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台湾的音楽 以莉.高露 晴耕雨読なスローライフと大地を包む歌声

台湾のアーティストを紹介するシリーズ。
イリー・カオルー(以莉.高露)は、台湾原住民、アミ族をルーツに持つシンガーソングライターです。

大地を包むような歌声、と評されることもあります。
力強いというよりは、土に根差しているような静かな強さと、温かみを感じられて、とても素敵だなと思っています。

彼女については、以前にもご紹介をしていますが、2021年6月30日に初めて日本盤のアルバムをリリースしたので、そのことについて、紹介していこうと思います。

イリー・カオルーは、2011年に金曲奨(Golden Melody Award)で、最優秀新人賞と原住民歌手最優秀賞と、原住民語アルバム最優秀賞の3つを受賞している台湾のアーティストです。
現在は、台東という海が美しい場所で暮らし、子どもを育て、農業なども行いながら、創作活動をしています。台東は、台北からだと3時間くらいかかる場所ですが、美しい海を見ることができるそうです。いつか自分の目で見てみたいものです。

▼ 台東縣政府の観光HPでは、美しい景色がたくさん見られます。

台東2

今回のアルバムタイトルは、『Longing』(邦題:あなたをさがして)
アルバムは、8曲から構成されていますが、ボサノヴァのようなゆったりとしたものや、ジャズの雰囲気があるものなど、個性豊かな楽曲が並びます。

さまざまなジャンルを彷彿とさせる楽曲が並ぶものの、全体的に散らかった感じにならないのは、アルバムのコンセプトや、イリー・カオルーという人物の音楽に対するアプローチが、とても豊かだからだと思います。彼女は、自分の中で生まれたメロディを表現していきますが、きっとそこに嘘があったり、自己顕示欲が勝ったりすると、聴いている方も疲れる、まとまりのない作品になってしまうのでは?と思うのです。

「あなたをさがして Longing」
アルバム表題曲。
ちょっとラテンな雰囲気もある楽曲ですが、彼女の歌声とのマッチが心地良い。大人な雰囲気が漂うのも素敵だなと思っています。

今回のアルバムのキーワードになるのが、"記憶"という言葉。
それぞれの楽曲には、ストーリーがあり、それらが記憶を遡っていくというものです。
自分の経験ではないものに関しては、その物語に思いを馳せることも出来るし、ストーリーと自分自身に共通点を見い出せるものは、きっと自分の記憶も呼び起こしてくれるものではないかなと思います。

「女人島」
アルバム収録曲ですが、こちらはアコースティックライブでの様子。
歌い出しの掛け声のようなものが、日本の民謡で、海に船を漕ぎだす感じにもなんとなく共通しているようで、興味深いです。
この曲は、彼女のルーツであるアミ族の神話を元にしています。
アルバムでは、この雰囲気もシッカリと残しながらも、チェロなどの弦楽器とピアノが入っている、ステキなアレンジになっています。

今回の作品は、アルバムコンセプトからも、物語性がとても重視されています。そのため、CDも通常盤の他にも、各曲にまつわる短編小説が収録されている特別盤も発売されています。
台湾はCDより、どちからと言えば mp3 でのリリースや音楽鑑賞が中心になっていますが、この作品は手で取って、耳で聴くという楽しみ方が似合うと思っています。

iOS の画像

短編小説付のジャケットは、少し横長のブックレットのような形です。

イリー・カオルーの作品は、パートナーでもある陳冠宇が、プロデューサーとなり共同で制作しています。
今作は、曲づくりやレコーディング、それにMVなどでも日本人が参加しています。bonobos /Little Tempo のギタリストの小池龍平さんも、アレンジと演奏で参加されているなど、日台のスタッフが一緒に作っていることも、とても興味深いです。
また、台湾側の制作陣には、ミクスチャーバンドYELLOWの余佳倫 がプロデューサーとして、「女人島」と「Sally」に参加しています。

「17歳のあなた」
アルバムの最初を飾る作品ですが、日本統治時代に日本企業で働いていた大叔父さんの物語です。彼は、戦争中に乗っていた船が爆撃されてしまい、いまも海の底で眠っているそうです。

イリー・カオルーの作品は、一部オンラインなどでも購入できます。

▼日本でのオンラインストア


▼台湾の公式オンライン(日本語対応)

また、誠品生活やCDショップでも購入することができますので、ぜひ手に取ってみてください。

まずは、Spotifyなどで聴いてみたいという方は、こちらをどうぞ。
ぜひ、パッケージの美しさも感じて頂けると嬉しいです。


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