見出し画像

蜂から読み解く古代

蜂は昔から人々にとって重要な生き物であったが、蜂は蜂でも特別に注目された蜂がいたようだ。

蜂 ホウ、はち
形声文字、逢声。逢とは神怪変異にあう意味。

これが一般に蜂という漢字の意味である。蜂には魑魅魍魎の虫と言う意味が含まれるようだ。

蜂の中でジガバチだけ漢字の固有名詞が与えられる。
ジガバチー蜾、蠃と二つも漢字を持つのである。

蜾 カ、クワ、ラ、じがばち
蠃 ラ、じがばち、やどかり

この漢字に何故ジガバチが特別なのかが隠されているが、まずはジガバチがどんな蜂かを説明する。
ジガバチは、狩バチであり、集団性はない。単独行動をとる。
神経毒をもち、獲物を動けなくさせ、卵を生みつけ、幼虫のエサにする。
子育てはせず、卵を生みつけたら、巣穴に蓋をして去る。
この行動は遥か古代から認識されており、
「螟蛉(桑虫)に子あり、蜾蠃、これを負ふ」と言う。
この場合は、桑虫の子をとって変化させ己れの子とすると考えられており、巣穴に蓋をする際、似我似我(我に似よ我に似よ)と唱える事から、ジガバチと名付けられたそうだ(かなり怖い)

古代の人は卵を生みつける行為は知らず、桑虫(蚕)を蜂にしたと考えた。

蠃はヤドカリとも読む。ヤドカリが殻からでた裸の姿が蠃の虫を果に変えた漢字。果は裸と言う意味がある。ヤドカリは巻き貝を背負って移動する。
恐らく古代の人は、船で旅する海人をヤドカリになぞらえた。船から降りたヤドカリが、蜾。
殻を脱いだヤドカリはジガバチになる。

船を降りた海人は、機織り娘に子を産ませ、自分の子とした。もしくは機織り娘を妻にした。

果には新しい生命を創造する力があるとされ、果蠃(から)、瓜(か、くわ)、壺(こ)、鼓などみな声義に通じるものがあり、大きな腹の形のものを言うとされる。

桑林は歌垣(フリーセックス)の場でもあり、生命の誕生と関係は深い。歌垣の風習は山岳地帯に見られるもの。海の民と山の民は交易を通じて繋がっていた。共存関係であった。

次に蜂の習性について説明する。
蜜蜂は、社会性昆虫であり女王蜂を核にした巣を作る。働き蜂はメスで雄はほとんど何もしない。
巣は蜜蝋で作られハニカム構造をとる。

蜂の象徴は針。だがメスにしかない。

8の字ダンスによって蜜場を仲間に伝える。
太陽との角度で方角を、お尻振りの回数で距離を伝える。

ウエストが細く下半身が大きい。

この蜂の形状は瓢箪に例えられた。
瓢箪は中身を取り出して乾燥させたら水筒になる。
これを胡盧とも言う。盧は飯器、黒などの意味がある。

「蜾蠃は蒲盧なり、細要(腰)の土蜂なり」と言うがジガバチは蒲盧(ほろ)とも表現される。
蒲盧はガマと葦を言い成長が早い事を指すそうだが、これだと意味がわからない。
蒲は編んでムシロになる。蒸す道具。
盧は飯器。
蒲盧は元々、酒造りを意味したのではなかろうか。

ジガバチは、酒を作る人々、それを瓢箪に入れて運ぶ。
蜜蜂は蜜を運ぶ。

このように、形と行動との繋がりを、古代の人々はよく観察して表現していたのだと思う。

瓢箪については、朝鮮建国神話への伏線になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?