ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 ゲーリュオンの牛と光受容体ロドプシンー人は見た目が9割の理由

ゲーリュオーンは、メデューサがペルセウスに殺されたときに血潮とともに飛び出したクリューサオール(メデューサとポセイドンの子、天馬ペガサスの兄弟)の息子。
三頭三体の怪物。
怪女エキドナとは兄弟。

大洋オーケアノスの西の果てに浮かぶ島エリュテイアに住んでおり、常人は行き着くことができなかった。そのゲーリュオンの飼う紅い牛を求めに行く。

アフリカに行き着いたヘーラクレースが太陽の熱気に怒り、太陽神ヘーリオスに矢を射掛けたため、ヘーリオスは、その剛気を嘉して黄金の盃を与えた。
別の説では、ヘーラクレースは矢で太陽を射落としてみせ、ヘーリオスに無理矢理黄金の盃を貸させた。ヘーラクレースは盃に乗ってオーケアノスを渡ることができた。

エリュテイアでは双頭の犬オルトロスが牛を守っていたが、ヘーラクレースはオルトロスや牛の番人エウリュティオーンを棍棒で打ち殺して、紅い牛とともに牛の群れを奪った。そして牛を奪い返さんと追ってきたゲーリュオーンを射殺した。

ヘーラクレースは冒険の途次、ジブラルタル海峡を通過した際に海峡の両岸にヘラクレスの柱を残した。また、登るのが面倒な高い山脈を叩き割って大陸であった場所に海峡を作り、割れた山脈の両辺をヘラクレスの柱としたとも言われる。

登場人物の相関関係だが、番犬オルトロスは、ゲーリュオンの兄弟エキドナの息子。
さらにエキドナは息子オルトロスとの間にスフィンクス、ネメアーの獅子(ヘラクレスが退治した獅子)を生む。

ネメアーの獅子退治で明らかにしたが、
エキドナはカルシウムイオンチャネル、
オルトロスはチャネルタンパク質(物質を通しにくい生体膜の中にあって、特定のイオンだけを運ぶタンパク質の一種)
二人の子供はリン脂質二重膜。
つまり細胞膜の物質通過構造を表している。

ゲーリュオンは、Gタンパク質

ヘラクレスの冒険は、このGタンパク質結合受容体を獲得すること。
細胞膜を7回貫通する特徴的な構造から7回膜貫通型受容体と呼ばれることもある。

細胞外の神経伝達物質やホルモンを受容してそのシグナルを細胞内に伝える。
その際Gタンパク質(ゲーリュオン)と呼ばれる三量体タンパク(ゲーリュオンが三頭三体につながる)を介してシグナル伝達が行われる。

また、オルトロスは番犬ーつまり匂いに敏感な事を象徴。
Gタンパク質共役受容体は嗅覚と関係している。

嗅細胞の細胞膜上には嗅覚受容体であるGタンパク質共役受容体 (GPCR) が存在し、これに分子が結合して匂いが感知される。
受容体を活性化する分子が結合すると、嗅細胞のイオンチャネルが開き、脱分極して電気信号が発生する。

この電気信号は嗅神経を伝わり、まず一次中枢である嗅球へと伝わる。
さらにここから前梨状皮質扁桃体視床下部大脳皮質嗅覚野(眼窩前頭皮質)などに伝わり、色々な情報処理をされて臭いとして認識される。

オーケアノスの果てのエリュテイアは7回膜貫通を示している。なかなか辿り着けない。
ヘーリオスから借りる黄金の盃だが、光受容体は光(ヘーリオス)で活性化される。

紅い牛は、ロドプシン。
牛に変えられたイーオの回で書いたが、ロドプシンは視紅とも呼ばれる光受容タンパク質。
7回膜貫通型受容体でもある。

つまり、このDNAヘラクレスの冒険は、嗅覚受容体の7回膜貫通システムが視覚光受容体ロドプシンに活用される話になる。

嗅覚と視覚という別のジャンルに、同じ構造を採用した。ということは、嗅覚と視覚とに、密接に相互作用が生じるということ。

人類は、フェロモンを感知する鋤鼻器は退化して持っていない。
フェロモンはある種の匂い。
雄と雌が引き寄せ合うのに必要。

嗅覚から分離されたフェロモン鋤鼻器を補う為に、視覚刺激が必要になったのではないか。

視紅と呼ばれるロドプシン。
赤は発情期を示す色でもある。

人類は鋤鼻器を失った代償として色覚を得た。
それによって、見た目に異常にこだわるようになったともいえないだろうか。

人類の化粧の歴史は、理性の発達により、雄が本能で行動しなくなって生じた、という。
雌が選ばれる為に、化粧しだしたと。

つまり大脳の何らかの変化ーフェロモンがわからないー視覚の発達ー人は見た目が9割現象

こうして、人類は、より見た目重視の社会に変貌していく。

話がそれた。

タンパク質及び遺伝子コードを司るヘラクレスは
Gタンパク質、Gタンパク質共役受容体のシステムを獲得し、視覚に応用することに成功した。







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