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せめて、雑魚らしく。

 先日も書いたことに繋がるが、表面的な結果が強烈に評価をされるようになってくると「過程などは誰も見ていないのだ、結果を出せばそれで良い」を地で行い過ぎた結果、ゲーマーの間でもそれが問題になることがあって、名前をあげるつもりは無いが某覇権MMO(あげているようなもの)では絶賛炎上中である。

 書く意味すらないが、当然一定の競技においてレギュレーションを遵守しない場合は競技とは言えない。この話自体はこの二行で終わるものなので、これ以上の意見はない。

 問題はレギュレーションを守らなかったことだけなのか。私はどうも気持ちの悪いなにかを感じている。結局「結果だけが大事で過程を効率よく進めることが正義」という風潮を作り上げてきたのは有象無象の無名プレイヤー達だからだ。それらがこぞって怒り、嘲笑をしている様子を見て随分と気持ちの悪いコミュニティになったものだと思ってしまったのだ。

 仕様的に毎日のノルマを効率よく周回するプレイが正とされ、それを真面目に考えて攻略しようなどと挑戦しようとすれば、協力を得られないことがある。練習を重ねることである程度は可能になるから、それを達成することがこれらゲームの醍醐味ではある。しかしほとんど暗黙の了解でしかないセオリーから外れたことをしようものなら、協力プレイにもかかわらず協力をしてもらえないという謎な風潮(仕様上仕方がない部分も含め)が、一部のプレイヤーには随分とつまらなくそして辛辣に見えてしまう。こういったプレイヤーは雑魚と称されて「(非効率なプレイにより)他人の時間を奪う迷惑プレイヤー」にすら分類する人もいるほどである。もう何のためにゲームをしているのか、自称非雑魚の本人達も理解できていないのではと感じるが、語調や文体からみても多分本気でそう考えている。

 非雑魚達にとっての目的は、過程を考えて攻略することでは無いのだ。短時間で済む、そしてすでにある解法をなぞり、目的の報酬を得ることがそのゲームにおける「楽しみ」と考えていればそれらをしないプレイヤーは仲間ではなく、通りすがりの邪魔なムービングオブジェクトくらいにしか扱えない。「マジ雑魚」なのである。

 個人的には「MMOである必要が無いし、それの何が面白いんだろうか」といった疑問が間欠泉の如く湧きまくるが、それらについてあまり疑問視される発言はない。SNSなどでつぶやこうものなら、伝家の宝刀、無思考「嫌なら辞めろ」大合唱が始まり議論にもならないから、指摘する人がいないだけかもしれない。そのためか大半は「そういうもの」として無意識のうちに現状を受け入れているだけで、一切の疑問を持たない集団になりつつあるのではないかと少し背筋が寒くなる。このあたりはゲームのコミュニティだけの問題ではないことはわかっているが、だからこそ残念でならない。

 このあたりが原因になり、現状の雰囲気に馴染めない自分は雑魚であると一部の真面目な人達は悩んで、時々病んでしまうことにつながっているようだ。私は上記のように考えているので、同類の相談を受けた場合に「方法論の正誤ではなく、目的の違い」のお話をさせていただくことがあるが、そうすると自分が望む楽しみ方を再発見されて、少し元気になってくださることがある。方法をこちらも変えれば良いだけだからだ。このように圧倒的な意見や結果論に心を揺さぶられて楽しめなくなっている人は、思っている以上にいるのだろうと推測する。

 どうしてそんな思いをしながら続けるのか、もしかしてゲーマーはバカなのではないか?と非ゲーマーからの当然過ぎる指摘をいただくことは予想される。それについては当事者達も十分に理解できているし、中毒症状により一切のプレイをやめられないといった精神疾患を抱えているわけではない。

 「それでも、好きだから」それでも、好きなんだから悩むのだ。いいじゃないか。好きなことを好きでいたい。それで悩んでいるのなら喜んで聞こう。

 私もそれでもこのコミュニティが好きだから、同じ意識を持てる人たちだけでもなんとか楽しんでもらいたいという思いはある。それがささやかながら、雑魚であっても私ができる貢献の一つだ。だからこうして「課金をしながら他人の話を聴くだけという、誰からも一ミリも理解されない馬鹿げたことをしていて草(大草原)がすぎる」みたいなことを行い(時々自分でも疑問を感じる瞬間はある)、時々このように小言を書くのである。時々じゃないな、最近連日のように書いてたわ。ごめん嘘ついた。

 こんなことをしている理由といえば、保護をしても利用価値がないから無視をされて、無論国会にも取り上げられることがないような「弱者属性を利用しないが故、真に無視をされ続けるマイノリティ」の存在を少なくとも私はどんな世界においても、無視をしないで生きていきたいからだ。もちろん全部を知ることは出来ないし、全てを救うなどは神くらいしか出来ない。でも確かにあなたはそこに居るのだから、知る機会に恵まれた際はできる限り考えて、そして良き世界であるように祈ってみたいと思っている。

 そう、せめて雑魚らしく、そうありたいのだ。