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台湾的音楽 三牲獻藝 伝統とエレクトロのスクランブル交差点

久々の台湾音楽の記事です。
三牲獻藝 Sam-Seng-Hian-ge
初めて耳にした時の感想は、「やばっ!」の一言でした。いわゆるミクスチャーバンドですが、道教の儀式で使われる音とエレクトロの音を合わせていて、めちゃくちゃカッコいい。

三牲獻藝【八仙過海】Legacy「虛擬實境-MUSIC FANTASY SESSION」XR演唱會

ビデオを見て頂くと分かるように、演奏している人たちはベテラン。たくさんの音楽に触れてきたからこそ、作れる音楽、出せるものが存分にあるなぁと感じています。演奏者の一番左手(下手側)の人が演奏しているのは、台湾の伝統的な楽器「月琴」だと思います。(違っていたら、ごめんなさい。)

ちょっと話はズレてしまいますが、私、大学は、文学部日本文学科という、時代と逆行した学部学科に進んでしまいました。その時に、お経というか念仏をオールナイトで唱えていくと高揚感が凄いみたいなことを、本か何かでチラッと見たことがあります。「ある意味、お経ってトランスなんだな」と思いまして、そこから何となく、現代の音楽と伝統的なものが融合されているものに、とても興味を湧いたように思います。沖縄音楽とテクノ音楽を掛け合わせたRYUKYU DISKOも、カッコ良いですし。

話を戻しまして、初めて三牲獻藝 Sam-Seng-Hian-geを知ったのは、2年くらい前。Spotifyを掘っていた時だと思います。
台湾のいわゆるインディーズに近い立ち位置の音楽を、割とたくさん聴いていますが、ミクスチャーかつ、伝統的な音を入れているというのを初めて聴きました。

こちらの動画は、台北の迪化街にある永樂廣場で開催された、「本島音楽祭」というイベントで演奏シーン。この辺りは、大稲埕(ダーダーオチェン)と呼ばれ、貿易で大変栄えた場所ですが、文化的にもとても栄えた場所です。この場所で、台湾の伝統と現代音楽が融合したバンドがライブをすることに、とても意義があるように感じます。

さて、三牲獻藝 Sam-Seng-Hian-geは、台湾の音楽プロデューサーの柯智豪 氏Blaire Koが率いるバンドです。
柯智豪 氏は、ビビアン・スーさんも出演していた映画『弱くて強い女たち』(原題:『孤味』)や、ホラー映画『返校』、そしてAmazon Primeでも配信されているドラマ『茶金 GOLD LEAF』など、錚々たる作品の劇伴も手掛け、また台湾の数多くのアーティストの作品にも携わっています。

映画『弱くて強い女たち』(原題:『孤味』)より「情書」

また彼らは、コラボ楽曲もリリースしています。拍謝少年 Sorry Youthとの曲は、オルタナロックのリフとドラムの音に、道教の鐘や笛の音が入るのが、めちゃくちゃカッコ良いなと思っています。

「出巡 Pilgrimage ft. 三牲獻藝 Sam-seng-hiàn-gē

音だけ聴いていたら「本当にカッコいい、最高じゃん!」と思っていましたが、MVを見ると、この曲の意味やメッセージ性に、息を呑んでしまいました。
拍謝少年 Sorry Youthは、台湾語で歌うバンドです。社会的なこともテーマにして歌います。(お茶目な曲もあり、扱うテーマが幅広く、そういう意味では人間らしさがあり、素敵だなと思っています。)

台湾は、自らの力で民主化を手に入れました。そのことを台湾で暮らす人は知っていて、自由や民主主義は、決してコンビニで買えるような手軽なものではない、ということを、このMVを見て改めて思ってしまいました。

さて、三牲獻藝 Sam-seng-hiàn-gē は、台湾の音楽アワード、金曲奨にも作品がノミネートされていますが、台湾でメジャーなアーティストかと言えば、あまりそうでもないように感じています。

私、今年(2023年)4月に台湾に旅行に行きまして、台灣師範大学近くにある、白兎唱片(White Wabbit Records)に行き、三牲獻藝 Sam-seng-hiàn-gēのCDを買いました。

白兎唱片。可愛いですよね、入り口の前に立つだけでワクワクします。

嬉々としてレジに持っていたら、20代前半と思われる、手の甲に綺麗なタトゥーを入れている、素敵な雰囲気の店員さんに、「このアーティストの楽曲、かなり変わっているけど、本当に買う?大丈夫??」と心配されました。私が「このCD買うために来たんだよ。」と言ったら、彼女は同じエリアにある「先行一車」というレコード屋さんに、この手の作品がたくさんあるから行くと良いよと教えてくれました。

真ん中が、三牲獻藝 Sam-seng-hiàn-gēの作品

喜び勇んでいったものの、実はその日はお店営業しておらず、しょんぼり帰りましたので、今度は必ず行かねば・・・。

「先行一車」シャッターが閉まっていました。そのあと急激にお腹が減りまして牛肉麺を食べました笑

三牲獻藝 Sam-seng-hiàn-gē は、MVなどの煌びやかで派手な装飾もまた、台湾の魅力の一面を体現しているように感じ、私はとても好きです。

最近、若手のバンド 百合花 Lilium もやっぱり、伝統的な音を入れながら楽曲を制作していて、とても素敵だと思っています。こういう伝統的なものと、現代を繋げながら新しい価値観を作るのは面白いですね。

百合花Lilium「拜六 Saturday」

三牲獻藝 Sam-Seng-Hian-geの作品は、Spotifyでも聴くことができます。ぜひ聴いてみてください。


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