも親しみ、現在はパイワン族の言葉でも歌を歌います。
名前の前にある"žž" はニックネームです。Youtubeにあるプロフィールを読んでみると、まろやかで低めの歌声が、‟けだるい感じになる”からつけられたそうです。zzは、きっと寝息を立てて寝ている時の記号、"zz" ってことなんでしょうね。

アルバム『《žž》』が、第32回金曲奨の最佳原住民語專輯獎 (原住民語アルバム賞)、最佳原住民語歌手獎 (原住民語シンガー賞)にノミネートされています。

「台北風」
ピアノの音色も美しい楽曲ですが、MVに映る雨の台北と雰囲気が良くマッチしていて良いなと思います。

žž瑋琪(ウェイチー)は、2015年に、同じパイワン族の日を引くアーティスト阿爆(アーバオ)のプロジェクトであるレーベル「那屋瓦」(ナウワ)に参加して活動しています。
「那屋瓦」(ナウワ)は、パイワン族の言葉で"良い・美しい"という意味を持つそうです。彼女は、自身ルーツとそれに関する風習や生活にも興味を持っているそうなので、「那屋瓦」で音楽活動をするのも頷けます。

ちなみに、「那屋瓦」(ナウワ)の中心人物、阿爆(アーバオ)は、昨年の金曲奨で、年度專輯獎(年間アルバム賞)、年度歌曲獎(年間楽曲賞)、最佳原住民語專輯獎(原住民語アルバム賞)の三冠を達成。原住民のアイデンティティを持ちながら、R&Bなどの音楽要素を取り込んだ楽曲を発表している、素晴らしいアーティストです。

「Zidusia 藍色4503」
ちょっと色気のある楽曲に、彼女の声が良くマッチしています。気だるくなりすぎず、でもバーでジャズを聴いているような雰囲気にもなります。

彼女が注目されたのは、2018年にTaiwan PASIWALI Festival(台湾原住民音楽節)でのライブパフォーマンスだそうです。このイベントは、原住民の音楽活動を後押しすること、認知度の向上や産業として成り立つようにするためのさまざまな企画がされているようです。

「忘記呼吸 Forget Myself」
R&B色が濃いバラードです。
少しミストかかったというか、湿気がある歌声が魅力的だなと思います。

アルバムは、原住民の伝統的なリズムというよりは、現代の音楽ジャンルに根差した作品で構成されています。楽曲的には、親しみのあるものですが、そこに乗る言葉はパイワン族の言葉。阿爆(アーバオ)もそうですが、この融合を自然にやってのけるのが、素晴らしいなと思います。きっと言葉が音楽に乗るときの乗り方やテンポ感も、すごく調整しながら作っているのかなと思いながら聴いています。

また、ラテン系のリズムとの相性の良さも魅力だと感じています。
彼女の声とラテンのリズムが良くマッチするのかもしれませんが、このアルバムは、MUSA明馬丁という台湾在住のアルゼンチン人が、プロデューサーとして参加しています。(おきらく台湾研究所さんが以前にTwitterで教えて下さいました。ありがとうございました!)
ちなみにMUSA明馬丁は、クラウド・ルー(盧廣仲)や阿爆(アーバオ)など多くのアーティストとも共演をしています。

今回のアルバムに関しては、メロディが先に出来、そこにžž瑋琪が歌詞を乗せて行ってつくったそうです。歌詞には、自身の家族のことを題材にしていることが多いようです。

さて、いよいよ明日(8月21日)は、第32回金曲奨の授賞式です。
だれが受賞するのか?だったりパフォーマンスも楽しみです。賞の行方も気にしながらも、多くのアーティストを授賞式を通して知っていきたいなと思います。

žž瑋琪のアルバム『《žž》』は、Spotifyでも聴けます。
ぜひチェックしてみて下さい。

阿爆 ABAOについては、noteにて過去に紹介しておりますので、よろしければ読んでみてください。


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