ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 ステュムパーロスの鳥と消化酵素ペプシン

ヘラクレスの第6番目の冒険

ステュムパーロスの鳥達は、翼、爪、くちばしが青銅でできていた。
ヘーラクレースはこの恐るべき怪鳥どもを驚かせて飛び立たせるため、ヘーパイストスからとてつもなく大きな音を立てるガラガラ(彼の工房のキュクロープス達の目覚まし用)を借り受け、音に驚いて飛び立ったところをヒュドラーの毒矢で射落とした。

この話は、胃粘膜から分泌される消化酵素ペプシンの話。
ステュムパーロスは、胃を指している。
鳥の青銅の翼、爪、嘴とは、角質ケラチンを含む胃の上皮細胞。鳥はペプシノーゲン。

胃酸は強力な酸。
胃酸はHCLだが、この強力な酸はH+によるもの。
ヒュドラーの毒は水素イオンH +

水素イオンはプロトンと呼ばれ、生物体内で光エネルギーなどを利用して水素イオン(プロトン)を能動輸送し、生体膜の内外に膜電位やプロトン勾配を作り出す機能、またはそれを行うタンパク質複合体をプロトンポンプという。
胃酸の分泌にはATPをエネルギー源とするタイプのプロトンポンプが働いている。
プロトンポンプが、細胞内のエネルギーを利用してプロトンを胃の内部へと輸送することで、胃の内部をpH1という強い酸性環境にしていることが解明されている。

タンパク質分解酵素であるペプシンが生成細胞からそのまま分泌されては、自己分解してしまうため、前駆体であるペプシノーゲンとして分泌される。
ペプシノーゲンは胃酸の作用により、ペプシンに変化する。

怪鳥ペプシノーゲンは、ヒュドラの毒(水素イオンー胃酸)の働きにより、ペプシンとなり、タンパク質分解の機能を発現するにいたる。
そういう話です。

ちなみにヘーパイストスの作ったガラガラは、キュクロープスの目覚ましーお腹がグルグル鳴る音。
(キュクロープスは単眼の巨人、サイクロンに通じており、人体の巨大なシグナルネットワーク、シグナル回路を指している)
お腹が鳴るのは、食後6〜10時間ほど経過すると、脳に空腹の信号が送られ、モチリンという消化ホルモンが分泌される。
このモチリンによって強い胃の収縮運動(IMMC)が起こり、収縮波が小腸の終わりまで1時間かけて伝わっていく。
胃の中の空気と液体が撹拌され、勢いよく下に流れていくことによって、「グゥー」「キュルキュル」といった音がでる。




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