ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 エリュマントスの猪退治 窒素の循環

ヘラクレスはエリュマントス山に住む人食いの怪物、大猪を生け捕りにした。この猪は月の女神アルテミスが放った怪物とされる。
生け捕り自体はさしたる問題なく片づいたが、このとき、ヘーラクレースはケンタウロスのポロスに助力を求めていた。
ポロスが預かっていたケンタウロス一族の共有していた酒をヘーラクレースが飲んだ事により、ケンタウロス一族と争いになった。
その戦いで、誤って武術の師であるケイローンにヒュドラーの毒矢を放ってしまった。ケイローンは不死の力を与えられていたが、毒の苦しみに耐えきれず、不死の力をプロメテウスに譲渡して死を選んだ。
この時にケイローンの不死の力を受け入れてもらうために、ヘーラクレースがカウカーソス山に縛り付けられていたプロメーテウスを解放したとされる。

さて、ケイローンはアミノ酸、プロメテウスはプロテイン(タンパク質窒素)、ヒュドラーの毒は水素イオン。
カウカーソス山は、世界を支える山ーつまり体を維持するための重要な場所ー肝臓の解毒作用場所

エリュマントスの猪は、月の女神アルテミスが放ったとされる。
アルテミスは自律神経の副交感神経を指し、消化を促進する作用を司る。
またエリュマントスはアルカディアの高所にあたるが、アルカディアは小熊座になったアルカスに由来する。
小熊座アルカスは、体内乳酸発酵回路。
アルカディアは楽園とも言われる。
つまり、腸内細菌フローラに相当する。
つまり猪は腸内細菌。
腸内菌ウレアーゼ。
尿素をアンモニアとCO3に分解する。

この話が、ケイローン一族やプロメテウス、ヘラクレスと絡む理由は、タンパク質を合成する窒素Nの体内の循環を示すから。

ヘラクレスはDNAータンパク質の合成情報をもつ。
タンパク質には窒素Nが必要だが、この代謝産物は有毒なアンモニアNH3。
アンモニアの解毒、再利用が人体のとった戦略。

ギリシャ神話で馬は運搬を象徴。
半人半馬は、体内合成できるアミノ酸を指す。
つまりケンタウロス族は各種体内合成アミノ酸を指す。

太陽神アポロンから医学や音楽を、月の女神アルテミスから狩猟の手解きを受けたとされるケイローン。
さらに父はゼウスの父クロノス、つまりゼウスとは異母兄弟にあたる。
以上からわかるのは、ケイローンは自律神経系(アポロン、アルテミス)と関わるアミノ酸であり、脳(ゼウスらオリュンポス12神)の発育とも深く関わる物質。

グルタミン、グルタミン酸

窒素代謝において重要であり、窒素固定で生成したアンモニアはグルタミン酸をグルタミンに変換することによって有機化合物として同化される。
グルタミンは多くの化合物の生合成において窒素源として用いられる。

ケンタウロス一族のポロスもケイローン同様、他の野蛮なケンタウロスとは違う出自をもつ。
デュオニソスから酒を預かる理由は、酒の代謝に関わるアミノ酸だから。
体内の遊離アミノ酸であるオルニチン。
アンモニアの解毒作用をもつ他に、二日酔いにも効果があるとされる。
このオルニチンの主原料が、非必須アミノ酸のアルギニンである。
つまり、ポロスがアルギニンにあたる。

DNAヘラクレスは、タンパク質合成情報をもつ。
タンパク質はアミノ酸で構成され、また体内では代謝や消化酵素の原料となる。

タンパク質の代謝産物のアンモニアは有毒な物質であり、各組織で生成したアンモニアの窒素はグルタミンまたはアラニンとして血流で肝臓に運ばれる。

肝臓において,これらのアミノ酸はアミノ基転移酵素でグルタミン酸に変換された後,酸化的脱アミノでアンモニアが遊離される。
アンモニアは尿素回路(オルニチン回路)で尿素に変えられる。
尿素は70%が腎臓から排泄されるが、残り30%は腸肝循環により消化管へ移動。
腸でウレアーゼが尿素をアンモニアに分解。そしてまたアンモニアとして肝臓へ行く。

アンモニアとして肝臓に囚われていたプロメテウス。
それを解放したのはケイローンの不死の力。グルタミンにより無毒化される。窒素固定をグルタミンが引き受けた。
また、ケンタウロス一族の酒は、オルニチン。
これがアンモニアの解毒オルニチン回路で使用される。

ヒュドラーの毒ー水素イオンがケイローン(グルタミン)に作用するのは、NH3アンモニアが水溶性となるためにH+とくっついて、NH4+となる必要があるから。

こうして、体内窒素循環が完成しました。

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